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医薬品安全性情報管理学

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10.副作用情報評価

10.副作用情報評価

2013年11月06日 (水) 09時00分配信 投稿日:13/11/06 09:00 icon_view 130view

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重篤性、因果関係、副作用用語、既知/未知

さて、安全性情報管理の最も重要なポイントである情報をどの様に評価するかについて、検討方向・視点をいくつかの観点から検討してみましょう。
まずは、安全性情報、すなわち副作用に関する情報とはどのようなものを意味しているかについてです。患者を治療していく過程において、企図しない事象(徴候や症状等)を有害事象といい、この事象の発現と薬剤との関連があるか、否定できないものを副作用といっています。
否定できないとは、関連があるかないか判断できない場合も含まれていることに留意しなければなりません。(これは、情報管理のうえで漏れがあることは許容できないという観点からも重要です。)
副作用情報を評価する視点の第一は、その発現した事象は身体にとって重要なインパクトを与えるものなのか、否かによって判別する必要があります。その事象の発現によって患者が死亡してしまったのか、あるいは死亡の危機を有していた(死に至る可能性があった)のかなどにより、「重篤性」という判断基準があって、以下のとおり全世界的に(グローバルで)、決められています。

重篤の定義
・死亡に至るもの
・生命を脅かすもの
・治療のため入院又は入院/加療期間の延長が必要なもの
・永続的又は重大な障害/機能不能に陥るもの
・先天異常を来すもの
・その他医学的重要なもの

発現した事象とこの規定とを検討し、どれかに該当すると判断されたときは、重篤と評価されます。

因果関係については、「あり、多分あり、可能性あり、多分なし、なし」、「確実、おそらく関連あり、可能性あり、ほとんど関連なし、なし」など、様々な関連性表記方法がありますが、最終的には「はい」「いいえ」になります。(評価の手順等については後述します。)

副作用用語はMedDRA(Medical Dictionary for Regulatory Activities) という症状、徴候、疾患などの疾病名に対する医学用語集を使用します。これは、医療に関する国際間の情報交換を迅速かつ的確に行うために、国際的に共通する用語辞書としてICHにおいて作成されたものです。この辞書では、SOC(器官別大分類)、HLGT(高位グループ用語)、HLT(高位用語)、PT(基本語)及びLLT(下層語)の5階層構造となっていて、副作用の発現状況を評価するのに必要な階層を用いることができます。英語ベースで国際的に維持管理され、この日本語版をMedDRA/Jといいますが、これも国内的に維持管理され、厚生労働省の指示により、行政に提出する資料は、原則的にMedDRA/Jを使用することとされています。

既知・未知は添付文書や治験薬概要書で副作用の用語として記載されているか、否かで判断され、添付文書等の記載からその発生が十分に予測されるものであるかによって判断されます。また、副作用等の発現状況、すなわち「発現頻度が急激に変化した」とか、「その転帰が予測されるものより重篤なものとなっていないか」とか、さらには「相互作用等で、新たな薬剤群との併用により、副作用が発現しないか」も含め、このような状況は、予測をこえるものであることから、未知の情報として評価する必要があります。


因果関係評価の手順

・時間的経過からの判断
ある薬剤の投与により、事象が発現し、投与終了によって症状が消失したなど、薬剤の投与と、事象の消長、時間的経過が関連性を持って説明できる場合があります。このような場合は、まず、その薬剤が疑わしいと判断できます。また、短期的にその薬剤の血中等の薬物動態とパラレルに症状が変化するなどした場合も、当然時間的経過から関連性を持っていると判断できます。
ここで考えなければならないのは、その薬剤が効果を発揮しているときに発現する事象と、投与を契機として発症し、その後は薬効の消長と関連なく進展する事象があることも理解したうえで検討する必要もあることです。

△Decharge
関連性が疑われている薬剤を止めてみたら、その事象がどの様に変化したか。症状が出なくなったら、まず、疑わしい。ただし、発現した事象自身の消長についても忘れてはならない。
△Recharge
関連性が疑われている薬剤を再投与した場合、その事象が再発するか、しなかったかにより 判断し、再発したときは、まず疑わしいと評価すべきです。ただし、こちらも「一度インフルエンザ発症時に投与して精神症状が発現した経験があり、再びインフルエンザが発症したため同じ薬剤を投与したところ、再び同様の精神症状が発現した」からといって、非常に疑わしいと短絡的に判断してはいけません。なぜなら、インフルエンザは、特に小児においては熱性の精神症状は非常に発生しやすい徴候ですので、それを忘れて評価することは非常に危険です。二回投与して二回発現したからと・・!


・薬理作用からの判断
薬剤のもともとの作用により身体への影響が、目的とする症状の緩和だけでなく、他の身体徴候も発現してしまうことがあり、人によっては、また、普段は出なくとも場合によっては出現してしまうことがあります。これらは、一般的には良く認められる副作用として通常は添付文書等に記載されています。(なお、この身体への影響のバランスを考慮して化合物を薬として使用しているわけですので、当然といえば、当然ですが。)
ついで、合併症や併用薬によって薬理作用が増強されてしまい、目的以上に身体への影響が出てしまう場合があります。合併症や併用薬により薬物代謝が阻害され、体内で薬物が活性を保持したまま蓄積されたりするために、予測以上の薬理作用が発揮し続けてしまうためです。(一方、逆に代謝が促進されてしまい、目的とする効果がえられないとする薬効欠如になってしまう場合もあります。)このため、因果関係を評価するには、患者側の情報についても、十分確認したうえで評価する必要があるといわれる理由です。特に、普段は発現していなかった徴候が、なぜ、その時だけに発現したのかを評価するためには、場合によっては、その日の生活状況についても確認する必要も出てきますので、留意しなければなりません。

以上、因果関係を評価するうえで一般的に考えられる(使用されている)方法を示しましたが、このほかにも様々な筋道があり、明確に判断できないことが残念なことですが、非常に多く、解決がついていない問題もまだまだたくさんあります。医薬品を使用する際には、様々な方法で情報を集積し続けていなければならない理由が、ここにあります。
このために、製薬企業は安全性に係わる業務は縮小させることはできず、また、外部へ委託することもままならないことから、開発業務は採用枠が減少しているにもかかわらず、人材確保に奔走しているといった理由がここにあります。



この記事について/著者:草間承吉

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