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11.花粉症に用いる漢方薬|漢方歳時記

11.花粉症に用いる漢方薬|漢方歳時記

2011年02月08日 (火) 09時00分配信 投稿日:11/02/08 09:00 icon_view 998view

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第一:杉の絶対数の増加
一番花粉症を飛ばしやすい樹齢20~30年の杉の数が、林野庁の植林政策によって、今ピークを迎えています。

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第二:大気汚染の深刻化

花粉症は、杉だけが悪いのではなく、大気汚染もかなり影響しています。特に自動車の排気ガスに含まれる窒素酸化物が大きな要因となっていることが最近分かってきました。事実、花粉症の発生率は、幹線道路や交差点に多く現れる傾向があります。

第三:食生活の変化
昔の食事は、米や野菜などの炭水化物中心だったため、体の中の免疫を刺激することが少なかったのですが、食生活の変化で、体内で免疫系を刺激しやすい蛋白質や砂糖の摂取が極端に増えました。

第四:季節的な要因
節分あけから桜の花が散る四月の初旬頃までは色々な病気が起こりやすい時期です。昔からこの時期を血が騒ぐ頃と言いました。木の芽が吹きだしたり、花の雷が開いたり、犬や猫はさかりがついたり、毛が抜け替わったり、自然界のエネルギーが大きく動きます。人間もまた生物の一つなので、この変化の影響を受けます。


症状別処方の考え方

症状の起こっている部位により、「目」「鼻」「のど」の三つに分けて考えます。

1.目

1-1)痒み

目の症状で最も特徴的なものはその痒みです。同じ痒みでも単なる痒みだけのものから、目の周囲の皮膚まで真っ赤になり、常に手でかいていないととても我慢ができない程のものまでいろいろあります。

十味敗毒散

目の痒みには先ず十味敗毒散を考えます。あまりに痒みが甚だしい時には、これを白虎湯や白虎加人参湯にするか、合方にして飲むとよいでしょう。

1-2)充血・赤目
充血だけが起こった場合、西洋医学ではアレルギー性結膜炎と分類することもありますが、漢方では特に分類することなく、花粉症の一種として考えます。

黄連解毒湯
目の充血を「のぼせ」と捉えます。従って、こののぼせを下げれば目の充血は治まることになります。黄連解毒湯でのぼせを取り去ります。

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1-3)涙

花粉症で涙が出るということは、体内に涙となる余分な水分(水毒)があることを意味します。余分な水分が、涙となって身体の外へ排出されるのです。

小青竜湯
水毒をアレルギー反応が起こる前に排除します。またこの水毒症状が強く、口も渇き、小便の出が悪い場合には五苓散を合方します。五苓散の口の渇きは、口に水分を含んですすげば治まってしまう程度、あるいは水分を少しでも補給すればしのげる程度をいいます。
涙目と併せて痒みがある場合には、越婢加朮湯を用います。



2.鼻

次に花粉症の主な症状を呈する鼻の症状、くしゃみ・鼻水・鼻づまりとそれに対応する漢方薬を紹介します。

2-1)くしゃみ
花粉症の最も代表的な症状がくしゃみです。花粉症で一旦くしゃみが出始めると、いったいいつになったらこのくしゃみが終わるのか不安になるほど続くこともあります。2~3回のくしゃみならどうということもありませんが、頻発するとかなり辛いものです。人によっては頭痛まで起こしかねません。頭痛にならなくても頭はボーっとするし、耳鳴りはするし、なんだかスッキリしないし、鼻がムズムズして不快なことこのうえありません。

葛根湯
くしゃみ一発のような症状にはまず葛根湯を一服します。この時後頭部から肩、肩甲間部にかけてコリやこわばりがあるのが葛根湯の特徴です。実際の症状としては肩や首をすぼめたり、ゆるめたりしたくなるような感じがします。この状態を『傷寒論』では「項背強ばること 几几 しゅしゅ 」と表現しています。几几というのは水鳥が飛び立つ時に首を前に突き出す様をいい、鳥の後頭部から首・肩にかけてまっすぐ一直線になっている様子が、まるで肩がこったり首の周囲が硬くなっている様子に似ているのでこのような表現をしたのでしょう。

十味敗毒散
さらに鼻粘膜の炎症が強く、なんとなく鼻の中がはれぼつたい感じがあり、いくら鼻をかんでみてもスッキリしない時に服用します。

麻黄附子細辛湯
くしゃみをしている時には肩甲間部に軽い寒気や体毛が逆立つような感じがあるものですが、寒気が強く、まるで冷たい水が背中を流れるような感じがあるときには、麻黄附子細辛湯がよいでしょう。

2-2)鼻水


小青竜湯、五苓散

一日中のべつ幕なしに鼻水が出る場合、先ず小青龍湯を服用します。涙と同様、鼻水も体内の余分な水分です。これを体外に尿として排出する作用のある五苓散もよく効きます。多量の水分摂取は、却って花粉症の症状、鼻水、くしゃみが悪化するので、口が渇いてもすすぐ程度にします。

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2-3)鼻づまり

鼻水とともに身体が冷えているような人には、真武湯がよく効きます。『傷寒論』に「振々揺として、まさに地に仆れんと欲す」と記載されているように、五苓散の症状に加え、身体がとても冷えた状態にあり、振水音があり、ふらふらして、そのまま倒れてしまうのではないかと思う程強いふらつきを感じるときに適しています。

