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9.年末年始の行事と漢方|漢方歳時記

9.年末年始の行事と漢方|漢方歳時記

2010年12月21日 (火) 09時00分配信 投稿日:10/12/21 09:00 icon_view 442view

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■年末年始の行事と漢方



年の暮れがせまり、皆様あわただしくお過ごしのことと思います。本学もご多分にもれず病院・薬局実務実習の第二期が終わって5年生は校舎に戻り、4年生は共用試験の準備などで奔走しています。

師走のこの時期は、坊主もろくに挨拶されず、施し物も少ないことから「師走坊主」との言葉が生じるほど忙しいものです。師走の語源にしても、読経のために師僧が東西を馳せ回るところからシハセ(師馳)の義、また、四季の果てるところからシハツ(四極)月の意など、諸説が入り混じり、何れにしてもせわしないものです。

年の暮れから元旦にかけて、さまざまな日本の年中行事が存在します。その中から、漢方に関するものを紹介しましょう。

 

■冬至



日本ではこの日にゆず湯に入り、小豆(あずき)粥(冬至粥)やカボチャを食べると風邪をひかないと言われています。

小豆は「赤小豆(しゃくしょうず)」という生薬で、利水除湿・解毒排膿の作用があり、腹水や水腫などに応用されます。『傷寒論』では「傷寒、瘀熱裏(り)に在るは、身必ず黄す。麻黄連軺(れんしょう)赤小豆湯之を主る」とあります。

 

■おけらまつり(朮祭)


 

image1


京都の八坂神社では、清い火を鑽(き)り出し、大晦日の晩から元旦にかけ、オケラの篝火(かがりび)を焚き、参詣者は火縄に移して持ち帰って新年の雑煮をたく火種にします。この火のことを「おけらの火(朮火(おけらび))」といい、朮祭に参詣することを「おけらまいり(朮詣(おけらもうで))」といいます。燃え残った火縄は火伏せのお守りとして、台所にお祀りします。

生薬の白朮は、このオケラの根茎を使用したもので、後に詳述します。

■お屠蘇(屠蘇散)



『本草綱目』の[屠蘇酒]の項に「陳延之の小品方に、これは華佗の方であって、元旦に飲めば、疫癘(えきれい)、一切の不正の気を辟ける。・・・三角に縫った嚢に盛って除夜に井底に懸け、元日に取出して酒中に入れ、煎じて数沸し、一家挙って東に向かい、年少者から年長者の順に飲み、薬滓はまた井戸に投入する。毎歳この水を飲めば一代の間無病である」とあり、一年間の邪気を払い、長寿を願って、正月に呑む薬酒です。昔から、「一人これを呑めば一家病無く、一家これを呑めば一里病無し」といわれ、古代から正月の祝いの膳に欠かせないものとなっています。

屠蘇の語源については、「蘇とは●(鬼偏に虫)鬼の名で、この薬が鬼爽を屠割するというところから、かく名づけたのだ。或はこれは屠蘇庵という草庵の名だともいう」と記されています。

処方内容は、赤朮、桂心、防風、バッカツ、蜀椒、桔梗、大黄、烏頭(うず)、赤小豆ですが、近代以降は、大黄や烏頭などの峻剤を使わず、かわりに丁香、陳皮、茴香等を用います。

 

■生薬の白朮について



白朮の基原は、キク科のオケラ Atractylodes japonica Koidzumi ex Kitamura の根茎または オオバナオケラ A. ovata De Candolle の根茎です。

写真2 写真3


白朮と蒼朮は、歴史的な区別が明確ではありません。現在、日本薬局方では、純度試験によって区別しています。日本の古方派は、白朮と蒼朮を総括して「朮」とし、利水剤として用いますが、実際には蒼朮を主に使うことが多いようです。

表1

 

■白朮の効能



浅田宗伯の『古方薬議』に「風寒湿痺を主り、胃を開き、痰涎を去り、下泄を止め、小便を利し、心下急満を除き、腰腹冷痛を治す」とあり、脾胃を補い、湿を除く、健胃・利尿・鎮静などの作用があります。

主に、加味帰脾湯、加味逍遙散、キュウ帰調血飲、当帰芍薬散、補中益気湯、抑肝散、六君子湯などに配合され、用いられています。

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<参考文献>
日本国語大辞典、日本大辞典刊行会編、小学館、1972年.
やさしい漢方入門、健友館、1995.
やさしい漢方ハンドブック、総合漢方研究会、2002.
傷寒雑病論(二訂版)、東洋学術出版社、1990年.
根本幸夫:漢方春夏秋冬、薬局新聞社、1995年.
荒木正胤:漢方養生談、大法輪閣、昭和39年.
屠蘇酒:新註校定国訳本草綱目7、p.291-292、春陽堂書店、昭和55年.
朮:新註校定国訳本草綱目4、p.130-160、春陽堂書店、昭和55年.
漢方210処方生薬解説、じほう、平成13年.



著者:小松一



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