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29.残暑の漢方|漢方歳時記

29.残暑の漢方|漢方歳時記

2013年09月24日 (火) 09時01分配信 投稿日:13/09/24 09:01 icon_view 258view

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残暑の体力消耗や夏ばてには、小建中湯、清暑益気湯や補中益気湯を用いると良いでしょう。


1.小建中湯

小建中湯は、『傷寒論』に、「傷寒二三日、心中悸して煩する者、小建中湯之を主る」、「傷寒、陽脈渋、陰脈弦、法まさに腹中急痛する者、先ず小建中湯を与うべし」とあり、また『金匱要略』血痺虚労病篇に「虚労裏急、悸、衂(ぢく)、腹中痛み、夢に失精し、四肢酸疼、手足煩熱、咽乾口燥するは、小建中湯之を主る」、婦人雑病篇に「婦人腹中痛するは、小建中湯之を主る」とあります。

すなわち、腹直筋が緊張して引き攣れ痛みのあるもの、腹痛、全身の疲労状態、精力の虚乏、寝汗、手足のほてり、四肢倦怠、夢精、口内乾燥、朝すっきり起きられずいつまでも寝ていたい、小児の便秘、小児の虚弱体質などを目標として、脚気、脾胃が弱ったときの黄疸、過労、疲労、低血圧、胃潰瘍、虚症の便秘、脱肛、夜尿症などに応用されます。
 

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処方内容は、桂枝、芍薬、大棗、甘草、生姜の五味からなる桂枝加芍薬湯に、膠飴(こうい)を加味したものです。 膠飴は、もち米を蒸して麦芽で発酵させて作ったもので、『薬性提要』に、「味甘温、気を益し、中を緩め、脾を健かにし、肺を潤す」とあるように、気を益して元気をつける作用があります。


2.補中益気湯

補中益気湯は、李東垣(りとうえん)の『脾胃論』および『内外傷弁惑論(ないがいしょうべんわくろん)(内外傷弁または弁惑論ともいう)』が出典です。

きょう廷賢(きょうていけん)の『古今医鑑』に、「中気不足、四肢倦怠し、口乾発熱、飲食味なきを治す。或は飲食節を失し、労倦身熱、脈大にして虚し、或は頭痛、悪寒、自汗、或は気高くして喘し、身熱して煩し、或は脈微細軟弱、自汗怠倦し、或は中気虚弱にして、血を摂すること能はず。或は飲食労倦して瘧痢を患ひ、或は元気虚弱にして風寒に感冒し表を発するに勝えず、或は房に入りて後に感冒する等を治す」とあり、処方の具体的な使い方が記されています。

すなわち、手足及び全身の倦怠感、言語が軽微、眼に勢いがない、口中・口角に白沫が出る、食物の味がなくなる、食欲不振、脈が散大で力がない、熱いものを好む、臍部に動悸がする、などの症状を目標とします。また、術後の体力回復、胃下垂、夏やせ、病後の強壮剤、肺結核、感冒、胸膜炎、半身不随、房事過度、貧血、慢性の風邪、低血圧、脱肛、等に応用されます。
 

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このほか、清暑益気湯、六君子湯、白虎加人参湯などを適宜用いるとよいでしょう。


3.灸療法

『養生訓』には灸法として、「脾胃虚弱にして、食滞りやすく、泄瀉しやすき人は、是陽気不足なり。殊に灸治に宜し。火気(灸)を以て土気を補えば、脾胃の陽気発生し、よくめぐりてさかんになり、食滞らず、食すすみ、元気益す」とあります。おなかが弱くて、消化不良や下痢をしやすい人は、お灸をすれば食欲も出て元気になります。
経穴(けいけつ)(ツボ)として天枢(てんすう)穴、水分(すいぶん)穴、脾兪(ひゆ)穴、腰眼(ようがん)穴、足三里(あしさんり)穴を勧めています。特に臍の両傍にある天枢穴は著効があります。
 

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<参考文献>
根本幸夫:漢方春夏秋冬、薬局新聞社、1995年.
やさしい漢方ハンドブック、総合漢方研究会編、平成14年.
宋版傷寒雑病論(二訂版)、東洋学術出版社、1990年.
尾台榕堂:類聚方広義(第三版)、燎原書店、1988年.
やさしい漢方入門、総合漢方研究会編、健友館、1995年.
矢数道明:臨床応用漢方処方解説、創元社、1997.
根本義雄:古方の薬味、春陽堂、昭和62年.
矢数道明:漢方後世要方解説、医道の日本社、平成3年.
貝原益軒:養生訓(松田道雄訳)、中公文庫 入江靖二:図説・深谷灸法、緑書房、1980年.


著者:小松一

 




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