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臨床腫瘍薬学研究会(薬薬連携)|がん治療と向き合う薬剤師

臨床腫瘍薬学研究会(薬薬連携)|がん治療と向き合う薬剤師

2012年03月22日 (木) 09時00分配信 投稿日:12/03/22 09:00 icon_view 304view

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1.はじめに

 私の勤務する調剤薬局は、内科・小児科・耳鼻咽喉科・整形外科の門前として地域密着型の業務を行い、在宅医療へも少しずつ取り組んでいます。また、応需する処方せんは多岐にわたり、月に数名ではありますががん患者の来局もあります。
  近年、がん患者のがん化学療法は入院から外来へと移行しています。病院では抗癌剤の注射剤を投与し、調剤薬局へは内服抗癌剤の処方せんが持ち込まれる場面が多くなってきました。また、注射剤のみの投与で院外処方せんには有害事象を軽減させるための支持療法薬のみが記載される場合も少なくありません。
  このような時代の流れの中で、薬局薬剤師ががん患者への切れ目のない関わりをどのように構築するのかが重要です。さらに病院薬剤師との薬薬連携をどのように取っていけばよいのか、お互いの立場を経験したことから述べてみたいと思います。
 

2.病院薬剤師の関わり

 私が以前勤務していた病院は東京都認定がん診療病院に認定され、多摩地区において地域医療の中核を担っていました。そこでは、がん患者さんが通院治療をしている輸液療法室の専任薬剤師に任命され、同時に緩和ケアチームにも所属することになりました。
  輸液療法室では抗癌剤を無菌調製したり、がん化学療法レジメンの治療スケジュール、有害事象の説明とその対処方法、支持療法薬の使用方法等について服薬指導を行い、院内で作成したツールを用いて患者、家族および薬局薬剤師への情報提供も行っていました。また、他職種と連携して医師の診察前に問診をとったり、クリニカルパスを用いて有害事象の評価を行ったり、抗悪性腫瘍剤の減量や支持療法薬の提案など積極的に関わっていました。

その一方で、有害事象の多くは在宅で発生しているため、適切な対応が出来ているか心配なことが多かったです。近年は、新規抗癌剤の内服薬が多く開発されてきているため、薬局薬剤師がどのように関わりを持っているのか興味がありました。この時から、薬局薬剤師の方々と連携ができれば有害事象の情報収集や早期の対応ができるのではないかと考えていました。また、病院薬剤師が使っているツールが有用に活用されているか評価をする必要もありました。
 

3.薬局薬剤師の関わり

 がん医療について病院で学んだ後、在宅医療に関わりたく薬局薬剤師への道を歩みました。当薬局は地域密着型で広域の処方せんを受けています。月に数枚ですが、抗癌剤の処方せんを受け取ることがあります。
  ある日の服薬指導で同僚より、「がん患者さんにどのように関わればいいのか、わからない。病気のことはいろいろ聞いてはいけないのでは・・」と言われました。確かに、調剤薬局では、患者のプライバシーをどのように確保するか、患者情報をどのように聴取していけばよいのか、とても大きな問題がありました。さらに、病院から情報が伝わらない原因のひとつに病院と薬局間での大きな違いがあることに気づきました。それは、病院ではがん患者および家族に対して十分な病状や治療の説明を文書で直接行いますが、薬局へは患者本人が来局しないことが当然あるため情報が伝わらず、また患者以外の代理人でもキーパーソンでない限り十分な情報を得られないことが多いのが現状でした。
  このようなことからも、薬局薬剤師と病院薬剤師はお互いに顔の見えるつながりを作る必要があり、確実に届けられる情報提供の方法を再検討する必要性があるのではないのでしょうか。
 

4.薬薬連携のひとつとして

 調剤薬局は病院と違って、病名や治療方針、臨床検査値など診療に関係する情報を得るのは困難なことが多いです。また、一般用医薬品や衛生材料などの販売も行っている場合があり、病院薬剤師とは異なった視点からアプローチが可能であると思います。例えば、がん患者が在宅において有害事象が発生した場合すぐに対応ができるように、薬局薬剤師も起こりうる症候を学ぶべきであろう。例えば、ホルモン療法を受けている閉経後の再発乳癌患者で他院で骨粗鬆症の治療中に両手指関節の腫脹と痛みが出現した場合、どのようなプロセスで薬学的な判断をしてトリアージすべきでしょうか。また、このような情報を病院薬剤師へ還元し、受診勧奨もできるようになると外来がん化学療法の安全性の向上に寄与することができるのではないでしょうか。
 

5.臨床腫瘍薬学研究会への参加

 この研究会へ参加してがん医療を共に学ぶ多くの仲間と出会い、病院薬剤師と薬局薬剤師の立場は異なるが、共通の認識を作り上げていくことが薬薬連携には必須であることが実感できました。

■この記事について



医薬分業が推進されるにつれ、調剤薬局では外来でがん化学療法を受けるがん患者の院外処方せんを応需する機会が増えていきています。そのため、有害事象の管理や適切な処方監査が薬局薬剤師にも求められるようになってきました。

  がん領域での薬薬連携が推奨される中、病院薬剤師と薬局薬剤師間での情報共有の方法について様々な取り組みが行われています。これまでの病院と調剤薬局の両方の経験から、薬薬連携の問題点と、これからの取り組みについて述べていきます。

 

■著者プロフィール





男鹿 宏和 (おが ひろかず)


[所属学会・委員会等]
日本臨床腫瘍学会
日本緩和医療学会
日本緩和医療薬学会
日本在宅医療学会
日本病院薬剤師会
簡易懸濁法研究会
日本医療薬学会
日本アプライド・セラピューティクス学会
日本静脈経腸栄養学会
日本プライマリケア連合学会

[職歴等]
平成13年3月 東京薬科大学薬学部薬学科卒業
平成15年3月 東京薬科大学大学院薬学研究科医療薬学専攻修士課程卒業
平成15年7月 日本医科大学多摩永山病院薬剤部 勤務
平成23年4月 株式会社本木薬局 勤務

 

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「がん治療と向き合う薬剤師」の連載記事
・臨床腫瘍薬学研究会について
・臨床腫瘍薬学研究会(薬局薬剤師としての活動)
・薬薬連携の重要性‐薬局薬剤師の立場から-
・薬薬連携の重要性-病院薬剤師の立場から-
・薬学生が考える“薬薬連携”とは?

*連載記事の一覧はこちら

 

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