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18.甘草|漢方歳時記

18.甘草|漢方歳時記

2012年07月23日 (月) 09時00分配信 投稿日:12/07/23 09:00 icon_view 432view

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今回も国家試験で取り上げられた生薬について解説します。

一般的に、漢方薬は疾患に対して2種以上の生薬を配合し、漢方理論に従って処方され、単味で漫然と用いられる生薬は民間薬に分類されますが、甘草は『傷寒論』に「少陰病二三日、咽痛の者、甘草湯を与うべし。()えざれば、桔梗湯を与う。甘草湯方、甘草二両、右一味、水三升を以て、煮て一升半を取り、(かす)を去り、七合を温服す。日に二服す」とあるように「甘草湯」と称し、単独でのどの痛みを癒す重要処方として使用されています。

甘草は、中医学では補気強壮薬(ほききょうそうやく)に属します。補気強壮薬とは、胃腸系を強めて気を補い、体全体の強壮を図る薬物のことをいいます。
 

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横浜薬科大学薬用植物園にて(2012.5.2)


古典における効能

性味は(かん)(へい)脾経(ひけい)胃経(いけい)肺経(はいけい)の3つの経絡(けいらく)に帰属します。

尾台榕堂(おだいようどう)は『重校薬徴(じゅうこうやくちょう)』において「急迫(きゅうはく)を主治す。故に厥冷(けつれい)、煩躁、吐逆、驚狂、心煩、衝逆(しょうぎゃく)などの諸般の急迫の証を治し、裏急、攣急、骨節疼痛、腹痛、咽痛、下痢を兼治す」、すなわち「主に、急迫の症状を治療する。そのために手足の冷え、イライラ(煩悶)、強い嘔吐、驚き騒ぐ症状、胸心部の不快感、下腹部から上部に突き上げる症状や、様々な急迫 症状を治す。また、腹内部の緊張、痙攣、骨や関節の強い痛み、腹痛、のどの痛み、下痢も併せて治療する。」と述べています。

浅田宗伯(あさだそうはく)は『古方薬議(こほうやくぎ)』で 「毒を解し、中を温め、気を下し、渇を止め、経脈を通じ、咽痛を去る」としており、薬物や食物中毒の解毒、胃腸機能の調整、痙攣や引きつけ発作・動悸・咽喉腫痛の緩解などに応用します。


主な作用

降気・鎮静作用
桂皮・大棗・山梔子・小麦などと配合すると気を下し、それに伴う精神安定作用が増強されます。

緊張緩和作用・鎮痛作用
体表・四肢の筋肉・関節・腹部の緊張を和らげて痛みを鎮めます。芍薬や附子と配合すると作用が増強されますが、水腫・浮腫のある場合には著効がありません。

去痰作用・咽痛治療作用
桔梗や杏仁と配合すれば咽喉部の炎症・潰瘍を治療して痰を去る作用が増強されます。

温補・回陽作用
陽気を補い、気をめぐらします。乾姜や附子と配合すると一層効果的です。

瀉下剤に対する緩和作用
大黄や芒消などの強い瀉下薬と配合し、瀉下作用を緩和して鎮痛をはかります。

補津作用
瀉下剤・発汗剤・清熱剤などと配合して、津液を補い損耗を防ぎます。粳米と配合すると一層強化されます。

健胃・強壮・止瀉作用
胃腸の潰瘍に対して治療効果があります。人参・大棗・生姜・白朮・茯苓などと配合して用います。
 

使用上の注意

甘草の主要な有効成分であるグリチルリチン酸を多量に服用すると、偽アルドステロン症 (低カリウム血症、血圧上昇、浮腫など)およびミオパシーなどの副作用が現れることがあるので、甘草が配合された処方は使用に留意する必要があります。


表2 甘草と生薬との組み合わせによる作用とその処方
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<参考書>
傷寒雑病論(二訂版)、東洋学術出版社、1990年.
尾台榕堂:類聚方広義(第三版)、燎原書店、1988年.
浅田宗伯(木村長久):和訓古方薬議、春陽堂書店、1982年.
漢方210処方生薬解説、じほう、2001年.
傷寒・金匱薬物事典、万来舎、2006年.
漢方医療薬学の基礎、廣川書店、2010年.



著者:小松一



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