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123.議論の主導権を握る

123.議論の主導権を握る

2014年12月22日 (月) 07時00分配信 投稿日:14/12/22 07:00 icon_view 151view

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さて、たびたび当コラムで登場する薬事食品衛生審議会の体外診断薬検討会。以前には厚労省と医系委員とのやり取りについて記載させていただいたが、先日の会合では、それまでとは違った光景を目にした。

ご存知の通り、この審議会ではスイッチOTC検査薬について議論をしている。健康診断へのきっかけとなるような仕組み作りに向け、医行為を侵襲しない範囲で検査薬のスイッチ化を探っているものだ。先ほどスイッチの原則案が固まり、検査検体としては尿・糞便・鼻汁・唾液・涙液などを用いるのが妥当との結論に至ったが、製薬業界側が期待していた血液を用いた幅広い行為は時期尚早との結論となった。

しかし、この議論の終盤の会合で、毎回議論の序として真っ先に手を挙げる医系委員が全く発言をしなかった場面があったのだ。これまでの会合では座長が意見をもとめると同時に挙手し、マシンガンのように質問をぶつけていたが、この日は座長が全体に意見を求めた場面でも、下を向いたままじっと資料をペラペラとめくるばかりで、一向に発言をする気配がない。

まるで水戸黄門がいつまで経っても印籠を見せないで助さん・角さんの立ち回りを眺めているような感じだ。沈黙の会合のなか、とりあえず他の委員が誤字脱字の確認といった“正直どうでもいい”質問を厚労省に投げ、また厚労省も修正する旨を伝えて淡々と時間が経過していった。議論がなければ座長は「議論はよろしいですか?」と閉会を確認するしかない。すでに医系委員の様子は他の出席者をはじめ、厚労省もチラチラ確認しながら“今日は何も発言しないのか?”という空気に包まれた。

ところが会合の終了間際に、矢継ぎ早に複数の質問を厚労省にぶつけると、何故か安堵するような雰囲気が会場を包んだ。水戸黄門の印籠がやっと出たという拍手にも似たシチュエーションだった。

この様子を見た製薬業界関係者は「うまいよね。会合での戦い方を他の団体に教えているみたいだったよ」と語り、最初からこうしたプランで会合に臨んでいたと分析する。当の本人は「こうやって会合の主導権は握るんだよ」と涼しげな顔で言いたげの表情を浮かべる。

長年、抵抗勢力として立ちはだかることができる理由は、こうした戦い方の上手さにあるのだろう。


著者:薬業界を幅広く取材する中堅ライター

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