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『薬剤師業界のウラガワ』6.「大甘な見通し」は誰ですか?

『薬剤師業界のウラガワ』6.「大甘な見通し」は誰ですか?

2012年10月01日 (月) 09時00分配信 投稿日:12/10/01 09:00 icon_view 590view

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文部科学省は定員割れを引き起こした薬科大学へヒアリングを行っている模様だ。薬学教育6年制誕生の際、一部の教育関係者が懸念していた事態が発生したことが原因と言えそうだ。

そのヒアリング内容の精度はさておき、ウィキペディアに「私立薬科大学定員割れ問題」が個別の項目として存在していること自体が異常と言っていい。

5年ほど前、前出の教育関係者が心配したのはこんな内容だった。「地方都市に聞いたことも無いような薬科大学が次々と新設されている。少子化が叫ばれて久しいなか、若い人を呼び込んで地域の活性化も視野に入れているところもあるが、正直言ってお金さえ払えば誰でも入学させてしまうのではないか。実質的な全員入学状態は、これまで維持してきた薬剤師の教育環境を担保することが困難になるのではないか。薬剤師会として乱立を止めることはできないのか」。

これに対して薬剤師会は文部科学省に掛け合うと回答したが、実際は薬科大学の設立に歯止めは掛からなかった。

それもそのはず。
監督官庁である文部科学省は数年前にこんなことを発言していたのをメモしている。「薬科大学が新設することに対して問題視はしていない。しかるべき基準をクリアしていれば、文科省として申請を止めることはできない」と表立ったコメント。そして、オフレコではこんなことも付け加えた。「結局、色々と課題の出るところは入学定員に届かなくなり、(経営が)苦しくなる」。

つまり、自然淘汰されていくのを待つと当初から決め込んでいたのだ。

こうしたスタンスである監督官庁が、調査を実施すると聞いたとき違和感を覚えざるを得なかった。「なぜ、最初からチェックしなかったんだ」と。

それは金銭だけの問題に留まらない。その大学に入るために努力し、また大学で勉学に勤しんだ時間は二度と帰らない。一部の大学では国家試験のための大学内試験ばかり行われており、最終的には入学者の3分の1程度しか6年生になれないところもあるという。薬科大の実質的な専門学校化。文科省は「見通しの甘い大学も見られた」とコメントしているが、そのセリフ、自身の胸に手を当ててから発して欲しい。若者の時間は、文科省の踏み台ではない。


著者:薬業界を幅広く取材する中堅ライター

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