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21.調剤過誤

21.調剤過誤

2011年11月07日 (月) 09時00分配信 投稿日:11/11/07 09:00 icon_view 767view

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日本医療機能評価機構から、平成23年上半期のヒヤリ・ハット報告集計が公表されました(http://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/index.html)。昨年1年間のヒヤリ・ハット報告と傾向はほぼ同じですが、問題は平成14年に日本薬剤師会が公表した典型的な三大エラー(数量、規格・剤形、銘柄)傾向が、相変わらず続いているということです。

十年ひと昔と言われる様に、多くの業種では十年も経てば解決されるべき問題は解決し、新たな問題との取組みを繰り返しつつ進化発展する中で当時を懐かしく振り返りますが、残念ながら調剤エラーに関しては未だ実効性のある解決には至っていません。確かにヒューマンエラーに由来するものが殆どであり、設備投資もままならない中での難しさもありますが、やはり放置する訳にはいきません。

三大エラーはいずれも『子供でも見つけられる単純エラー』でありながら、一たび投薬カウンターを越えて患者さんの手に渡ってしまった後の過誤の第一発見者は患者側である例が多い傾向も見逃せません。誰の目にも単純なエラーの第一発見者の多くが薬局側ではない上に、指摘を受けるまで薬局が認識していない状況は、不信感を生み出す温床にもなり得ます。特に最近では、数量エラーが突出しています。数量以外のエラーについては現物があるので検証が容易ですが、数量に関しては薬局がしっかりと在庫管理をしていない限り、本当の過不足か投薬後の紛失かの検証が困難であることに注意が必要です。中には面倒なのかもめ事を嫌うのか、在庫の確認も服薬状況の確認も何もせずに、ただ指摘された不足数をそのまま渡してしまうという最悪の対応例も聞きます。

果たして本当に数量間違いで、修正分の処方せん医薬品を渡すならば問題はありませんが、エラーがなく正しい数量が調剤・投薬されていた場合には、不足の申し出があった場合でも処方せん医薬品を渡せる根拠は何処にもありません。この状況において安易に処方せん医薬品を渡してしまう行為は最悪の場合、薬事法(第49条)に抵触するとして罰金・懲役刑(第84条)の対象にもなりかねません。

また最近では数量不足の背景には、超高齢社会という環境との関連を指摘する声もあり、複雑化しつつあります。単なるエラー・思い違いの問題なのか、患者さんの背景に新たな疾患が潜んでいるかの判断力も、これからの薬局薬剤師には求められます。

そのためには先ず、薬局自ら調剤精度や検証性を高めるべきで、例えばハイリスク薬を中心とした重点品目の日常的な棚卸や、必要に応じて調剤した医薬品と処方せんのデジカメ撮影等による検知・検証性の確保もしておく必要がありそうです。

地域医療計画における第五の疾患に最大の患者数である精神疾患が加わり、薬剤師の果たすべき役割に対する期待は、更に大きくなるでしょう。

その様な流れの中で、いつまでも解決出来ない課題を抱えている訳にはいきません。2011年9月30日時点でのヒヤリ・ハット報告の参加薬局数5,232件は全体の10%に過ぎません。個々のレベルでは解決出来ない事も、この様な報告事業に多くの薬局が協力してデータボリュームを増やすことで、解決や対策の糸口が見えて来ることもあります。少なくとも現状からは前進出来るはずです。皆さんの薬局は、この事業に参加していますか?

薬局に限ったことではありませんが、どうせ変わらないと諦めればそれまでです。みんなで力を合わせて問題点をつまびらかにする姿勢が、何処の職場でも起こっている「嫌なこと」を解決する早道なのではないでしょうか。

著者:菅野敦之

 

【関連Q&A】
Q.インシデントが起こった際に、改善すべき点があるという方向に店の雰囲気を持っていくには…
Q.過誤など重大なミスをおかしたときどのように気持ちを元に戻しますか?
Q.調剤室がぐちゃぐちゃだと、過誤の要因になると思いますか?
Q.最近働き出した調剤薬局での散薬の監査方法がこわいのです…

 

【関連アンケート記事】
・ヒヤリ・ハットの経験、業務に活かしていますか? (アンケート結果)
・薬剤師3割が患者の「ヒヤリハット事例」に遭遇(アンケート結果)

 
【関連記事】
・7月の月金午前中、高齢者女性の来店は要注意!~別視点からのヒヤリハット分析
・安全対策上の措置
・お薬手帳活用で事故防止‐薬局ヒヤリ・ハット12年年報-日本医療機能評価機構
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・ヒヤリ・ハットは週末・午前中に多く
・薬局ヒヤリ・ハット、内服薬処方事例などを報告
・名前の思い込みに注意―薬局ヒヤリ・ハット
・GEに関するヒヤリ・ハット増加
・現場で知っておきたいヒヤリ・ハット公表
・ヒヤリ・ハット事例等収集結果を報告
 

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