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23.柴胡加竜骨牡蛎湯|漢方歳時記

23.柴胡加竜骨牡蛎湯|漢方歳時記

2012年12月27日 (木) 09時00分配信 投稿日:12/12/27 09:00 icon_view 232view

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2012年最後の漢方歳時記ですので、まとめとして十二支のなかから今年のえとである「辰」すなわち「竜」のつく処方を紹介します。
 

柴胡加竜骨牡蛎湯

柴胡加竜骨牡蛎湯は、『傷寒論』太陽病篇に、「傷寒八九日、之を下して 胸満(きょうまん)煩驚(はんきょう)、小便不利、譫語(せんご)し、一身尽く重く、転側(てんそく)すべからざる者、柴胡加竜骨牡蛎湯之を主る」と記載されている処方です。原文を要約すると、傷寒にかかって8,9日して、下剤をかけすぎたりしため、気が逆上して胸満したり、煩驚したり、小便が出ない、うわごとを言う、体が重い、寝返りが出来ないなどの状態になった人は、この処方がよい。ということです。
本方は、胸から胃のあたりにかけての気逆と便秘がポイントとなります。すなわち、心臓病や肝臓病、あるいは胃腸疾患等の持病があり、胸から背中にかけて圧迫や緊張感があり、のぼせやすく神経質で血圧が高いなどの人に応用されます。
便秘をすると気の上衝がより強くなって症状が悪化しやすいので、便通をよくしておく必要があります。
添付文書では、精神的に不安定で、動悸や不安、不眠等を伴う高血圧、神経症等に用いるとなっています。


柴胡加竜骨牡蛎湯

1


原典には鉛丹が配合されていますが、鉛丹は鉛の化合物で、心悸、胸悶、不眠等に効果があるものの毒性があるため、現在ではほとんど用いられません。


桂枝加竜骨牡蛎湯

桂枝加竜骨牡蛎湯は、『金匱要略』血痺虚労病(けっぴきょろうびょう)篇に、「それ失精家、少腹弦急(しょうふくげんきゅう)し、陰頭寒え、目眩(もくげん)し、髪落ち、脈虚コウ遅(こうち)を極め、精穀(せいこく)亡血失精を為す。脈諸々(もろもろ)のコウ動微緊を得、男子失精し、女子夢交するは、桂枝加竜骨牡蛎湯之を主る」とあります。
この条文は、すなわち虚証で、下腹部が引き攣れ、陰頭が冷え、脈状はコウや遅などの虚した状態を示しており、めまいがする、髪の毛が抜ける、夢精するなどの時に使用することを指示しています。
具体的には、性的過労、インポテンツ、遺精などに用い、元気を回復させます。その他、神経衰弱、小児の夜尿症、チック病にも応用できます。


桂枝加竜骨牡蛎湯

2


本方は、発表作用を主とする桂枝湯に竜骨と牡蛎を加味した処方ですが、この2味を加えただけで、降気鎮静作用を主とする処方に変化します。

その他の処方
このほかに頻用される処方として、主に尿路疾患に用い、排尿痛、頻尿、残尿感、尿のにごり、陰部のかゆみなどに応用される竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)、四神の名前がついている小青竜湯大青竜湯大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)の加減方である騰竜湯(とうりゅうとう)等があります。


処方の比較

 

柴胡加竜骨牡蛎湯

桂枝加竜骨牡蛎湯

柴胡桂枝湯

小柴胡湯

大柴胡湯

柴胡

 

黄芩

 

半夏

 

生姜

大棗

人参

 

 

桂枝

 

 

竜骨

 

 

 

牡蛎

 

 

 

茯苓

 

 

 

 

大黄

 

 

 

甘草

 

 

芍薬

 

 

枳実

 

 

 

 

(鉛丹)

(○)

 

 

 

 


柴胡加竜骨牡蛎湯は、柴胡桂枝湯に竜骨・牡蛎・茯苓・大黄を加味して芍薬・甘草を去ったもの、桂枝加竜骨牡蛎湯は、桂枝湯に竜骨と牡蛎を加味したものと考えられます。
なお、クラシエやコタローの柴胡加竜骨牡蛎湯エキス製剤には大黄が配合されていますが、ツムラは去大黄です。


<参考文献>
傷寒雑病論(二訂版)、東洋学術出版社、1990年.
尾台榕堂:類聚方広義(第三版)、燎原書店、1988年.
やさしい漢方入門、総合漢方研究会編、健友館、1995年.
根本幸夫:漢方春夏秋冬、薬局新聞社、1995年.
矢数道明:臨床応用漢方処方解説、創元社、1997.
クラシエ添付文書:http://www.kracie.co.jp/products/pdf/4987045050060.pdf
コタロー:http://www.kotaro-kampo.com/kotaroN12.html
ツムラ添付文書:http://www.tsumura.co.jp/products/pdf/PI_N-012_304012.pdf


著者:小松一





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