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2.中国での漢方の扱いは?|薬剤師が思う漢方の疑問

2.中国での漢方の扱いは?|薬剤師が思う漢方の疑問

2013年03月20日 (水) 09時00分配信 投稿日:13/03/20 09:00 icon_view 240view

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Q2:中国の漢方って?


A2: まず、中国では漢方とはいいません。漢方とは、元々2000年程前の大陸で生まれ、その後日本に伝来したもので、傷寒論・金匱要略など様々な医学書を基に、日本国内で様々な解釈をされ、使用される中で、独自に発展してきた医学です。生薬の集合体である漢方薬は治療手段として使われており、いわば「日本伝統医学」という位置づけです。

同じように中国にも伝統医学が存在して、「中医学(中国伝統医学)」と呼ばれています。

日本の漢方薬と同じ処方の薬も数多く存在し、天然由来の生薬を中心に薬を運用していきます。また、針灸や按摩マッサージなどの治療も含め、様々な治療手段が中医学にはあります。

漢方と中医学の違いは、処方の決定するシステムの違いと言えるかもしれません(異論はいろいろあると思いますが・・)。中医学では処方薬を決定する過程で、患者さんの「病態や体質」(「証」といいます)を判断し、それに合わせた治療方法(治法)を決定し、その結果、処方薬を決めるという過程を経ます(これを弁証論治と呼びます)。漢方ではこのような過程をことさら強調しない傾向にあるのです。

中医学と並ぶ西洋医学は、「西医」と呼ばれます。中国の医科大学では、西医と中医学では異なる大学が存在し、資格も異なります。

中国の病院関係者に「日本では中医の事を「漢方」と呼ぶんだろ」と言われたことがありました。反対に日本では「中国では漢方を「中医」と呼ぶんでしょ」と言われたことがあります。つまり、お互い似たようなものであると捉えていただければよいです。そうでなければ話が進みません。厳密に言えば結構違うのですが、同じカテゴリーだと思っていればよいでしょう。というわけで以下の文では中医学を漢方と表現することもあります。

医師には西医専門と中医学専門で違う資格があり、薬剤師も同じで西医専門と中医学専門で違う資格が存在します。北京なら、北京医科大学が西医の大学になり、北京中医薬大学が中医の大学となります。大学入学後からそれぞれ5年間に渡り専門教育を受けます。何千時間にも及ぶ専門教育を受講するのですから、おのずと知識量も豊富になるわけです。

中医基礎学、中薬学(生薬各々の役割に関して学ぶ)、方剤学(生薬の集合した処方として例えば麻黄湯に関して学ぶ)、中医診断学(中医的な独特の診断方法を学ぶ)、黄帝内経(中医に基礎となる養生法などが書かれた古典)、傷寒論、金匱要略、温病などの古典、さらに内科・外科・婦人科など専門科目に関しての勉強が必要になります。

重要なのは、全ての治療に「中医学の理論」が貫かれており、その基礎となる理論がわからないと何がなんだかさっぱりわからないということです。現代医学でいう自律神経や中枢神経という言葉は説明に使わず、陰とか陽とか、気・血・津液、肝・腎・脾・肺・腎などという概念で中医学理論の説明が行います。これらの概念が解からなければ、処方の意味が解からないために運用も出来なくなります。

中国では一般国民でも、ある程度この辺の云わば「中医用語」が理解できる文化的な土壌が既にあるため、日本より漢方への理解が深く、漢方薬を服用する方が多いのは納得です。日本に長年滞在している中国の漢方ドクターが、「日本で漢方薬を勧めるのは、中国で漢方薬を勧める事よりよっぽど難しい」とこぼしていました。漢方薬を受け入れる土壌が日本にはまだ少ないのでしょう。とはいえ中国においても漢方薬を飲まない人もおり、針灸治療を受けた事も無い方も沢山います。中国人から「あなたは何の勉強をしているの」と聞かれた際に「漢方の勉強をしている」と答えると、中国人から「変わった外国人だね」という反応を返されます。いわば日本における外国人の落語家みたいな存在に映るようです。中国人自らもよく理解してない伝統文化の領域を外国人が学んでいる、と捉えているようです。

とはいえ、中国のTVでは朝から太極拳の講座や、漢方治療の概念を伝える講座や漢方の美容講座などが放映されていて、一般人に対する露出は多いと思います。西洋医学が普及するまで、中国では漢方が病気の治療の主役でしたし、その医術で多くの人々の体を治してきたのですから、立派な治療手段といえます。

「漢方はまやかしだよ」と考える方は、もう一度、自分の常識を確認してみてください。あれだけ損得に拘る中国人が、効果のない治療にお金払って、長年にわたり中医学の治療を受け続けるでしょうか。薬が効いているから中国において中医学が存在するのです。  日本においても明治時代に西洋医学が導入され、政府が正式な医学として認定するまでは漢方が治療の中心でした。要は、その国の政府がどの医療体系をもって医療の中心に据えているのかが問題となります。私の話は、西洋医学への批判ではありません。世界中には様々な医学があるんだ、ということをお伝えしたいだけなのです。

知らない世界に批判的な目を持つのは、自己保身として人間誰しも仕方ない行動だと思います。しかしながら、必要以上に未知の存在を攻撃し、「漢方は嘘やまやかし」や「根っこや葉っぱなんかで病気が治ってたまるか」等という発言が、実際はただの知識不足だとしたら、それはカッコ悪い話ですよね。


次回は「漢方薬の構成」について触れていきます。


著者:戸塚和典



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