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1.漢方薬は長く飲まないと効かない?|薬剤師が思う漢方の疑問

1.漢方薬は長く飲まないと効かない?|薬剤師が思う漢方の疑問

2013年01月28日 (月) 09時00分配信 投稿日:13/01/28 09:00 icon_view 843view

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Q1:漢方薬って効くの?長く飲まないと効かないんでしょ?


A1:世間のほとんどの人がそんなふうに感じているのではないでしょうか?この質問は店頭でも最も頻繁に患者さんから質問されます。しかし、例えば風邪薬が早く効果を出さなければどう対処するのでしょう?風邪はそのままほっておいても一週間で治ると言われており、欧州の方などはほうっておくという人もいると聞きます。では、なぜ漢方薬の風邪薬があるのかと云えば、答えは「すぐに治すため」です。初期の段階なら、早い程、効果的に働きます。だから漢方薬は長く飲まないと効かないというのはまず間違いです。漢方の風邪薬をのめばすぐに効いているのだから間違いありません。

ではアトピー性皮膚炎に使う漢方薬ではどうか。短期間に飲む漢方薬と、長期に渡って服用して初めて効果を出す漢方薬がありあります。まず皮膚炎の状態を把握して識別していかないと処方も何も決まりません。皮膚表面が乾燥しているのと、分泌物でぐちゃぐちゃなのと、真赤々なのでは、同じアトピーでもタイプが違ってきますし、漢方薬の種類に変化があって当然です。「この漢方薬を飲めば何でもOK」なんて薬があったら大抵、嘘っぱちです。そんな簡単ではありません。ただし、アトピーに何も出来ず手もこまねいている訳ではなく、実際、漢方薬で出来る事は山ほどあります。生活を見直す事と併せて漢方薬で改善させていくのです。

咳嗽(がいそう)の治療にお勧めする漢方薬もいろいろあります。風邪などでみられる短期の咳嗽と、長い間続く困った咳嗽では分けて考えます。

風邪の延長ならばウィルスや菌によって始まった感染症ととらえ(当然免疫が低下しているから、元来感染する土壌は整っているのですが)、抗菌、抗ウィルス作用を持つ生薬が必要になり、症状の変化も激しくみられます。一方で、慢性的な咳嗽の場合は必ずしも症状の変化が激しいとは限りません。乾燥して咳嗽があったり、痰がどんどん出ていると治療方法が大きく変わっていきますし、じっくり治す必要があります。気管支を潤したり、胃腸の調子を整えたり、体内における水分の偏在を改善したりといろいろやる事があります。

特に慢性病の場合は、ただ単に気管支を広げて呼吸を楽にしただけでは、その場は楽になっても、その後全体的に大きな変化は期待できません。

というように、今まで触れてきたように、慢性病には長い期間の治療が必要になってきます。これは現代医学の治療と同じことです。おできが腫れた程度で、半年や1年もの間にわたり漢方薬を飲む人は少ないはずです。せいぜい1~2か月位でしょう。だいたいそれ以上、患者さんもおでき程度にお金を払いません。
 

けれど同じコブでも癌という名となると話は違います。癌の場合なら、漢方を長期服用して体調を整えていきます。その場合でも、同じ薬を通り一辺倒に服用し続けて貰う事は少ないです。体調が変化していきますから、風邪をひいた時は風邪薬に変化したり、のぼせや火照りで辛かったらクールダウンする薬に変化させたり、食欲が湧かなければ胃腸のパワーを上げていく薬を加えたり、下痢したらその改善の薬、などと体調に合わせて変化させる必要が出てきます。

つまり、漢方薬をおのみになる方には慢性病を抱えて治療していらっしゃる方が多い事から、「漢方薬は長く飲まないと効かない」といった都市伝説が生まれてきたのかもしれません。今までも病院で秋冬や春先には麻黄湯、葛根湯、小青龍湯などが短期で処方されていますよね。正しい漢方薬のチョイスが出来ていればそれぞれ効果を出すはずです。  その一方で、その都市伝説のために全然効果を示していない漢方薬を、長期間に渡り服用させられ続けてしまう不幸な状況にある患者さんが出ているのも事実です。防ぐためには、どういった狙いで、どうしたいから漢方薬を処方するのかハッキリしないといけません。

漢方薬は効くのです。けれど、「どう効くのかが理解されない」事による悪影響があります。風邪の治療で、一日三回、一カ月も葛根湯を飲み続けてもらうなんて治療は、普通はあまりやりません。 

私が風邪で葛根湯使うなら、一服二服で治す、効果をだすには、と考えます。もし効かないのなら見立てが間違っていて、漢方薬の種類が合ってないのでは?と考えるてみるのが当然です。もう何週間も朝昼晩と真面目に葛根湯飲んでいるなんて、ありえません。何でも他人に云われた通りに真面目にやればいいってものではありません。


いかがだったでしょうか。次回は「中国での漢方の扱い」についてお伝えします。


著者:戸塚和典



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