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薬薬連携の重要性‐薬局薬剤師の立場から-|がん治療と向き合う薬剤師

薬薬連携の重要性‐薬局薬剤師の立場から-|がん治療と向き合う薬剤師

2012年06月11日 (月) 09時00分配信 投稿日:12/06/11 09:00 icon_view 446view

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1.はじめに

  日本人の 3 人に 1 人ががんを死因とする現在、がんは多くの日本人が直面しうる疾患です。がんの治療法には外科療法・放射線療法・化学療法があり、最近ではいくつかの治療法を組み合わせるケースが増えています。また、化学療法だけを見ても、多剤併用療法が主流となっています。投与時間が短く、副作用の少ない薬剤の開発、副作用対策の進歩、患者のQOL向上を意識した治療法の確立により、外来で化学療法を受ける患者数は近年急速に増加しています。内服抗がん剤は個々の患者の状態に合わせて投与され、様々な点滴薬剤と併用される場合もあり、予後や治療方針の変更に係わる副作用も多いです。そのため、継続的に服薬状況や副作用状況を確認することが重要です。さらに、日常生活での注意点や、体調変化が生じたときの対応方法などの情報を提供することも大切です。
これらのことから、化学療法の効果を最大限に発揮するために、薬局薬剤師の役割が注目され始めました。
 

2.薬局の実状

 私が勤務している調剤薬局は、東京都のがん診療連携拠点病院である大学病院に隣接しており、がん患者の来局が数多くあります。このような立地の薬局なので、病院との連携は確立され、服薬サポートもしっかり行われているのだろうと入社前の私は思っていました。
しかし、実状は異なりました。薬局薬剤師は病院薬剤師に比べるとがんの化学療法についての知識が不足しており、処方箋からだけでは医師の処方意図を十分に読み取ることができず、また、告知の有無が分からない、余計なことを言って治療の妨げになったらどうしようという不安、心のケアの方法がわからないなどの点から、患者からも十分な情報収集が行えていませんでした。すなわち、がん種も、病院で受けている治療や説明内容も、臨床検査値も不明確な状態で処方監査を行い、当たり障りのない無難な服薬サポートを行っている状態でした。
この状態は、"薬剤師"としての役割を果たしていると言えるのでしょうか?
 

3.薬局と病院の連携の実現

 そのような状態が続いていた入社2年目の初め、私が勤務している薬局と大学病院で、がんの化学療法・緩和ケア・薬薬連携についての新たな取り組みが始まり、そのチームへの参加を勧められました。私にその役目が務まるのか不安もありましたが、思い切って参加してみることにしました。
まず、病院で開催されている症例検討のグループワークや、各がん種のレジメン・副作用予防のためのケア方法についての勉強会に参加しました。理解しやすいように基礎から説明していただけたので、正確な知識をしっかり身に着けることができました。そのうち、処方箋から医師の処方意図を読み取ることができるようになってきました。
また、病院薬剤師の協力の下、一部の内服抗がん剤に対して、確認すべき項目をまとめたチェックシートを作成し、服薬サポートを行うようにしました。当初は、「どうして薬局でそんなことを話さないといけないんだ」「薬局は薬だけ渡してくれればいい」など、取り組み自体がなかなか理解されなかったり、薬剤師側からの一方的な聞き取りになっていたりしました。しかし最近では、「病院では話せなかったんだけど、気になる症状があって」「検査値の見方を教えてほしい」など、不安に感じることや、知りたいことについて患者側から話をしてくださる機会も多くなり、患者-薬剤師間に信頼関係が生まれ、患者と向き合った服薬サポートが行えるようになってきていると実感しています。
これらの取り組みを通して、病院薬剤師の存在がとても身近になり、判断に悩む場合でも確認しやすくなったことは、とても心強く感じます。一方で、薬局薬剤師だからこそできる"患者により近い立場からのサポート"があることも実感しました。これらのことから、病院薬剤師と薬局薬剤師が迅速に情報交換できる体制を整えることは、外来がん化学療法の安全性の向上につながるのではないでしょうか。
 

4.臨床腫瘍薬学研究会学術大会2012への参加

先日、臨床腫瘍薬学研究会が主催している学術大会に参加しました。そこで私は、「薬剤師のキャリアデザイン~踏み出す一歩で未来が変わる~」という演題で、薬局薬剤師の立場でお話をさせていただきました。これから薬剤師として踏み出す学生の進路選択の一助となることを目的としたセッションでしたが、がんという疾患、もしくは、がん患者に対して、病院薬剤師・MR・研究職・Pharm.D.という立場の方々が、どのように向き合っているのかについてお話を伺うことができたので、私にとっても自分を見つめ直す良い機会になりました。また、「経口坑悪性腫瘍剤S-1処方患者に対する服薬サポート向上への試み」という演題で、ポスター発表も行いました。
今回の学術大会を通して、今まで交流の機会を持てなかった多くの病院薬剤師の先生方と意見交換ができたことは、とても新鮮で学ぶことが多くありました。また、病院と薬局でモチベーションの差があったり、地域差や立地上の問題を抱えつつも、薬薬連携を実現させるため、試行錯誤されている先生方からもお話を伺うことができました。新しいことを始めたり、現状を変えたりするためには、思い切って大きな一歩を踏み出すこと、問題点を改善しながら共通の認識が持てるように粘り強く続けることが大切だと改めて実感しました。
 

5.今後求められる連携

現在、日本は高齢社会を迎えており、高齢者の療養場所は、病院から在宅に移行しつつあります。そのような社会情勢に対応するためにも、今後は、病院に隣接している薬局と在宅となった時の薬局間の薬薬連携体制も整えていく必要があると感じています。そして、そう遠くない将来には、多職種での連携など、さらに広い範囲での連携も重要視されてくるでしょう。これらの要求に柔軟に対応できるように、心構えをしておく必要があるのではないでしょうか。


■著者プロフィール




岡由美子 (おかゆみこ)

平成19年 北里大学薬学部薬学科卒業
平成21年 北里大学大学院薬学研究科薬学専攻修士課程修了
株式会社メディカルファーマシィー ミキ薬局就職
第二女子医大通り店勤務
日本臨床腫瘍薬学会 所属

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