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医薬品安全性情報管理学

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5.安全性情報の評価I

5.安全性情報の評価I

2013年05月30日 (木) 09時00分配信 投稿日:13/05/30 09:00 icon_view 530view

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■5.安全性情報の評価I


-医学的知識(疾病における基礎知識)-
-発現した副作用症状の発生機序-
-使用された医薬品に関する専門知識-

安全性情報を評価するためには、以下の「発生した事象」をあらゆる側面から考察する必要があります。
発生した事象
・個々の症例に発現した症状
・発現率が増加してしまったという現象
・発現機序が新たに判明したこと
・安全対策のために取られた行政等による措置・対応
など様々な状況をさしている言葉として一般的に使われています。

ここで実例をあげて評価した道筋を説明します。

更年期を向かえる女性患者が夜なかなか寝れないと医師に話し、その晩から睡眠剤を服用するようになったが、数日して、「夕方になると激しい頭痛にみまわれることがある」と、薬局に訴えてきたので、睡眠剤の副作用ではないかと考え、「先生に話して、服用を控えてみたら」と助言したところ、患者は投与をやめてしまい、数日して、「頭痛はみられなくなった」と話してきたため、睡眠剤の副作用と判断し、「よかったですね。これからは服用しない方がいいですね。」と患者に説明し、これらの経過を企業に報告してきました。皆さんの中には、こんな場面に遭ったことはありませんか。

副作用報告
50歳の女性が不眠症のため○○剤を服用したところ数日して夕方になると激しい頭痛が発現するようになった。このため、○○剤の副作用を疑い服用をやめたところ発現しなくなった。

さて、皆さんはどの様に考えますか。一つの考え方として
「○○剤投与開始から発現し、投与中止して回復していることから薬剤服用と発現の時間的経過から、○○剤による副作用と判断する。」
が、あると思われる。また、別の考え方のアプローチとして、服用していた患者さんはどの様な背景を持っていたかを考え、
「更年期の女性であることから片頭痛(群発性頭痛)、不眠、動悸、胸苦しさなどを主訴とする更年期障害かもしれない。」
また一方、「発現する時間が薬剤の薬物動態から考えると、服用と全く関係のない夕方に発現していることから、直接的な薬理作用とは考えにくい」と、判断する方もいるかもしれません。
「したがって、訴えのあった頭痛は患者の病気の一症状の可能性も否定できない」
と推測することもあります。  


この様に、頭痛に関するひとつの報告について様々な面から検討してみる必要があります。これは、副作用情報に限らず、身体的徴候を評価するうえで重要なことで、あらゆる可能性を考えて、ひとつずつ根拠を持って否定していく方法により結論を導くことが求められます。なぜなら、見逃すことが、即、死亡につながる場合もあるからです。

よく、医学の第一歩として「ゴホンと咳をしたら、まず肺がんを疑え。そして、そこから絞り込め」と、医師は学生の頃からたたき込まれるとのことです。

この様に、様々な可能性を考え、更には、それを否定していくためには少なくとも、「発現した頭痛は、どの様にして発症するのだろうか」の基礎知識がなければなりません。また、更年期障害を発端とする不眠症に対する治療が開始されたのですから、「そもそも更年期障害とはどの様な疾患なのか」を知らなければなりません。次いで、服用した睡眠剤の薬理作用(どの様に体に働き、効果を発揮するのか)、薬物動態(どの様に体の中で消長するのか)、また、どの様な問題点(副作用など)があるかなど、医薬品に関する情報を知っていなければなりません。(場合によっては、患者さんや報告者の性格も判断できなければなりません。)

さて、この実例の回答はというと、診療にあたられていた主治医に確認したところ、「この患者さんは、もともと頭痛を主訴に治療を開始し、様々な愁訴があり、常に患者自身が一番気になる症状につき、多少大げさに表現する性格があります。頭痛が収まり、眠れないのが気になりだし、睡眠導入剤を服用することによりよく眠れるようになったので、もともとの頭痛が気になりだし、訴えたものだと考えています。現在、また、眠れなく胸苦しい感じがすると訴えてきたので、今度は睡眠導入剤ではなく、抗不安薬の処方をだしたところです。」とのことで、「頭痛は、○○剤の影響は全くないとは言えないが、更年期症状の病状の変化によるものと判断するのが妥当で、副作用とは考えられない」との評価コメントを得た事例でした。

以上、安全性情報を評価する場合は、少なくとも医学知識として疾病における基礎知識、発現した副作用の症状の発現機序と(使用された)医薬品に関する専門知識が必要となりますので、学生の頃から十分にこの領域の研鑽に努めて欲しいですし、若い薬剤師さんはより多方面からの臨床経験を集積して欲しいと思います。


著者:草間承吉

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