運営からのお知らせ

新着記事・レポート

カテゴリーを選択

薬剤師力向上セミナー

<<前の記事へ

次の記事へ>>

7.薬剤師のための患者クレーム対応(後編)

7.薬剤師のための患者クレーム対応(後編)

2014年05月21日 (水) 07時00分配信 投稿日:14/05/21 07:00 icon_view 798view

お気に入りに登録

お気に入りに登録

icon_view 798view

■4つの欲求と5つの要素。それを満たすクレーム対策

次にクレームについてですが、クレームは利用者が期待したサービスが提供されないと感じることで発生します。

では、期待したサービスとは何か?それは図2のような、患者さんの4つの欲求と言い換えることができます。

image

(1)機能・品質欲求=「できて当たり前」「満足できて当然」のサービス内容、医療の場合では治療技術や看護技術、処方技術
(2)経済欲求=サービスと対価が見合っているかどうか
(3)愛情欲求=自分の気持ちを分かってほしい、理解してほしい
(4)尊厳欲求=人として大切にしてほしい

この4つのどれかについて不満がたまり、自分で思っているレベルより下回るとクレームという形をとって発散される、というわけです。

この4つの欲求、すなわち期待するサービスには、その満足度を測る5つの要素(図3)があります。

image

「信頼性」「安心性」「有形性」「共感性」「迅速性」の5つです。これらは患者満足度をアップさせるために、薬剤師さんにはぜひ身につけてほしい内容ばかりです。

以上の〈4つの欲求と5つの要素〉を関係づけることによって、薬局がすべきクレーム対策が浮かび上がってきます。これをまとめたのが図4で、それぞれのポイントは次のとおりです。

image

(1)信頼性→専門技術と調剤薬局としての責務を果たすこと
(2)安心性→分かりやすい説明、親切な対応、インフォームドコンセントを実施すること
(3)有形性→ハード(清潔な店舗や器機)の充実と職員の“らしさ”=きちんとした身だしなみ、立ち居振る舞いなどが主張されていること
(4)共感性→服薬の面倒さへの理解を示し、それを接遇、応対の際に表す
(5)迅速性→不測の事態が発生した際、スピーディな対応能力を発揮する

こうしたポイントを踏まえ、何かクレームが寄せられた場合、この〈4つの欲求と満足度を測る5つの要素の関係〉の表(図5)を利用して、何が足りないのか見つける、あるいは対策を講じる一助としてください。

image

例えば、狭い店内のカウンターというオープンスペースで病状を説明するのはプライバシーがない、というクレームがあるとします。その場合、この患者さんの欲求は何かを考えます。患者が自分たちはプライバシーが守られるのが当然だと思っているなら、機能品質欲求に○がつきます。もしくは、「私のプライバシーをなんだと思っているの!」と怒っているケースなら尊厳欲求に○となります。この表の中で○がついたところの要因や欲求を掘り下げて検討していくことで、クレーム対応の道筋が見えてくるでしょう。


■患者さんに信用される存在に。そこからクレーム対応開始

クレームの要素や原因が分かってきたところで、クレーム対応について解説します。
そもそも、クレームは図6のとおり、3種類しかありません。

image

その種類と対応例は、
(1)クレームの内容が正当+その要求も正当→[対応]誠心誠意、謝罪する
(2)クレームの内容が不当+その要求も不当→[対応]その場で断る、曖昧な返事はしない
(3)クレームの内容が正当+要求が不当→[対応]結論が明確ならその場で断る、迷った場合は一旦預かる
 

例えば、薬が足りないというのは、(1)に当たります。(2)や(3)のケースで、毅然と断ることや金銭にからむ要求に対応するのは、とくに現場の若い薬剤師にはムリかもしれません。だから、上司と相談するために一旦預かるという対応が得策でしょう。

次に、クレーム対応に必要な心構えを挙げておきます(図7)。

image

(1)顧客は不満を持っているということが、唯一の事実
(2)自分たちが原因で不満を生じさせたことに対する理解と共感
(3)先入観は持たない
(4)まずクレームを言ってきた相手の言うことをきちんと聞く
(5)議論しないで、その人の不満の原因を探る
 

クレームの1次対応をするときにはこうしたことを念頭に置き、まず顧客に信頼される存在になることが先決です。そのためには、図8のとおり、たった3つの要素を満たせばいいのです。「服装(身だしなみ)」「立ち居振る舞い」「言葉遣い」の3つです。

image

これらが適切かつ好ましいものであれば、接遇応対の最初のハードルはクリアできたも同然です。

そのうえで、相手の話を優先して聞き、その間3分から5分は相づちを打つなどしながら黙って聞き役に徹して。

次にこちらが話すときは、相手の話を要約して確認し、すぐに回答、解決できることは、その場で実行。できないときはその旨を伝えます。

回答が不明のときはその旨を伝え、いつ回答できるかを伝えておきます。どんなケースにしても、「大変申し訳ありません」とか、「お急ぎのお気持ちはよく分かります」というような謝罪と共感の気持ちを込めた言葉から始めて対応するとよいでしょう。

