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15.経絡と経穴|漢方歳時記

15.経絡と経穴|漢方歳時記

2012年01月12日 (木) 09時00分配信 投稿日:12/01/12 09:00 icon_view 247view

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横浜薬科大学漢方薬学科には、漢方に関する講義科目が多数あり、中でも「鍼灸入門」は特徴的な科目といえます。中国の伝統的な理論の一つに「帰経(きけい)」学説があります。各生薬は、臓器・経絡(けいらく)へ特異的に帰属し、薬効を発揮するというものです。漢方と鍼灸は密接に関わっており、鍼灸の基礎である十二経脈を知ることは、漢方薬を扱う上で重要な知識となります。今回はまず経脈、経穴についてお話しします。


経絡と経穴

経穴(けいけつ)は一般に「ツボ」といわれ、経絡の重要な中継点であり、気の出入りする場所です。その経穴が道筋となり繋がったものを、経絡(けいらくといいます。体内を気血が循行するルートのことです。

経絡系統図

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経絡は、経脈(けいみゃく)絡脈(らくみゃく)に分かれ、経脈は、縦のラインで幹線と言うべき主要な経路、絡脈は、横のラインで支線となり、枝分かれしたものです。一般的な経絡とは、経脈の中で、手足の三陰三陽の脈(正経十二脈(せいけいじゅうにみゃく))に、奇経八脈(きけいはちみゃく)任脈(にんみゃく)督脈(とくみゃく)を加えた十四経(じゅうしけい)の事を指します。


image2
 


経脈の流注

経脈には流れる順番と方向があり、それを流注(るちゅう)と呼びます。

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・手の太陰肺経は、胃のあたりから起こり、下って大腸をまとい、上行して肺に帰属します。さらに脇の下から手の内面前側を通り、親指の末端(少商(しょうしょう)穴)に終わるルートです。
・手の陽明大腸経は、人差指の末端(商陽(しょうよう)穴)から起こり、腕の外側の前方を通って肩から首の後ろ、鎖骨上窩へ至ります。第一ルートは、頬から下歯へ入り鼻孔の傍に達します。第二ルートは胸に入って肺をまとい横隔膜を下り、大腸に帰属します。
・足の陽明胃経は、鼻根から起こり、上歯へ入り、唇、下顎の後ろに達します。一つは前額、もう一つは頸動脈に沿って喉頭から、胸のラインを臍をはさんで下り、足の外面の前側を通って、足の第2指(厲兌(れいだ)穴)に至ります。
・足の太陰脾経は、足親指の末端(陰白(いんぱく)穴)から起こり、足の内面の前側を上って腹部に入ります。一方は脾に帰属し、胃をまとい、他方は横隔膜を上って咽喉、舌まで達します。
・手の少陰心経は、心臓部に起こり、大動脈のあたりに帰属します。肺に上って脇の下から手の内面の後側へまわり、小指の末端、薬指側の少衝(しょうしょう)穴に終ります。
・手の太陽小腸経は、小指の末端外側の少沢(しょうたく)穴に起こり、手の外面の後側を通って肩、鎖骨上窩より頬に上り、目尻から耳の方へ進むルートと、目の下、目頭へ行くルートに分かれます。
 

image4

・足の太陽膀胱経は、目頭(睛明(せいめい)穴)から始まり、上行して頭部、項部、背部(背骨を挟んで両側)を下り、腰部の筋肉中をめぐって腎をまとい、膀胱に帰属します。足の背面の中央を下り、足の小指の外側端(至陰(しいん)穴)に終わるルートです。
・足の少陰腎経は、足の小指の下から起こり、足の裏(湧泉(ゆうせん)穴)を通って、足の内側面を上り、腎、膀胱をまといます。腎より上って臍の横を通り、肝・横隔膜を貫いて肺に入ります。
・手の厥陰心包経は、胸中から側胸部に出て、腕の内面の中央を通り、中指の末端(中衝(ちゅうしょう)穴)に終わります。
・手の少陽三焦経は、薬指の末端(関衝(かんしょう)穴)から起こり、腕の外面の中央を上って肩に出て、鎖骨上窩から項部に上り、耳の後に達し、耳の前に回り、頬を経て目尻のあたりに終わります。
・足の少陽胆経は、目尻(瞳子リョウ(どうしりょう)穴)から起こり、側頭部をめぐって首から肩に下り、側胸部・季肋部をめぐって、足の外側の中央を下り、足の第4指の末端(小指側、足竅陰(あしのきょういん)穴)に終わります。
・ 足の厥陰肝経は、足の親指の末端(太敦(たいとん)穴)から起こり、足の内面の中央を上って陰部に入ります。

このようにして、経絡は身体を一周します。そしてふたたび肺経へと繋がり、経絡は連続して体内を循環し、人が生きていく基礎となる事象を主るのです。


経穴

経穴にも幾つかの種類があります。経絡上にあって位置や名前が決まっているものを「正穴(せいけつ)」、経絡上にないが効能があり位置と名前が決まっているものを「奇穴(きけつ)」、反応だけがあって位置や名前が特に決まっていないものを「阿是穴(あぜけつ)」と呼びます。

正穴の数は『黄帝内経・霊枢』九針十二原篇や、『素問』気穴論篇には、一年の日数と同じ、365穴と記載されていますが、現在、WHOでは、正経上の肺経(11穴)、大腸経(20)、胃経(45)、脾経(21)、心経(9)、小腸経(19)、膀胱経(67)、腎経(27)、心包経(9)、三焦経(23)、胆経(44)、肝経(14)の309穴と、奇経の任脈(24)と督脈(28)上の経穴を加え、十四経の総計361穴に統一しています。奇穴、阿是穴を含めると、ツボの数は1000を超えます。

経穴には、それぞれ名前がついており、効能に応じた意味があります。また、各疾患に対する使用法も、霊枢をはじめ多数の文献に記載されています。今回は割愛しますが、それに関してはまた折に触れてお話しする事にします。


<参考文献>

李平華:帰経中薬学、中国中医薬出版社、2003.
素問・霊枢、日本経絡学会、p.111-114、211-216、1992.
やさしい漢方入門、健友館、1995.
やさしい漢方ハンドブック、総合漢方研究会 、2002.
長濱善夫:東洋医学概説、創元社、昭和63年.


著者:小松一



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