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18.糖尿病を例にした患者ケア力を高めるためのアセスメントとプランニング(後編)

18.糖尿病を例にした患者ケア力を高めるためのアセスメントとプランニング(後編)

2015年04月22日 (水) 07時00分配信 投稿日:15/04/22 07:00 icon_view 373view

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■糖尿病患者のアセスメントとプランニング(2)

次に、食事・運動療法の指示と薬が必要であるとされた初診時の治療方針が適切だったかどうか、ガイドラインの基本的な治療方針に照らしあわせて評価しましょう。基本は生活習慣の修正指導です。

それに加え患者の重症度に応じて薬物療法を重ねていきます。その観点で見れば、生活習慣の修正指導を行っていますので適切だと評価できます。ただし、運動療法の内容については考慮が必要です。

そして、糖尿病薬治療のタイミングとしては適切でしたでしょうか。ガイドラインではすぐ薬物療法を開始すべきとは言っていないので、原則的には時期尚早です。医師がどういう方針で治療を進めようとしているのか、あるいは患者はそれをどう受け止めているのかを確認して、治療方針をフィッティングしていく必要があります。薬物治療が必要だとする判断を前提にするならば、低血糖を絶対起こさないように指導するのが第一優先になるでしょうし、それによって初来局時の指導、管理の方針が変わってきます。

先ほどお話した生活習慣で修正すべき項目について、具体的に考えてみましょう。まずは膝に負担をかけない運動が挙げられますね。他には砂糖、間食を控えること。食事については、患者が脂っぽいものを好んで食べるか確認しましょう。ガイドラインによると、脂質異常症患者のコレステロールの摂取量は1日あたり200mgです。また1日の総カロリーを考慮する必要もあるでしょう。この患者は現在働いていないこともあるので、運動量を軽労働とすれば、1600kcal程度だと判断できます。

ここで薬物療法の評価をしていきます。「糖尿病の薬物治療」図表3をご覧ください。

diagram_3

この患者の糖尿病の病態はインスリン分泌不全型だと判断できます。そうなると、候補としてDPP-4阻害薬やスルホニル尿素薬(SU)、速攻型のインスリン分泌促進薬が挙げられます。ただし、低血糖に気をつけなければならないので、SU薬の遷延性
低血糖と二次無効を回避できる速効型のインスリン分泌促進薬の方が使いやすいと評価できます。

またビグアナイド薬は抵抗性改善系ですが、体重増加を来しにくいので肥満に焦点を合わせれば候補に入ってくるでしょう。低血糖を避ける、HbA1cを下げる、高齢者であること、体重増加に対する配慮、いろいろポイントがあります。どれを使うにしても、いわゆるストライクゾーンの処方が出てきたならば、医師の意図を考察した上でモニタリングと指導をしましょう。

最後に、薬物治療とともにどのような療養指導を行うべきか考えましょう。目標設定によって指導方針は大きく変わり、それによって患者への認識教育の内容も変化します。

例えば運動療法の場合、患者が膝が痛いと言うならば、どういった運動ならばできるのか、体重増加が気になっているならば運動で体重をどのぐらい落としていくことができるかなど、目標を定めてケアプランを具体化して対応していく必要があります。こういった項目をきちんとおさえることで、一歩踏み込んだ患者対応ができますし、患者にしてもこちらに相談がしやすくなる。そのように理解していただきたいと思います。

■薬局薬剤師が取り入れるべきこと

今回は糖尿病患者を例に、薬剤師が取るべき姿勢を示しました。患者起点で一つ一つ対応していけば処方鑑査が治療鑑査になりますし、薬の指導が患者の療養指導や服薬のマネジメントになります。そのためには、ここまでお話してきたように患者の病態治療や生活状況を把握する必要があります。

病棟薬剤師は処方箋の発行前に、患者さんの病状から医師へ治療を提案するのが常識となっています。在宅の薬剤師も利用者を中心とした業務の流れのなかで仕事をしています。

そこで、薬局薬剤師がいかに病院薬剤師、在宅薬剤師の業務と同じ仕組みで仕事ができるようになれるかが問われているわけです。初回来局の時点で、今回行ったようなコンピテンシーを生かしたアセスメントを行う仕組みを取り入れることが必要ですし、それを業務記録に残すことで、患者の目標に合わせた指導管理やモニタリングができるわけです。今回学んだことを生かして、包括的に患者を評価するシステムを業務へ取り入れ、患者ケアの貢献につながることを期待しています。

※この記事は、2014年11月9日に開かれた〈第17回薬剤師力向上セミナー〉(株式会社グッドサイクルシステム主催)の内容をもとに構成したものです。
 

■講師プロフィール

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北海道薬科大学 薬物治療学分野 教授
早川  達 (はやかわ とおる)

病院の薬剤師として薬剤管理指導に従事後、北海道薬科大学講師、助教授、アリゾナ大学留学を経て、2007年に北海道薬科大学教授に就任。POS(Problem Oriented System)に基づく薬歴管理の第一人者。多数の本を執筆。日本POS医療学会評議員、日本医療学会指導薬剤師。ここ数年は『日経DI Premium』誌上に「早川教授の薬歴添削教室」を連載している。著書に『薬剤師の視点を連携に生かす「在宅アセスメント」虎の巻』(日経BP社、2013)などがある。

photograph by Hideyuki Igarashi


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