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『薬剤弁護士の簡単法律講座』35.患者の情報提供が間違っていた場合の薬剤師の責任

『薬剤弁護士の簡単法律講座』35.患者の情報提供が間違っていた場合の薬剤師の責任

2013年04月04日 (木) 09時00分配信 投稿日:13/04/04 09:00 icon_view 442view

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事案(松山地今治支判H3・2・5、判タ752・212)

患者Xは、風邪のような症状があったため、医師Yにかかり、問診の際に「以前ピリン系とブルフェン、ポンタールにより呼吸困難になったことがあるが、アスピリンは大丈夫と言われたことがある」と説明をした。これをうけて医師Yはアスピリンを処方し、患者Xは服用をした。しかし、患者Xは、実はアスピリン喘息であったため、アスピリンを服用後呼吸困難になり死亡してしまった。

患者Xの両親が、医師Yに対し、投薬に際して過失があったとして損害賠償を求めた。医師Yは責任を負うか。
 

争点

医師Yは、患者Xがアスピリンは大丈夫と説明したとしても、更なる問診をするなどしてアスピリンの使用を控えるべきであったか。
 

裁判所の判断

裁判所は、「医師Yは、患者から初診時にピリン系とブルフェン、ポンタールが禁忌である旨告げられていたのであるから、医師として患者がアスピリン喘息であることを疑い、たとえ以前アスピリンは構わないと言われたことがあるとの説明を受けたとしても、薬には素人である患者が専門的な用語で説明したのであり、「アスピリン」と「ピリン」は言葉の上でも紛らわしいのであるから、患者の記憶、認識が正確なものであるか、さらにアスピリンの投与を受けた時の状況、薬剤の商品名、医師名などを詳しく問診して確認する診療契約上の義務があったのにこれを怠った責任があると認められる。」として医師Yの責任を認めました。但し、患者Xにもアスピリンは大丈夫と言った過失があるとして、10%を賠償金額から減額しています。
 

薬剤師の情報収集義務

この裁判例は、医師に対するものですが、薬剤師が情報提供や疑義照会を適切に行うためには、患者からの正しい情報収集が不可欠であり、薬の専門家である以上、薬の適正使用を目的とする情報収集に関しては、薬剤師は、少なくとも医師と同等の義務を負っていると考えられます。また、保険調剤においては、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則第8条2項に「保険薬剤師は、調剤を行う場合は、患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認しなければならない。」とも定められています。

したがって、薬剤師も本件のような情報収集義務を負っていることになり、本件と同様の状況で疑義照会等の適切な対応をせずにアスピリンを投薬してしまえば、薬剤師は責任を負うことになる可能性が高いと思われます。

(次ページ)専門的な判断に基づいて・・・

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