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16. キャリアデザイン&薬局経営|薬局・薬剤師の未来を考えよう!薬局・薬剤師の生き残り戦略2014(後編)

16. キャリアデザイン&薬局経営|薬局・薬剤師の未来を考えよう!薬局・薬剤師の生き残り戦略2014(後編)

2015年02月25日 (水) 07時00分配信 投稿日:15/02/25 07:00 icon_view 426view

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■見えていなかった行動領域で新たな活路を見いだす

風邪などの軽い症状は公的負担のない大衆薬の利用を促すアイデアを、薬剤師側からではなく、OTCメーカー側から発案されたという報道がありました。本来なら医薬品をマネジメントする立場にある薬剤師の方から出てくるべきなのですが、どうも魚の目線が欠落していて、的を射た行動を取るのが苦手のようです。

その意味で、今着目していただきたいのは、“保険者の視点”です。これまでレセプトデータは電子化されていたとしても、ほとんど活用されてきませんでしたが、これからは「データヘルスで国民皆保険を守れ!」という号令が出て動き始めましたので、レセプトデータに加えて健診データも新たに用いることで、無駄な投薬や治療を見直す事ができるようになってきました。たとえば40代で10キロ以上体重が増えた人にターゲットを絞って保健指導をする、というようなことが可能になっているのです。

これについては、以前から早々と取り組んでいる健保組合もありましたが、現在は全健保が尻を叩かれるような形で、取り組みが始まっています。しかし、そのことすら多くの薬局は把握していないのが現状です。各健保組合が持っている組合員の健診データと、病院や薬局のレセプトデータを合わせたら、すごいことができそうですよね。そこが今、非常に期待されている市場であり、インヴィジブル・フロンティア(Invisible Frontier)、つまり私たちには見えていなかった、活路となり得る新たな行動領域といえます。

今まで医療機関や薬局は、保険者に対してレセプトの請求者と支払者という関係に過ぎませんでしたが、その関係性の中にニューフロンティアがあるのかもしれません(図表2)。

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また糖尿病が重症化すると、人工透析で年間ひとり約550万円の費用がかかるといわれています。しかも今は透析患者も長生きすることが可能なので、毎年この金額が発生するわけです。もし私たちが何らかのアクションを起こすことで、人工透析に至らない、もしくは遅らせるようにする、あるいはその前段階でインスリン使用への移行を遅らせることができたらどうでしょう。

もちろん生活や食事の指導を実施している薬局はたくさんありますが、コストも含めてそういった視点を持つことは少なかったのではないでしょうか。「これだけコストが変わってくるので、それを改善するための努力を私たちがします」と、何かしらのコンテンツとともに提案できたら、新たな可能性が見えてきますよね。

■調剤重視から服薬管理・指導重視への転換

後発医薬品の活用に関しても、本来であれば薬局・薬剤師がもっと主導権を握って旗を振るべきでした。なぜならば後発医薬品に切り替えるキーパーソンは、われわれ薬局・薬剤師ではありませんか。もっと早いうちから、「私たちがやります!」と国にアピールして、国民にもメッセージを送るべきだったのです。しかしそれをしないまま、なし崩し的に現在に至ってしまっているのは、非常に残念なことと言わざるを得ません。

国が2014年6月にまとめた「経済財政運営と改革の基本方針2014」では、薬価・医薬品に係る改革に関して次のように述べています。「医薬分業の下での調剤技術料・薬学管理料の妥当性・適正性について検証するとともに、診療報酬上の評価において、調剤重視から服薬管理・指導重視への転換を検討する」。これに対してもわれわれのほうから、「こうしたらどうですか」と提案すべきなのですが、実際は国の出方をただ待っているだけに過ぎません。

国民を薬物による有害事象から守るためにも、"効果の最大化とリスクの最小化"を薬局は示していかなければいけません。このことについて、薬局の窓口で胸を張って「きちんとやっている」と言えるでしょうか。実行動として、まだまだ弱い部分は否めないはずです。「薬剤師がお薬のライフガードとして見守ってくれているから安心だ」という感覚を国民に持ってもらうことが、おそらく今はまだできていないのが現実だと思います。


■「俺がやる!」という気概で薬局の未来は自分で創る

保険調剤業務は、今や7兆円産業といわれており、保険薬局の受け取る処方箋は年間約8億枚となっています。処方箋ビジネスと化してしまった川下ビジネスとしての調剤薬局業務には、厳しい時代が訪れています。しかし“最終ゲートキーパー”としてのわれわれの責任は、これからも堂々と果たしていくべきです。それに加えて、これからは川上戦略、つまり医者に行く前の“ファーストゲートキーパー”として薬局の業務を拡大していくことが、とても重要になってくるでしょう。

今お話をしたようなさまざまな予防、新しいアクション、新しいフロンティアが目の前に広がってきたのですから、これから起こる変化を受け身で待っているのではなく、自分の頭で考えて、自ら開拓する気概がほしいと思っています。

マイクロソフトのビル・ゲイツや、アップルのスティーブ・ジョブズなどの例を挙げるまでもなく、個人の力で社会が変わることを実感しているわけですから、私たちの業界も決して無理なことではないはずです。「俺がやる!」というくらいの気概をもってこの業界を変えていく勢いがほしいですし、イノベーションは合議では生まれないと思っていいでしょう。時代を変えていくのは、卓越した個人のアイデアややる気であり、その勇気が時代をブレークスルーしていくのです。

薬局単独ではできないと思われているようなことも、みんなで力を合わせればできるかもしれません。そのためにも保険薬局が連携して、社会的使命を果たそうではありませんか。そして薬局の未来を、ほかの誰でもなく自らが創っていくつもりで、これからの時代を突き進んでいただきたいと思っています。


※この記事は、2014年8月31日に開かれた〈第15回薬剤師力向上セミナー〉(株式会社グッドサイクルシステム主催)の内容をもとに構成したものです。
 

■講師プロフィール

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一般社団法人保険薬局経営者連合会 会長
山村 真一(やまむら しんいち)

薬剤師。1979年昭和大学薬学部卒業。1980年プライマリーファーマシー開局。2005年バンビーノ薬局を開局。2011年中小の薬局経営者を中心とした一般社団法人保険薬局経営者連合会を設立。2013年薬事政策に関する調査研究や薬事データの収集と解析、薬局経営などに関するコンサルティング業務を行うシンクタンク組織、株式会社薬事政策研究所を設立。時代の求めに応じ、安全で高品質な医療を低コストで提供できるよう業界の窓口となり、国民の利益に貢献する事を目指し、広範な活動をしている。

photograph by Hideyuki Igarashi

前編はこちら・・・

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