葛根湯加川キュウ辛夷
鼻づまりは、くしゃみとならんで花粉症のときのつらい症状のひとつです。場合によっては嗅覚まで鈍感になります。さらに鼻で呼吸することが困難になり、口で呼吸するため、口やのどがいつも乾いてしまいます。この時には葛根湯加川キュウ辛夷を用いて鼻づまりを解消します。あるいは葛根湯でも鼻づまりをよくすることができます。
いずれの処方を使うにしてもこれらを服用するときにはなるべく熱い状態で飲むことが重要です。



3.咽喉
花粉症はノドにも症状をあらわします。痛みはなくても、なんとなくノドに違和感があり、ノドが気になって咳払いをしたくなるような感じがする場合は、ノドの粘膜が炎症をおこす初期段階です。このまま炎症が進みますと、ノドの痛み、咳・痰、声枯れといったノド特有のいろいろな症状が出てきます。

3-1)痒み、ノドの違和感
咽喉のかゆみと違和感は、痛みの前駆症状です。手でポリポリとかけたらどんなに気持ちいいだろう、という掻痒感には小柴胡湯を飲むか、小柴胡湯と白虎加人参湯の合方がよいでしょう。小柴胡湯には煩悶感(咽喉から胸にかけてのモャモャと気持ち悪い症状)をスッキリさせる作用があります。

腫れてもいないのに咽喉に異物がひっかかり、飲み込むことも吐き出すこともできないという症状( 梅核気(ばいかくき)、ヒステリー球)には、半夏厚朴湯が奏功します。小柴胡湯との合方である柴朴湯もよく用います。

3-2)痛み
ノドの痒みや違和感が進行すると、痛みを自覚するようになります。唾を飲む時に痛むものから、常にヒリヒリと感じる痛み、痛みと共に乾いてペッタリと張りつくような症状まで、さまざまな炎症の状態があります。これらはまず駆風解毒湯(くふうげどくとう)によって取り除きます。咽喉の乾燥感を伴う場合は、麦門冬湯や竹葉石膏湯(ちくようせっこうとう)を併用して乾燥を鎮めます。


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3-3)咳

花粉症の場合、喉の痛みが単体で存在することは少なく、多くは咳など、他の症状を伴います。咳がどのような様相を呈しているかによって分類し、処方をえらびます。

咳とともに、多量の痰や鼻水がでる場合、それらが水っぽい時は小青龍湯を飲みます。多少粘っこく、舌全体が白く、胸が苦しい場合は、小柴胡湯や半夏厚朴湯、または柴朴湯を飲みます。咳やくしゃみが続けざまにでて中々とまらず、顔がのぼせて真っ赤になり、吐き気を催し、実際に吐いてしまう事もあります。そんな時には、麻杏甘石湯で咳を止めます。この処方は顔ののぼせや乾いた咳を目標として、他との合方に頻用されます。痰の粘りが非常に強く、咳払いしてもなかなか取れない場合は、麦門冬湯を用います。


食事療法
花粉症やアトピー性皮膚炎もそうですが、アレルギー性疾患は、食生活を徹底して管理することによって、かなり改善することができます。一般に花粉症は、季節の影響が大きく、動物性蛋白質、砂糖をできるだけ少なくするところにポイントがあります。まず、アレルギー反応を起こす食物をチェックすることが第一です。食習慣に気をつけた上で漢方薬を服用し、体質の改善をはかりましょう。



アレルギー反応を起こしやすい食品

☆甘味類
砂糖、ジャム、ハチミツ

☆ 菓子類
チョコレート、ココア、ケーキ、アイスクリーム、クッキー、 ババロア、和菓子、プリン、菓子パン

☆ 魚貝類
ホタテ貝、平貝、赤貝、カニ、エビ、イカ、サバ、ニシン、 サケ、タラ

☆ 魚卵類
イクラ、カズノコ、明太子、ウニ

○肉類
牛肉、鳥肉、豚肉

☆ 山菜類
タケノコ

○ 乳製品
牛乳、チーズ、バター、粉ミルク、ヨーグルト

○卵製品
卵、マヨネーズ、インスタントラーメン

☆ 香辛料
唐辛子、ワサビ、カレー

☆ 餅類
餅、煎餅、赤飯

○大豆類
大豆油、スナック菓子、納豆、豆腐、みそ、きな粉

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
☆印:絶対食べない方がよい
○印:アレルギー反応を起こさない人は食べてもよい


<参考文献>
林野庁業務資料(平成19年3月31日)
やさしい漢方入門、健友館、1995.
やさしい漢方ハンドブック、総合漢方研究会、2002.
花粉症・アトピーを治す、総合漢方研究会編、健友館、1995.
根本幸夫:漢方春夏秋冬、薬局新聞社、1995.
宋版傷寒雑病論(二訂版)、東洋学術出版社、1990.
矢数道明:臨床応用漢方処方解説(増補改訂版)、創元社、1989.
漢方210処方生薬解説、じほう、平成13年.
荒木正胤:漢方養生談、大法輪閣、昭和39年.



著者:小松一



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花粉症に効果のあるお薬や処方などありましたら、アドバイスください!
花粉症の予防治療について詳しい方。治療法、副作用など何でもいいので教えて下さい!

Good18

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