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4.陰陽五行説|漢方歳時記

4.陰陽五行説|漢方歳時記

2010年07月01日 (木) 09時00分配信 投稿日:10/07/01 09:00 icon_view 758view

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今回紹介する陰陽五行説は、『素問』『霊枢』の中で展開されている、古代中国文明に端を発する哲学思想です。漢方医学の基礎理論として数千年前に体 系化されました。『易経』によって大成された「陰陽論」と、『書経』を根源とする「五行説」を融合させた自然哲学であり、数千年にわたる人々の経験と事象 の蓄積を、自然界の現象と照らし合わせて理論化したものです。
 



■陰陽論


陰陽論とは、森羅万象、世の中総ての物質および現象を、陰(-)、陽(+)の相対する二つの特質に分けて識別するものです。

ただし、陰陽は相対的な分類です。陰と陽に定められたものが、常に陰であり、常に陽であるわけではありません。 例えば、「天地」の関係でいえば、「天」は陽にあたりますが、快晴の日(陽)もあれば曇りの日(陰)もあります。「男女」の関係でいえば、「女」は陰で、 激しく動きまわっている時(陽)もあれば、静かに休んでいる時(陰)もあります。

このように陰陽は、固定概念ではなく、時と場所、対象とするものに応じて自在に変化します。

1.黄帝内経系の陰陽
陰陽論には、根拠とする古典によって、内経系と傷寒論系の考え方があります。内経系では、総括的に、「人は、陰陽二気の結合から生まれ、陰陽が分離して死に至る。すなわち、陰陽の不調和によって病気がおこる」という思想が前提になっています。

<人体の陰陽>



2.傷寒論系の陰陽
傷寒論系の場合は、比較的狭義で、「疾病の発病状態、または発病の傾向(病気のおこり方)を見究める事」そのものに重点を置いています。病気は、陽証と陰証の二つに分けられ、さらに三陰三陽に分かれます。
陽証は、病気の「深さ」、陰証は、病気の「重さ」によって、三段階に分けられます。

<三陰三陽>

■五行説


五行説とは、自然界の総ての事物、現象を、木・火・土・金・水の五大元素に分類し、把握しようとする考え方です。5つの元素は互いに助けあい、抑制しあって推移する関係にあります。相剋説、土王説、相生説の3つの説があります。

1.五行相剋説
鄒衍 ( すうえん ) (BC 320~250)によって唱えられ、王朝交代の革命理論に基盤をおいた理論です。「夫婦関係」ともいい、互いに抑制しあう相剋関係です。


木→土:木剋土(木は土を剋する)  木は土の中に根を張り、土の養分を吸収して生長する
土→水:土剋水(土は水を剋する)  土は水を吸収し、また堤防を創ることによって水の流れを抑える
水→火:水剋火(水は火を剋する)  水は火を消す
火→金:火剋金(火は金を剋する)  火は火力により金属を溶かす
金→木:金剋木(金は木を剋する)  金属は刀や斧となり、木をきる


2.五行土王説


相剋説では、すべてが対等の関係ですが、土王説は、「土」が中心となり、その周辺に木火金水がおかれ、水と火、木と金はそれぞれ相剋しあっています。

後述の五行色体表を見てわかるように、五臓に配当すると火は心、木は肝、金は肺、土は脾、水は腎です。臓器の位置関係が土王説とほぼ一致します。

漢方では、土王説は強い影響力があり、金元四大家の一人である 李東垣 ( りとうえん ) は、この土王説を元に、「病気の治療は、脾胃(消化器系)を強化することが基本になる」と考え、『脾胃論』を著しました。


3.五行相生説
董仲舒 ( とうちゅうじょ ) (BC 179~104)によって唱えられました。「母子関係」にたとえられ、互いに生み生まれる仲のよい関係です。


木→火:木生火(木は火を生ず)  木が燃えて火が生まれる
火→土:火生土(火は土を生ず)  火が燃え尽きると灰土となる
土→金:土生金(土は金を生ず)  金属は土中より産出する
金→水:金生水(金は水を生ず)  水源は金鉱のあるような所にあたる
水→木:水生木(水は木を生ず)  木は土中の水分を吸収して生長する


五行色体表
色体表とは、自然界におけるさまざまな事象や人体の諸器官、生理現象、疾病の際の症状などを、五行の色にそろえて見やすくしたものです。ここでは主なものを抜粋しました。

image

次回は、五臓の働きと病証について紹介します。


<参考文献>
やさしい漢方入門、健友館、1995.
やさしい漢方ハンドブック、総合漢方研究会 、2002.
根本幸夫、根井養智:陰陽五行説-その発生と展開、薬業時報社、1991.
長濱善夫:東洋医学概説、創元社、昭和63年.
素問・霊枢、日本経絡学会編、1992.


著者:小松一



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