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19.八味丸(はちみがん)|漢方歳時記

19.八味丸(はちみがん)|漢方歳時記

2012年08月30日 (木) 09時00分配信 投稿日:12/08/30 09:00 icon_view 340view

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近年、糖尿病、肥満、脳卒中、心臓病、高血圧などの生活習慣病が社会的な問題になっています。今回は、糖尿病に良く用いられる、八味丸について解説します。

糖尿病は主にI型、II型に分類されますが、日本では、II型が一般的です。食事や運動など、生活習慣が関係している場合が多く、小児期や青年期でも発症しますが、通常は30歳以上、特に中年以降に多くなります。

一般的な要因は、過食、運動不足、ストレスなど偏った生活習慣が積み重なり、もともとある遺伝体質に、脂肪肝やメタボリックシンドロームが加わった結果、 インスリンの抵抗性が増し、血糖調節機能や糖代謝が悪くなるため、高血糖になります。糖尿病では、合併症に留意しなければなりません。合併症は、重篤なものが多く、生命の危険を脅かされる場合があるので、生活習慣を早期に改善する必要があります。
 

糖尿病の症状

 
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初期には自覚症状がほとんどありませんが、次第に口渇、多飲、多尿、疲れやすい、体重の減少、足がつるなどの症状が現れるようになります。

黄帝内経(こうていだいきょう)素問(そもん)』に、糖尿病は「消渇(しょうかち)」として記載されています。日本では、古来より『傷寒論』、『金匱要略』の立場から、その進行状況を見極め、処方を選んでいます。

八味丸は、糖尿病の晩期に頻尿で尿量が多く、夜間排尿が多い、手足がほてる、足腰が重だるく、時に鈍痛を伴うなど、腎虚の状態によく用いられます。

八味丸の呼称は、処方中の構成生薬の数に由来します。配合されている生薬、薬味の数を数える場合、一味(いちみ)、二味、・・・と数えます。したがって八味丸には、8種類の生薬が配合されている事が分かります。

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また、八味丸は『金匱要略』記載の処方ですが、異名が多く、八味地黄丸、腎気丸(じんきがん)、八味腎気丸、崔氏腎気丸、金匱腎気丸ともよばれます。

八味丸に牛膝(ごしつ)車前子(しゃぜんし)を加味したものが、牛車(ごしゃ)腎気丸(じんきがん)で、八味丸から桂枝と附子を減じたものが六味丸です。六味丸に知母と黄柏を加味すると知柏八味丸、枸杞子と菊花を加味すれば杞菊地黄丸となります。


古典解説

『方極』に「臍下不仁(せいかふじん)、小便不利の者を治す」とあります。臍下の感覚が鈍くなり、小便の出が悪い者を治療するという意味です。

原典の『金匱要略』においては、「『崔氏』八味丸、脚気上入し、小腹不仁す」(中風歴節病篇)、「虚労腰痛、少腹拘急、小便不利する者、八味腎気丸之を主る」(血痺虚労篇)、「それ短気して微飲有るは、まさに小便より之を去るべし。苓桂朮甘湯之を主る。腎気丸もまた之を主る」(痰飲咳嗽篇)、「男子消渇、小便反って多く、一斗を飲むを以って、小便一斗するは、腎気丸之を主る」(消渇小便利淋病篇)、「・・・婦人病、飲食故の如く、煩熱して臥することを得ず、反って倚息(いそく)する者、・・・但小便利すれば則ち愈ゆ。腎気丸に宜し、之を主る」(婦人雑病篇)との記載があります。

意訳すると、腹証は、臍下不仁というように、特に下腹部(関元穴付近)が軟弱でペコペコしている。疲れやすくて、腰が痛み、下腹部は引きつれ、小便の出が 悪い。息切れしたりむくみがある。あるいは、のどが渇いて小便頻数の者。飲食は普遍であるが、手足がほてって眠れず、息切れする。などの症状には八味丸が適応する。ということになります。なお、脈証は、弱いか、またはかえって堅い場合もあります。

以上の条文にしたがって、糖尿病のほか、腰痛、慢性腎炎、インポテンツ、高血圧、白内障などに応用されます。


<参考文献>
漢方薬膳学、横浜薬科大学編、万来舎、2012年.
やさしい漢方入門、総合漢方研究会編、健友館、1995年.
傷寒雑病論(二訂版)、東洋学術出版社、1990年.
尾台榕堂:類聚方広義(第三版)、燎原書店、1988年.
漢方210処方生薬解説、じほう、2001年.
傷寒・金匱薬物事典、万来舎、2006年.
漢方医療薬学の基礎、廣川書店、2010年.
根本幸夫:漢方春夏秋冬、薬局新聞社、1995年.
龍野一雄:漢方入門講座、中国漢方、昭和57年.



著者:小松一





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