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32.糖尿病→睡眠障害→血管障害の悪化スパイラルを断ち切るには?

32.糖尿病→睡眠障害→血管障害の悪化スパイラルを断ち切るには?

2015年06月24日 (水) 07時00分配信 投稿日:15/06/24 07:00 icon_view 278view

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提供:株式会社ウェルビー


めざまし

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)を代表とする睡眠障害と生活習慣病の合併率については、かなり前から研究され注意が促されてきたが、詳しいメカニズムはわかっていなかった。

大阪市立大学大学院の稲葉雅章教授らのグループは脳波計を用いて血糖値が睡眠に及ぼす影響を調べた。

その結果、糖尿病で血糖値が悪化すると睡眠の質が落ち、睡眠障害を引き起こす。また睡眠障害は朝起き抜けに血圧が急上昇する「早朝高血圧」に陥り、糖尿病患者が脳卒中などの血管障害を起こすリスクが高くなることが明らかになった。この研究結果は2015年4月14日に科学雑誌「PLOS ONE」に掲載された。

過去に行われた疫学調査では、健康な人と比べ、糖尿病患者は「不眠」に陥るリスクが2倍、「睡眠時無呼吸」では2~3倍高いことがわかっていた。逆に、睡眠障害の患者が将来糖尿病発症率も高くなることがわかっていた。

150428_記事内表

 

■深い眠りがしっかりとれない

人間の睡眠には2つのタイプがある。1つは身体は休んでいても脳は働いていて夢を見るような浅い眠りの「レム睡眠」。もう1つは脳も身体も休める深い眠りで、ホルモンの分泌やストレスの解消に関わるノンレム睡眠だ。通常、レム+ノンレムのセットでおよそ90分、長くても120分のサイクルを入眠から起床まで繰り返している。ただし、ノンレム睡眠がとれるのは睡眠初期。下の図で見ると深い眠りは最初の3時間に集中していることがわかる。

150428_記事内グラフ01

稲葉教授のグループが2型糖尿病患者63人の血糖値と血圧、睡眠中の脳波を調べたところ、血糖値が高いほどレム睡眠の時間が短くなることがわかった。また、睡眠の深さを表す指標である「レム睡眠潜時」も減少していることがわかった。また、血糖値が悪化すればするほど、深睡眠指標のレム睡眠潜時が減少する。また、睡眠時無呼吸症候群の指標となる数値(AHI)と血糖値の指標(HbA1c)にもはっきりとした相関関係があることが明らかになった。つまり血糖値のコントロールが悪いと、ぐっすり眠れないことになる。

 

■血糖値が高いと朝の脳・心臓発作が危ない

また、今回の研究では、2型糖尿病患者の睡眠状態を表す指数が、頸動脈内膜中膜肥厚度と逆相関することもわかった。つまり、深い睡眠がとれない状態が続けば、動脈硬化が進んでしまう可能性があるということだ。その鍵は「早朝高血圧」にあるようだ。

睡眠障害のある人は眠っている間に血圧が高くなる夜間高血圧や早朝高血圧の状態に陥りやすい。特に早朝高血圧は心臓血管の事故につながる危険性が高い。夜明け頃や朝起きた直後に発作を起こす人が多いのはこれが一因だ。

さらに、糖尿病の人は血管内皮がうまくコントロールできず、血管拡張反応低下を起こしていると考えられる。つまり2型糖尿病患者の場合、「血糖コントロールの悪化→早朝高血圧→血管障害(心臓などの発作)が起こっているのではないか」というのが、稲葉教授の考えだ。

 

■睡眠の改善も一つの治療法

糖尿病の人は血糖値のコントロールが悪ければ、睡眠の質が低下し、良い睡眠を得られない人は糖尿病になるリスクが高くなる。この負のスパイラルを断ち切るには糖尿病に切り込んでいくのが正攻法だが、よい睡眠の確保も武器の一つにはなってくれそうだ。

ただ、やっかいなのは、睡眠障害の人は意外と自分は「よく眠っている」と思っていて、「深い眠りがとれていない」という自覚がないこと。本人は「たっぷり眠った」つもり、家族も「大イビキをかいてよく寝ていた」と思っていても、実際にはしっかりと深い眠りがとれていない可能性がある。「睡眠時間は充分とっているのに、昼間眠くなる」「ぐっすり寝た後も疲れが抜けない」など、心あたりのある人は一度糖尿病の主治医か、睡眠の専門医に相談してみよう。

稲葉教授のグループは、現在医薬品を使って睡眠障害を改善し、血圧や血管障害に好影響が出るかどうかを調べている。今後の進展が待たれるところだ。

(取材・文/竹島由起)

<参考文献>
●Association between Poor Glycemic Control, Impaired Sleep Quality, and Increased Arterial Thickening in Type 2 Diabetic Patients
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0122521#sec013

<引用>
●睡眠障害が糖尿病の血糖改善や血管障害防止に有効な治療ターゲットであることを解明(大阪市立大学)
https://www.osaka-cu.ac.jp/ja/news/2015/05llq8



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