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10.事例より考えるやる気の向上(1)

10.事例より考えるやる気の向上(1)

2012年12月04日 (火) 09時00分配信 投稿日:12/12/04 09:00 icon_view 655view

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前回までは、3回にわたり働く人の仕事に対する考え方・心構えを少し変えるだけで、やる気の向上(職員満足度の向上)となり離職を防ぐことに繋がることについて紹介しました。今回から3回にわたり、前述の内容について事例を交えながら深めるとともに、人件費から見た調剤薬局の経営問題についても紹介します。
 

○薬剤師の賃金について

 薬剤師にかかわらず仕事をするうえで賃金は重大なポイントとなります。薬剤師の現状の賃金について少し考えてみます。

内閣府、平成24年6月22日発表のマンスリーレポート「賃金の動向とその物価への影響について」によると、一般の正社員の賃金は、概括的にリーマンショック以降大きく落ち込み、その後やや持ち直しているものの、趨勢としては減少傾向にあります。一方、一般の正社員以外の賃金は増加傾向にある。とされています。実際に国税庁の平成23年民間給与実態統計調査結果によりますとサラリーマンの平均年収は平成21年より406万円、412万円、409万円と推移しています。また厚生労働省の賃金統計調査によりますと、薬剤師の平均年収は510万円前後で推移しています。

正社員の賃金が停滞している中で、今年の4月より6年制薬学部を卒業した薬剤師が社会に飛び立ってきました。その初任給が「新卒薬剤師、「年収600万円」」に代表される薬剤師賃金の高騰記事(日経ビジネス2012年3月19日号等)が相次ぎました。これは薬剤師の平均年収を上回る金額です。中途採用の求人サイトでも年収700万円以上の求人が多数掲載されています。このような賃金の高騰は経営に対してどのような影響があるのでしょう。実際に調剤薬局の薬剤師が稼ぎ出せる売上げはどのくらいでしょうか。以下その試算です。新人の薬剤師に対して「年収600万円」は、薬局内の職員間の給与バランスを崩すだけではなく、経営的にも収支を圧迫するものと言えます。

【試算】薬剤師1日処方箋 上限40枚
処方箋1枚当たり平均8,490円 内調剤薬局の粗利益となる技術料等は 2,130円(25.1%)です。
(厚生労働省:最近の調剤医療費(電算処理分)動向 平成24年2月より)
1か月営業日数を22日とします。
2,130円×40枚×22日=187万円(1か月の粗利益高)
人件費:(50万円+15万円)×1.3=84.5万円(1か月の人件費:薬剤師50万円、アシスタント15万円)
粗利益に占める人件費が45%となります。
粗利益の約半額が人件費となり、残りの金額は約100万円です。(1日40枚の処方箋受け取りが前提)30枚の場合は粗利益から人件費を引いた残額が約56万円となます。ここから経営者の所得や、家賃、水道光熱費等諸経費の支払いが発生します。

如何でしょうか。薬剤師1人当たりの売上げに上限のある調剤薬局の薬剤師業務で、新人の薬剤師が600万円の年収を得られるでしょうか。また、年収600万円となった職員に対する昇給は可能でしょうか。

一方HPの求人サイトでは薬剤師の離職理由がよく紹介されています。例えば薬剤師のお仕事.COMのHPでは、一般的な薬剤師の転職理由として

1:給与の不満
2:仕事のやりがい
3:職場・上司との人間関係が紹介されていました。
 

○給与の不満について

薬剤師給与の現状を整理してみます。
(1) 入社時に賃金が年収600万円である。
(2) 薬剤師として可能な売上げから試算した場合以後の昇給はほとんど見込めない。
(3) 数年後入社の後輩と賃金が変わらない。以上のようになります。
初任給が高い場合、以後の昇給が困難なばかりか、薬局全体で職員間の仕事の質や量による給与の差がつけにくい状況に陥ります。
以前にも働く人々のやる気は賃金だけでは維持できないことをマズローの欲求説等で紹介(第8章:「仕事ができる」)してきました。さらに経営的にも昇給等によるやる気の維持には限界があるいえます。ここで、初任給を300万円とした場合のモデル賃金を試算してみました。下記参考例を参照下さい。経営的にはこれくらいが標準といえます。

参考例:初任給300万円(25万円/月)で毎年平均昇給が5千円/月とした場合
40年後は300万円+(5千円×12×40年)=540万円となります。
この計算には賞与は含まれていません。
以上のように現在の薬剤師の賃金は、業界の支払い能力からみても限界を超えた状況と言えます。今後の賃金アップを考えた場合は、今まで以上に薬剤師のモチベーションを上げて、調剤薬局の薬剤師として付加価値のある仕事(在宅支援等)に幅を広げることがポイントとなります。

他の職種に比べて高水準の賃金で働く薬剤師は、付加価値を高めるために「やる気(モチベーション)」の維持・向上をしていかなければなりません。他の職種以上にモチベーション維持・向上に向けた仕事に対する取り組み姿勢を考える必要があります。

次回以降は「仕事のやりがい」、「職場の人間関係」について紹介します。この「仕事のやりがい」を考える中に「やる気(モチベーション)」の維持・向上を図る道筋があります。


著者:坪内直樹

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