世塵・風塵
昨年3月、厚生労働省の「チーム医療の推進に関する検討会」報告書が公表され、高度化する薬物療法と医療安全の確保の観点から、「薬剤師の新しい業務」の範囲や解釈が何処まで広げられるかの議論が活発化しています。
特に論点となるのが医師法との兼ね合いで、多くの薬剤師が患者さんに真摯に関わるほど、この境界線について悩んできました。ところが最近では「治療」か「副作用チェック」か、などといった目的を明確にすることによって、従来は出来ないと思っていた行為が可能であるという解釈も示されつつあります。
医師偏在の状況下、地域医療の充実を進めるために薬剤師の職能拡大は必要不可欠ですが、ただ待っているだけで都合の良い話が舞い込んで来る筈はありません。職能拡大のためには、それなりの行動と責任が求められます。これまでの調剤を中心とした業務から、医療チームの一員として積極的な意見提案や活動に加わっていくためには、一専門家として今まで以上に大きな責任を負う覚悟が求められます。医師の処方ミスによる過量投与について、処方医・調剤薬剤師・鑑査薬剤師の責任が同等であるという裁判例が出たことからも、社会的なコンセンサスは既にそれが当然の事であると理解されていると言えます。
この様な議論以前から、専門家として患者さんに対して必要な取り組みを積極的に行なっている代表例が、NPO法人「愛知県褥瘡ケアを考える会」の方々です。薬剤師による褥瘡ケアは医行為との区別が難しいと考えられていましたが、今では全国的な広がりを見せている事実も見逃せません。薬剤師によるバイタルサインのチェックも始まっています。
薬剤師は、単に調剤報酬の算定の範囲で行動して、算定項目に無いことはしてはいけないという自生的な発想をせず、患者利益を考えた様々な役割を提案していくことが、これから本格的に必要になってくるでしょう。
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