薬剤師業界のウラガワ
一般用医薬品のインターネット販売の全面解禁か否か最終局面を迎える中、業界内では"スイッチバック"をはじめとするリスク区分の変更凍結が加速しそうな様相を呈している。
まずドラッグストア協会は、3月に行われたドラッグストアショーの記者会見の席上、インターネットでの一般薬販売を全面解禁すると「エパデールOTCがスイッチバックする可能性もある」と指摘。同成分の販売に際しては、医師による事前判定が必須となっており、その後に利用者と薬剤師によるダブルチェックを通った対象者にのみ販売する手法が想定されているが、インターネットはこの手法に馴染まないという考えだ。 現在はトライアルとしてメーカーが選んだ店舗のみでの販売を予定しているが、スイッチに至る検討の中でネット販売を想定した議論はあり得ないものとして、ほとんど検討されていない。
さらに先日開催された薬事食品衛生審議会においてもボルタレン外用剤などの2類移行が了承されたが、パブリックコメントには「インターネット販売の規制のあり方が明確になるまでの間、リスク区分の変更は見合わせるべき」との声が寄せられた。
つまり異なる場面で示された2つの考えであるが、共通するのはスイッチOTCの大幅な後退を指していると言っていい。
そもそもエパデールに関しては、スイッチ化そのものに対して厚労省と医師会が禍根を残して断行された経緯があり、医師会内で「どうにかできないか」といった声は少なくない。国民皆保険制度下において、セルフメディケーションは馴染まないというワケだ。これまでの審議の流れからすると医師会はネットでのエパデールの取扱いを認めない可能性は極めて高い。
一方で、そもそもこうした動き自体が織り込み済みだったという見方もある。検討会関係者は「なぜ一般薬を取扱っていない医師が検討会の委員になっているのか。ネット販売の大幅解禁となれば、医療用成分は危険と判断され、ほとんどスイッチ化できなくなる。スイッチバックこそが最初から狙いだったのではないか」。
著者:薬業界を幅広く取材する中堅ライター
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