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『世塵・風塵』49.なぜ今、分業バッシングなのか

『世塵・風塵』49.なぜ今、分業バッシングなのか

2014年03月04日 (火) 08時00分配信 投稿日:14/03/04 08:00 icon_view 695view

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今から20年ほど前、薬剤師として初めて勤務したのは基幹病院門前の薬局でした。1日の応需枚数平均は300枚前後で、30歳過ぎの異業種転職者としては、かなり忙しい所に来てしまって、果たしてやって行けるかな…と時に自信を失いかける事もありました。それでも何とか調剤や鑑査にも慣れ、在庫薬も大筋で理解して投薬窓口にも出られる様になった頃の事です。

患者さんが入って来ると、事務も薬剤師も「あっ、○○さんだ!」という言葉に続いて、その患者さんの人柄や特性、時には治療経過についても聞かせてくれました。それもかなりの数の患者さんについて把握しており、新患と見て取るや、初回聞き取りや保険証確認の準備に入る様な薬局でした。よくこれだけ覚えていられるなぁと驚きましたが、さらに驚く事がありました。ある朝、薬局を開けてすぐの時間に年配の女性が来られ、私たち薬局スタッフに、「主人が今朝、息を引き取りました。今まで御世話になりました。」と挨拶を受けました。病院ならまだしも、門前の薬局でも患者さんが、ご主人を亡くして混乱しているはずの時に、わざわざ来て下さるような深い信頼関係が築ける薬局があるんだ!自分もこうして来て貰える存在になりたい!と思ったことを覚えています。

昨今の分業バッシングの高まりは、自身の力不足もありますが、調剤効率を求め過ぎて、仕事の対象が患者さんではなくてクスリ・処方箋・算定要件にばかり目が向いてしまい、患者さんが後回しになっている事が大きな原因ではないかと思います。確かに20年前から比べると、様々な算定要件が増えているので、それをクリアするのに精いっぱいという見方も否定できません。でも、それを目的としたのでは絶対に患者さんからは理解を得られないのも事実です。

そもそも算定要件に限らず、様々な(薬局業界に限らず)規則というものは、本来の受益者の需要に合った仕事をしていれば、わざわざ作られるものではありません。多くの人が善かれと思って一生懸命に尽くしている中で、手抜きやいい加減な仕事をする一部の輩を制するために、やむを得ず作られてしまう場合が、圧倒的に多いと思います。それにしばられて本来の力を発揮できなくなるのは、本末転倒な話です。

実務実習の薬学モデルコア・カリキュラムは、患者に対する意識の変革を念頭に改訂作業が行われていることからも、何が重要なのかがハッキリと示されています。算定要件や規則を守るなと言っている訳ではありませんが、先ずは当たり前の事、患者さんそのものが仕事の対象であることを意識した仕事姿勢が必要です。医療にも効率は必要ですが、他の業種に比べれば、ある程度の非効率も容認されるべきではないでしょうか。このバランスが作れない限り、分業バッシングは続いてしまうような気がしてなりません。

この記事について/著者:菅野敦之

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