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医薬品安全性情報管理学

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12.薬学からみた副作用情報

12.薬学からみた副作用情報

2014年01月01日 (水) 08時00分配信 投稿日:14/01/01 08:00 icon_view 291view

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-薬の変化なのか、体の変化なのか-

さて、医薬品安全性情報を様々観点から確認してきましたが、本概論も最終回となりますが、医薬品の副作用をどの様に考えるかについて検討してみましょう。

異物が生体内に入り様々な反応を起こします。その反応を生体の恒常性保持を目的に利用するのが「くすり」であり、目的に合致した反応を「効果」といい、目的にそぐわない反応を「副作用」といいます。このため、副作用の因果関係の評価をするということは、体の中でどの様な反応が起きているのかを明らかにするということです。

副作用発症理由の主な要因は、
・目的の反応が強く出すぎる(目的の反応が十分でなく、原疾患の徴候に変化を与えることも含む)
・目的外の反応が顕著になる
・アレルギー反応が発現する
などがあげられます。
これを見極めるためには、異物の正体だけでなく、体と疾患の知識が必須となります。

製薬企業においては、安全性評価委員会などの名称で、医薬品の副作用について常に検討・評価していますが、その議論において、医師にとっての副作用評価は、体のなかで何が起こっているのか、薬剤師にとっての副作用評価は、薬が体のなかでどの様になっているのかといった立脚点の違いが何とはなしに存在しているような印象があります。

医師は、薬物投与を契機として、体のなかで何がおこっているのかを見極めようとしています。これは、第5回目の概論の中で、医学の第一歩として「ゴホンと咳をしたら、まず肺がんを疑え。そして、そこから絞り込め」と、医師は学生の頃からたたき込まれると紹介しましたが、副作用として提起された徴候・症状を体の反応としてあらゆる可能性を考え、そこから消しこんでいきます。そして、途中で消しこんだがゆえに矛盾は生じていないかを常に考えて、起承転結を把握したうえで評価するのでは、との印象があります。
 

 

一方、薬剤師は、その薬物がどの様になってその作用が顕在化したのかを探査しようとしています。すなわち、学生時代から「もの」の変化を常に確認しながら、その変化の中でどの様な現象が発生するのかを学んできた薬剤師は、医薬品がどの臓器で分解され、何処に移行・分布し、どの様に反応して好ましくない作用が発現したのか、そして、どの様な変化によって活性(反応)がなくなるのか、体から消失するのかなど、何となく分子モデルが体の中を駆け巡っている様子を想像しながら、評価するのでは、との印象があります。

それぞれの立場で評価し、一致点が見いだされ、適切な対処方法が導き出されることを期待してやまないところですが、医療の現場と同様、医師にリードされ放しの状況です。

治療全般の評価については、医師が中心となることは至極当然なことですが、薬物治療における評価については、薬剤師がより大きな存在価値を発揮すべきと考えています。そのためには、体や疾患について十分な知識を習得し、また、薬物療法以外の治療手段についても基本的な知識を持ちたいところです。そのうえで、薬学生・薬剤師として医療現場や安全性(副作用)評価において得意な分野、『情報の整理技術』を発揮したいですね。様々な情報媒体があることと、それぞれが用途に応じた活用方法があることを理解し、患者への適切な情報提供は当然ながら、コアメディカルの一員として医師、看護師、その他医療関係者へのタイムリーな提供ができるよう、研鑽に努めることが大切です。

ふだんから、適切なインターネット等の情報元から疾患の症状、発生機序、特に初期症状を含めしっかりと整理し、次いでその治療方法について確認しておき、知識を集積しておくことが重要です。さらに、特に、製薬企業において薬学出身者としてその特性を十分に発揮するためには、既に解説したように、英語が必須であることを認識し、会話を含め表現力がなければ管理職やスペシャリストとしての展望はないと覚悟を決め、学生時代に外国語として英語を感ずるのではなく、第二言語として、又は業界用語として接することを意識して、苦手にならないようにしてください。

EUやUSにおいては、製薬企業として医薬品の安全性・品質の全体的な責任を負うのは、医師が指定されているところですが、日本においては、薬剤師が製造販売総括責任者として薬事法にて現時点では規定されておりますが、常に研鑽に努めないとその立場は危ういものとなってしまうのではと危惧するところです。医師ばかりでなく、日常診療における体の変化として、近い場所で継続的に「くすり」に接していることから、看護師の医薬品開発における価値が増大と同様に、安全性評価においてもその存在価値を逆転されないようにしたいところです。(この点については、別の機会に議論したいと思います。)

薬学生や若い薬剤師が、医薬品情報を駆使して、体内でどの様な生体反応が起きているのかを理解・推論し、患者や医療関係者に科学的に説明し、治療方針の選択に役たつ情報として提供できるよう、今後の研鑽に努めることを期待して、本概論を閉じることといたします。


この記事について/著者:草間承吉

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