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5.夏バテ|漢方歳時記

5.夏バテ|漢方歳時記

2010年07月26日 (月) 17時53分配信 投稿日:10/07/26 17:53 icon_view 644view

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今年の夏は厳しい暑さが続きますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
今回は夏の土用に関する事柄や処方について、紹介することにしました。

 

■土用の丑の日



土用は春夏秋冬それぞれにありますが、一番重要なのが、立秋前の十八日間にあたる「夏の土用」です。一年のうちで最も暑さの厳しい土用の、最初の丑の日に、古来より暑さをしのぐため、様々な行事が行われてきました。

図


なぜ土用の丑の日かというと、下表の通り、五行説において「土」に属す家畜である牛は、梅雨や夏の間に損ないやすい「脾胃」の臓器を養う動物でもあります。暦の上でも、十干十二支との結びつきから「丑」の日が良いとされ、夏の年中行事に加えられるようになりました。

表

この日は、強い土気から身を守るため、干支信仰により牛を水浴びさせて休ませ、人は丑湯と称して入浴し、丑の日の「う」にちなんだウナギや梅干し、瓜等を食べ、また土用灸をすえ、土用シジミや土用餅を食べ、土用の虫干しをしたものです。



■鰻の効用



鰻
夏バテした時の食事として代表的なものが、土用の丑の日のウナギです。ウナギは生薬名を 鰻鱺魚 ( まんれいぎょ ) といい、味は甘平で、毒を持つとされています。

中国・明代の書物『食物本草』には、「 労損 ( ろうそん ) (疲労)を治し、腰膝を暖め、陽を起こす。 湿脚気 ( しつかっけ ) (浮腫のある脚気)、腰腎間の 湿風痺 ( しつふうひ ) (関節痛や麻痺の類)で常に水で洗うように覚えるものを療す。五味を用いて煮て食えば甚だ補益す」と効能の一部に記されています。

ビタミンA、ビタミンB類など滋養に富み、夏場の強壮食品として名高いウナギですが、豊富な脂肪分がかえって酷暑で弱った胃腸に負担をかけてしまう事があります。食べ過ぎには注意しましょう。


椒
また、脂肪の多いウナギを食すために欠かせない山椒(蜀椒)は、山地や丘陵に自生する落葉低木で、若葉をお吸い物や和え物に、果皮を蒲焼や七味唐辛子などの香辛料に用います。

独特の芳香と、大変強い辛味や清涼感があり、胃腸の働きを促します。健胃、胃腸カタル、胃拡張など、芳香性健胃薬としての効能が知られ、漢方では大建中湯に配合されます。

 

■西瓜と白虎湯



西瓜
スイカは、元の忽思慧の『飲膳正要』に、「味甘平、無毒。消渇を主り、心煩を治し、酒毒を解す」とあります。熱を清して、暑さを解消し、煩躁を除き、のどの渇きを止め、小便を利す効用があることから、『本草綱目』に記載があるように、「天然の白虎湯」と言われています。

白虎湯は、人参を加えて「白虎加人参湯」として用いることが多く、夏ばてや糖尿病に頻用される処方です。口中が乾いて頻繁に水を飲みたがる、小便利、煩 燥、高熱、脈洪大、手足のだるさ等を目標にして用います。暑気あたりや日射病、または風邪などの高熱、皮膚病、陽症の糖尿病、腎炎などに応用されます。


<参考文献>
やさしい漢方入門、健友館、1995.
やさしい漢方ハンドブック、総合漢方研究会 、2002.
根本幸夫、根井養智:陰陽五行説-その発生と展開、薬業時報社、1991.
長濱善夫:東洋医学概説、創元社、昭和63年.
素問・霊枢、日本経絡学会編、1992.
姚可成:食物本草、pp. 598-600、人民衛生出版社、1994.
忽思慧:飲膳正要、北京市中国書店出版、1985.
国訳本草綱目、第9冊、pp. 15-17、春陽堂、昭和50年.
中葯大辞典(上)、pp. 849、上海科学技術出版社、1978.



著者:小松一



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