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『医薬品工場の片隅から』15.分子標的薬の現状と課題について

『医薬品工場の片隅から』15.分子標的薬の現状と課題について

2012年05月10日 (木) 09時00分配信 投稿日:12/05/10 09:00 icon_view 260view

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近年、バイオテクノロジーやバイオインフォマティクス等の技術の進歩により、特異性が高く、副作用が少ないという夢のような特徴のある分子標的薬が21世紀初頭より上市されてきています。特にがん治療の分野では、それまでの毒性の高い化学療法剤と比較して、がん細胞の増殖や転移などに深く関わる酵素やタンパク質の阻害を行うことにより、がん細胞に特異的な効果を発揮することができる医薬品です。これはまさに人類が抗生物質を発見して「魔法の弾丸」と呼んで以来の革新的なメカニズムです。
日本で始めて認可された分子標的薬である、トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン (Herceptin))を例とすると、この抗がん剤である抗体は、ヒト上皮細胞増殖因子ファミリーに属する受容体であるHER2に対するヒト化モノクロナール抗体(遺伝子組み換え)製剤です。トラスツズマブは世界で最初のヒト化モノクロナール抗体製剤としてFDAにも認可された医薬品で、そのストーリーは「希望のちから」というノンフィクション映画として公開されています。この製剤の最大の特徴は、Her2という受容体に対する分子標的薬であり、Her2遺伝子の発現を診断することにより、投与前にある程度薬剤の効用を予測することが可能であるという特徴を持っています。
この様に極めて高い抗原特異性を持つ抗体を利用した医薬品は、モノクロナール抗体の作出技術の発展とともに各社がこぞって研究開発を行なっている、いわばバイオ医薬品の花形とも言える領域です。
この抗体医薬と呼ばれる医薬品の殆どは免疫グロブリン(IgG)と呼ばれる分子量15万~17万のタンパク質で、人体の血漿中に最も多く含まれるヒト免疫グロブリンです。


(次ページ)抗体は図で示してあるように・・・

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