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臨床腫瘍薬学研究会について|がん治療と向き合う薬剤師

臨床腫瘍薬学研究会について|がん治療と向き合う薬剤師

2012年02月01日 (水) 09時00分配信 投稿日:12/02/01 09:00 icon_view 429view

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1.はじめに

 わが国では、2人に1人ががんに罹患するといわれており、年間30万以上の人ががんでなくなっています。そのため国ではがん対策として第3次対がん10か年総合戦略やがん対策基本法など様々な対応をとっています。がん治療は手術・薬物療法・放射線療法を単独または組み合わせて行っていますが、そのうち、薬剤師は主に薬物療法を担当しています。では、がん薬物療法において薬剤師はどのように関与しているのでしょうか。
最近のがん薬物療法は、副作用の少ない抗がん薬や新たな治療法の開発、副作用対策の充実により外来においてがん薬物療法が行われるようになってきています。しかし、外来における抗がん薬の点滴静注等による治療では、患者が自宅へ戻ってから発生する副作用への対応が問題となります。病院では、医師、薬剤師、看護師などの医療従事者が副作用発生時に対応しますが、患者の自宅で発生する副作用には、患者や家族などで対応しなければなりません。病院で対応方法などを聞いてはいますが、患者はとても不安な時を過ごすことになります。対応が遅れると命にかかわる事態になることもあります。
 

2.がん治療への薬剤師の関わり

 病院では、がん専門薬剤師やがん薬物療法認定薬剤師が中心となり、外来の治療センターなどで、抗がん剤調製を行うとともに、患者に抗がん剤による治療内容や発生する副作用とその対策などについて説明しています。外来患者に対する薬剤師外来を設置し副作用モニタリングや支持療法の提案などを行っている病院もあります。

しかし、薬剤師が外来患者に手厚く関わっている病院は少なく、多くのがん患者は、医師の診察を受け、経口抗がん剤が書かれている処方せんを受け取るか、または外来で注射による治療を受け支持療法薬が書かれている処方せんを受け取るかして薬局へ持参します。これらの処方せんには、経口抗がんや支持療法薬の分量と用法・用量が書かれていますが、どのくらいの期間服用した後、どのくらい休薬するのか、また、経口抗がん剤と注射抗がん剤との併用治療の可能性もあります。解熱剤と抗菌剤、副腎皮質ステロイド軟膏だけの処方せんでは、抗がん剤の副作用の予防や対応のための支持療法薬と気づかないこともあります。患者から十分な情報が聴取できるでしょうか。
 

3.臨床腫瘍薬学研究会について

がん薬物療法は、従来の殺細胞性抗がん剤を2種、3種と組み合わせたり、放射線と組み合わせたり、新しい作用機序の分子標的薬との併用など、様々な治療法が開発されています。また、効果も副作用も注射抗がん剤と同等の経口抗がん剤も積極的に用いられています。今後も様々な新薬が発売される予定です。
治療の現場では、医師、薬剤師、看護師などによる医療チームにより、より効果的な、より安全ながん治療を目指しています。領域によっては、大きな成果を上げていますが、抗がん剤の効果が発揮できていない領域もあります。このような現状のなか、1昨年の秋に、全ての薬剤師が、他の職種とがん治療に携わるための知識の共有と連携を図りながらがん薬物療法をより効果的により安全に行うため臨床腫瘍薬学研究会(Japanese Society of Pharmaceutical Oncology : JASPO)を設立しました。

JASPOの主な事業は、(1)学術大会やセミナーの開催 (2)薬薬連携の強化・推進 (3)臨床研究の推進 (4)メーリングリストによる会員相互の連携 などです。昨年6月には2日間のセミナーを開催し、多くの薬剤師が参加し好評を得ました。また、JASPOの会員はメーリングリストに登録され、年に数回の学術大会やセミナーへの参加だけでなく、日々、JASPOとつながっています。がん薬物療法に関する情報交換をいつでも行うことができるのが、JASPOの特徴の一つでもあります。
 

4.薬薬連携

 JASPOの大きな事業として、薬局の薬剤師と病院の薬剤師が連携を図り、がん患者をしっかりサポートしていくための薬薬連携があります。現在、もっとも力を入れている事業です。先に述べました外来患者のがん薬物療法を安全に有効に行うためには、薬局の薬剤師と病院の薬剤師が連携・協力することが絶体条件です。JASPOでは、その連携の取り方・システムなどを考えていきます。病院と薬局の相互の情報の伝え方や、どのように連携することでがん患者をサポートできるのかを検討します。また、連携・協力するためにがん薬物療法に関する知識を一緒に学んでいきます。薬局の薬剤師には、経口抗がん剤だけでなく、注射抗がん剤による治療についても学んでいただくことで、処方せんに書かれている支持療法薬についても適切に患者に服薬指導できます。そのことが患者の安心につながります。患者に最も近い存在の薬局の薬剤師が副作用のモニタリングすることが必要です。がんはステージが進むにつれがん薬物療法の選択肢は少なくなってきます。抗がん剤は効いているのに副作用により治療を中止することを薬剤師の力で減らしましょう。
 

5.日本臨床腫瘍薬学会(JASPO)

 JASPOは、この3月17日、18日に東京虎ノ門のニッショーホールで臨床腫瘍薬学研究会学術大会2012を開催します。
また、18日のJASPOの総会では、研究会設立時からの目指していた、一般社団法人日本臨床腫瘍薬学会への移行についても議論していただきます。承認されれば、薬剤師による初のがんに関する学会として再スタートします。目的は、現在の研究会と同じですが、さらに多くの薬剤師やがん薬物療法に従事する人の参加により、それぞれの事業を幅広く展開していく予定です。また、薬局の薬剤師を含めたがん薬物療法に関する専門性を有する薬剤師の養成・認定を行っていくこととしています。
薬局の薬剤師の皆さん、JASPOに参加して、がん薬物療法を有効で安全に行うために、一緒に行動しませんか。多くの薬剤師の参加を願っています。
臨床腫瘍薬医学研究会については、http://jaspo-oncology.org/をご覧ください。


著者:遠藤 一司

 

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「がん治療と向き合う薬剤師」の連載記事
・臨床腫瘍薬学研究会(薬局薬剤師としての活動)
・臨床腫瘍薬学研究会(薬薬連携)
・薬薬連携の重要性‐薬局薬剤師の立場から-
・薬薬連携の重要性-病院薬剤師の立場から-
・薬学生が考える“薬薬連携”とは?

*連載記事の一覧はこちら

 

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