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8.理想と現実のギャップを生む要因|薬剤師の働き方

8.理想と現実のギャップを生む要因|薬剤師の働き方

2012年08月08日 (水) 09時00分配信 投稿日:12/08/08 09:00 icon_view 531view

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■まずは今の自分を確認しましょう

前回の記事では、大学受験の時代までさかのぼって振り返ってみました。いかがでしょうか。あらためて自分がこの道に入ったころを思い起こすと、だいぶ変化したことも気づくのではないでしょうか。この先将来を考える上で、もう少し今の足元をしっかり見つめておきたいと思います。今回は、学生時代の就職活動まで振り返ってみましょう。

自分自身の経験からも、同級生や後輩たちの声を聞いても、大学で学び就職活動時に描いていた薬剤師像と、現在働いて感じる薬剤師像には少なからず「理想」と「現実」のギャップがあるようです。

みなさんはこの先、将来どんな自分になりたいか考えていますでしょうか。もちろん、十人十色の未来がありますので唯一の答えはありません。そんな中で道を選択し進むわけです。これをお読みくださっている方には、転職を考えている方、すでに転職して新しい道を選択された方、転職までは考えていないけど将来に対して漠然とした不安を持たれている方、確信を持って未来に向かって歩まれている方、さまざまでしょう。

まずは、自分の就職活動という短い時間でどんなイメージを抱き将来を考え、今の道に進まれたのか考えてみましょう。これらのことは、現役の学生で就職活動されている方、まだまだこれからの方にも役立つと思います。


■「理想」と「現実」のギャップを生む要因

前述の「薬剤師の働き方4分類と相関関係」でも書きましたが、薬剤師をひとくくりにすることは難しく、それぞれに特徴があり必要に応じて学ばなければならないこともあります。

それでは、なぜ「理想」と「現実」にギャップがあるのでしょう。友人たちへのヒアリングも行った結果、次のように外側と内側2つの要因に分けられました。
 

外的要因 内的要因
・大学で学ぶ機会が少ない
・きれいな情報が多すぎる
・変化のスピードが速くなった
・国家資格の価値過大評価している
・隣の芝は青く見える/石の上にも3年
・学び続ける姿勢が足りない
・職種や自己分析不足だった


■外的要因

外的要因とは、私たちを取り囲む環境にあるといえます。ちょっと高い視点、鳥の目で見渡すと、いろいろ気づくことがあると思われます。

・大学で学ぶ機会が少ない
そもそも大学は学問として学ぶ教育の場で、専門学校と違い就職先を考えたカリキュラムとなっていないのが現状です。しかし、医療系学部は他の理系や文系に比べ、幅広い就職先が考えられるわけではありません。

欧米の薬科大学では、実務者としての薬剤師を育成するカリキュラムになっています。研究者や臨床薬剤師育成や国の政策立案コースに分かれていたり、卒業生が実務を教えたりして6年間の学びの中で将来を見据えることができ、ギャップ生まないカリキュラムになっています。

・きれいな情報が多すぎる
5年次になって実務実習を行うことで社会との接点を持ち、秋からは就職活動が始まります。この時期になるまで、学生のうちはあまり卒業後のイメージを考える機会が少ないと思われます。まして企業側は、競合他社と差別化をはかり自社の良い面をアピールするものです。現代の情報社会において、玉石混交な情報の中で自分にとって必要な情報を選別する視点を持つのはなかなか難しいのが現実です。

・変化のスピードが速くなった
医薬品業界に限った話ではありませんが、情報が国境や組織を越える時代になり、過去の延長線上で考えられない時代になりました。昨今の薬剤師を取り巻く環境の変化も例外ではありません。昔までのイメージで過ごしていたり、過去の成功にこだわり続けてしまったり、今の変化に気づかなければ、ゆでガエルになってしまいます。


■内的要因

内的要因とは、私たちの考え方や心の中の問題です。自らの内側の声を、謙虚な気持ちで耳を傾けると聞こえてくるのではないでしょうか。

・国家資格の価値過大評価している
私の知人にも転職を繰り返し、履歴書に書ききれない職歴を持っている方がいました。その方いわく、「職場が自分に合わないとか、嫌だから辞めるとか薬剤師の国家資格に頼って経験を積んだつもりになっていた。しかし、結果的にスキルが身につかず、時間だけが過ぎてしまい、もう身動きが取れない。」とおっしゃっていました。やはり、その時与えられた環境から逃げない姿勢は、成長へつながる一歩です。

・隣の芝は青く見える/石の上にも3年
人間は欲深き生きもの。ついつい、「あいつはいいな、それに比べて俺は・・・」とか比較して考えがちです。そもそも、就職活動のとき選んだのは自分です。せっかく時間をかけて研究して選び抜いたわけですから、最低でも3年はがんばる中で自分を見つめ直しても遅くはありません。金子みすずさんの詩ではありますが「みんなちがって、みんないい。」のです。

・学び続ける姿勢が足りない
「大学の卒業試験もパスし、薬剤師国家試験も合格したのだから、もう勉強から解放される♪」
こんな風に考えていたのは、若いころの私だけでしょうか。
医療は日進月歩です。医薬品に関する情報も日々、アップデートされています。アップデートされた情報を学び続けなければ、薬剤師として務まりません。また社会では、薬剤師としてだけでなく人間的成長も求められます。医薬品だけでなく、幅広い知識を学ぶ姿勢があると、周囲から必要とされる人財となります。

・職種や自己分析不足だった
後悔しても仕方ありません。そのとき自分は、最良と思われる選択をしたはずです。どっちかを選べば、もう片方は捨てなければならないことに気がつきます。人は経験してこそ学ぶことも事実です。考えに考えを重ね、将来ありたい姿が見えたなら、大いに転職も考えましょう。一方で、「今の自分の選択は間違ってなかった。」と、他人との比較で揺らぐことなく、力強く歩まれている姿は輝いて見えます。


■これから就職、転職を考えている方へ

就活戦線では、超売り手市場と言われる薬学生です。きっと甘い誘いが多いと思います。歴史に学ぶなら、これをバブルと呼びます。バブルの中に置かれると、人は熱狂し自分を見失い、周囲に流されてしまいます。
「勝って兜の緒を締めよ」
ここは、あえて厳しい将来を想像し、今の時点で楽な道を選択するのは避けて欲しいと思います。これから先、いつでも登っている山を下りる機会もありますから。

これから転職しようと思っている方にとっては、むしろ今が好機かもしれません。薬剤師不足は数年続くでしょう。しっかり将来を考え、自らも成長できる企業や組織がいいですね。そこで経験して適応していくことで、これからの変化の時代を乗り切れると思います。


著者:長尾剛司


*この記事は2018年2月14日に更新しました。
*本記事の掲載内容、データ、リンク先、著者の所属先や肩書などは掲載当時のものです。

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