ただ、こうした対応は一朝一夕では身につきません。業務改革の一環として、日頃から組織として考え、実際に訓練するなどの対策が必要です。

対策ということでいえば、施策やルールの詳細まで決め込んでおくこと、情報の共有化なども重要ですが、納品書の発行や長期服用患者に対する中間チェックシステムなど、クレーム防止のための仕組みづくりも、当然、考え、実施していかなくてはなりません。

これからの薬剤師さんには、いままでのテクニカルスキルの上に安穏としていた調剤薬局の薬剤師という殻を破り、顧客との良好な人間関係を築けるスタッフとして、意識改革を迫られていることを認識していただきたいと思います。

改革を進めるに当たり、一つには、調剤薬局が依然として院内薬局の延長線上にしかないと世間で思われていることへのカウンタープランも考えるべきです。薬剤師の仕事は“指導”ではなく、“商品説明”と心得て、差別化を図る道を探ること。患者にとって苦痛が多い薬の服用に対して共感の気持ちを持って寄り添うこと。

そして、手強い団塊の世代を含む高齢者が薬局に足を運んでくれる施策を考えること。

こうした改革レベルの内容を一つひとつ進めていくことが、調剤薬局の生き残りを左右することでしょう。つまり、新しい道を歩むことで患者から選ばれる存在になれるかどうかが、その決め手にほかならないのです。

※この記事は、2013年11月10日に開かれた「第8回 薬剤師力向上セミナー」(株式会社グッドサイクルシステム主催)の内容をもとに構成したものです。


■講師プロフィール

image


濱川 博招(はまかわ ひろあき)

人材派遣・教育・研修などを行う株式会社ウィ・キャン代表取締役。関西大学法学部卒業。顧客満足、患者満足及びクレーム対応のスペシャリストとして、全国で高い評価を得ている。その実践的なコンサルティングが医療機関、企業、サービス業などで実績を上げるとともに、講演、研修、執筆、マスコミ対応にも精力的に取り組む。医療機関における患者クレーム対応についても、広く全国で講演、研修を行っている。主な著書に『どんな患者さんからもクレームがこない接遇のルール』(エクスナレッジ)『できる看護主任・リーダーのコーチング術』『第一印象が良くなるナースのマナー』(2点とも、ぱる出版)などがある。

photograph by Hideyuki Igarashi

 

前編はこちら・・・
 

【関連Q&A】
Q.服薬カレンダーにセットした薬がずれているというクレームが…
Q.薬が足りなかった、入ってなかったというクレームが増えています…
Q.今日、リズモンTGの点眼が液漏れする、ということでクレームが…
Q.この手の情報で患者がクレームつけてきた時なんて対応したりしてます?
Q.小児患者の親からクレームが…
Q.最近(薬剤師不在の)夜にアレグラやアレジオンが効かないとのクレーム…
Q.リリカだけ1週間分足りない!とクレームの電話が来ました…

 

【関連記事】
・薬局への苦情から…
・トラブル対応
・色々な人と話そう
・服薬指導

・患者様?

・【応対】「患者さま」と呼ばれる患者さんのキモチ
・【応対】患者さんが気になる言葉

 

「薬剤師力向上セミナー」の連載記事
・薬剤師のための患者クレーム対応(前編)
・患者ケア力を高めるためのアセスメントとプランニング。(前編)
・患者ケア力を高めるためのアセスメントとプランニング。(後編)

*連載記事の一覧はこちら

 

Good5

コメントする

コメントする

コメント

回答:0件

記事・レポート(1382件)

show

2018.04.18 new 290.全滅全敗と笑顔で話せる業界の感覚 【薬剤師業界のウラガワ】

2018.04.13 new 学会レポート_患者さんが安心してがん治療を受けられ… 【日本臨床腫瘍薬学会レ…】

2018.04.11 new 289.そちらでやるなら、こちらもこうする 【薬剤師業界のウラガワ】

2018.04.06 がん患者さんの治療の伴走者として薬剤師に必要なこと… 【日本臨床腫瘍薬学会レ…】

2018.04.05 98.服用薬剤調剤支援料 【世塵・風塵】

もっと見る

業界ニュース(20640件)

show

アンケート

show
ただいま、募集中のアンケートはありません。

もっと見る

セミナー情報(15件)

show

ブログ(5793件)

show

求人情報

show

よく見られている
新着記事・レポートランキング 集計期間:04月16日~04月23日

もっと見る

よく見られている
薬剤師のQ&Aランキング 集計期間:04月16日~04月23日

もっと見る