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10.求められていること【1】節約|薬剤師の働き方

10.求められていること【1】節約|薬剤師の働き方

2012年10月31日 (水) 09時00分配信 投稿日:12/10/31 09:00 icon_view 374view

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■ユニクロ、マクドナルド、グーグルのお得感

私たちの生活にとって、節約って大事ですね。無駄に割高なものを買いたくないですし、安くていいものを探したくなります。電気や水道にしても節約するものと教えられています。

衣服ならタンスやクローゼットにはユニクロ製品が入っている人も多いでしょうし、外食でマクドナルドに行ったことない人のほうが少ないでしょう。インターネットなら、グーグルのもたらす無料というのは魅力的で使っている人は多いと思います。

このように生活に浸透している安くてお得感のあるものは、限られたお金の中でお財布にやさしく、ありがたいモノです。このほかにも多くのモノやサービスが、私たちの身の回りに多く存在し、その中からそれぞれの価値観で選んでいます。
 

■医療財源という源泉

私たちにとって、限られた身近なお金。言い方をかえると私たち薬剤師の給与はどこから、運ばれてくるのでしょうか。

もちろん、所属している企業や病院などからです。その企業や病院などは、どこからお金を得ているのでしょう。一つは顧客や患者です。ドラッグストアであれば小売業なので、モノを買ってくださった顧客となります。薬局や病院であれば、患者が保険を使うことで全額のうち3割を負担して支払ってくれます。さて、あとの7割はどこから支払われるのでしょう?

かなり大雑把なのは承知ですが、医療機関(薬局と病院)の薬剤師の給与の源泉は、3割は患者で、7割は保険者である国や自治体、健康保険組合なのです。いわば、7割は税金である国の財源ということです。

今、その7割を支払ってくれている医療財源という国のお財布が、持続困難な状況に追い込まれています。もし、このまま医療費が増大し続け国家の財政が破綻すると、かなり極端な表現になりますが、レセプト請求しても基金からの支払いが遅延したり、請求したにもかかわらず減額させられたり、最悪は支払われなくなる可能性もあります。視点を変えると、私たち医療従事者の給与が支払われなくなる可能性もあるというものです。


■医療へのコスト意識

今まで、医療においてコスト意識が低かったといわれています。「検査漬け」や「薬漬け」などと呼ばれコストをかけた医療を行っても、高齢患者の医療費負担は無料という時代もありました。しかし、現在は医療費3割負担となり、負担が重くのしかかっていますので、治療効果と薬剤費の費用対効果の高い医療を実践することが望まれています。

過去には、優れた医薬品によって手術が軽減され、入院も減り、トータルの医療費が軽減された事例があります。みなさんもご存知、H2ブロッカーとPPIです。当時は、まだ高薬価でしたので薬剤費としては増えたものの、手術・入院が減り外来のみで治療できるようになりました。これにより、トータルの医療費削減に貢献し、かつ入院しなくても外来で治療が可能になりQOLが向上したように、疾患の治療を総合的に判断することになります。特に、DPC(診断群分類包括評価)という医療費の定額支払い制度を導入している病院においては、コスト管理が重要になり、同種同効の医薬品やジェネリック医薬品なども含めて、費用対効果も選択基準になります。

日本においてはジェネリック医薬品の普及が遅れていました。そこで処方せん様式の変更がなされ、一般名処方から薬剤師がジェネリック医薬品を推奨し、患者が医薬品を選ぶ時代になったのです。一般的には慢性的な疾患において、薬の連続服用を余儀なくされます。薬代の3割負担の現在ですと、年間で支払う金額に大きな差が生まれます。この節約できた差額で、患者の満足できる生活や健康的な生活を支援することが可能になり、広義のQOLの向上に役立てることができます。


■海外の事例から日本の薬剤師の未来を考える

米国の医療制度は、外来に関しても包括型医療が中心で、医療費を疾患ごとに一定額の中の保険で医療を提供する必要があります。医療提供側には、使用する医薬品にもコスト管理を行いながらEBMを実施する、効率の良い医療を求められます。

一方、包括医療の場合、薬剤費のコスト削減が医療提供側にとって経営的なメリットになります。しかし、過度な薬剤コスト削減によって医療の質を低下させてしまい、かえって医療費がかさむことにもつながります。薬剤師には、質の高い医療を維持しながら、コストエフェクティブ(Cost Effective:費用対効果)な薬剤選択が求められています。

欧米の薬剤師は、薬の専門家として、医薬品に関する情報を収集し客観的に分析しています。医薬品に関する情報は、製薬企業からの情報では偏った情報として捉えているため、製薬企業に頼ることなく、科学的根拠に基づく医療(EBM)、医療経済性など、最新の論文、医学雑誌からも薬剤師自ら入手しています。

コストエフェクティブな医療を実践するために、薬剤師は医薬品の情報を、公平で中立的な評価を行い、入院・外来も含めた総合的な医療費の抑制と、医療の質を高める薬剤選択を求められています。薬剤コスト削減は、病院の経営面へ大きく影響することから、薬剤コスト削減のために専門の薬剤師を置く病院もある関心の高い業務です。

これからの日本の薬剤師には、公平で中立な情報分析によって重複投与や残薬の軽減も求められており、まさに『節薬』も求められているのかもしれません。
 
著者:長尾剛司


*この記事は2018年2月14日に更新しました。
*本記事の掲載内容、データ、リンク先、著者の所属先や肩書などは掲載当時のものです。
 

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