運営からのお知らせ

新着記事・レポート

カテゴリーを選択

Welby Media

<<前の記事へ

次の記事へ>>

40.過保護でいいことはないと思う 当事者である子供から親へ伝えたいこと 【1型糖尿病患者 中新井 美波氏】

40.過保護でいいことはないと思う 当事者である子供から親へ伝えたいこと 【1型糖尿病患者 中新井 美波氏】

2015年10月22日 (木) 07時00分配信 投稿日:15/10/22 07:00 icon_view 289view

お気に入りに登録

お気に入りに登録

icon_view 289view

提供:株式会社ウェルビー


IMG_7963

 

中新井美波さんは1型糖尿病を抱えながら陸上競技に打ち込み、中学校から大学までの約10年間、トップアスリートとして活躍しました。現役を引退した今は仕事の傍ら、モデル業や講演のほか、「1-GATA(イチガタ)」のヴォーカルを務めるなど活動の場を広げています。病気を理由に何かを諦めたことはないという中新井さん。今の自分があるのは、やりたいことをやらせてくれた両親の存在が大きいと話します。前回(「1型糖尿病のトップランナーからヴォーカルへ。今度は走りではなく、歌で想いを伝えたい」)に続く後編です。(インタビュー、構成=荻島央江)

 

■食品交換表全ページを頭にたたき込んだ

――1型糖尿病を発症したのは小学6年生のときでしたね。

そうです。前々から自覚症状はありました。やたら喉が渇いたり、トイレに行く回数が増えたり。体重も減っていましたね。

当時、私は野球少女でした。ポジションはピッチャーとセンター。チームには「1回のエラーにつきグラウンドを何周か走る」という練習があったのですが、そのときはいつもチームメートを引き離し、トップを走っていました。足の速さには自信があったのです。それが自覚症状を感じ始めた頃から、次第に後ろとの差が詰まってきた。それが体の異常と思わせる決定的な出来事でした。

少し経って近所の病院で検査を受けると、血糖値が600mg/dl以上で測定不能(空腹時血糖の正常値は70?110mg/dl)、HbA1cが16.8%(正常値は7.0%未満)という数値で、看護師さんたちが急にバタバタし始めたのをよく覚えています。「救急車で行きますか」とも聞かれましたね。結果、そのまま大きな病院に移動して即入院です。

病院で1型糖尿病を分かりやすく宣告されました。「インスリン注射を打って、血糖をうまくコントロールし、管理できれば普段通りの生活ができる」と言われて、少しほっとしたのです。病院に向かう車の中で「私はこのまま死んじゃうのかな」と思っていましたから。

――10年以上前の話を昨日のことにように、鮮明に覚えているのですね。

それだけ衝撃的な出来事でした。ただ両親のほうが私以上にショックを受けていたようです。家族は私には涙を見せられないと、父は趣味の釣りをしながら海で泣いていたと最近になって教えてもらいました。

母も最初は何くれとなく世話を焼いてくれましたが、そのうち私を信じて任せてくれるようになりました。だからこそ「私の体なんだから私がちゃんとしないと」と考え、発症して半年も経たない頃から食品交換表全ページの内容をすべて頭にたたき込み、食べるものや量は自分でコントロールしています。インスリン注射も最初から自分で打っていたくらい。陸上競技の選手時代もそれは変わりません。

 

■子供の可能性を潰さないで

最近は講演に呼んでいただく機会が増えました。発症当時どのようなことを子供ながらに感じていたか、両親がどんな心境だったかなどについて話しています。

ときどき1型糖尿病患者のお子さんを持つ親御さんに「うちの子は甘い物が好きで隠れて食べている。どう管理すればいいのか」といった質問をされることがあります。

――そんなときはどう話すのですか。

親御さんに聞きます。「何がダメなんですか」と。私の母は「あなたのことだから」「あなたの体だから」と私を信用してくれていました。基準以上のお菓子を食べたことも多々ありましたが、数値が悪くなった理由を自分自身で分かっていたし、悪くなって「こうしよう」と自ら考える中で気付くことが多かったように思います。そのような内容を話すことが多いですね。

一生付き合っていかなければならない病気なので、自分のことは自分でできるようになってほしいという母の意図があったように感じます。子供の立場では、心配から構われ過ぎるとストレスに感じ、嫌になってしまいます。自分で主体的に取り組むからこそ分かることもあります。

また親御さんには伝え方に注意してほしいと思います。先程の相談の場合なら「食べちゃダメでしょ」ではなく、「食べたいの? 食べたいなら量を考えないとね」と言うほうがいい。ダメと言われ続けると、段々「食べること自体がダメなこと」という考えに陥ってきます。親子といっても人と人ですから、「なぜダメなのか」「どうすればいいのか」など理由を伝えたり、たとえダメな場合でもある程度は本人の意思を尊重したりすべきだと思います。

私はこれまで病気を理由に何かを諦めたことはありません。それは両親の存在や周囲の理解が大きかったと思います。私がやりたいということに両親は一切反対しませんでした。だからどうかお子さんがやりたいことには最大限協力してあげてほしいと思います。それが、子供の最大の力となるからです。

1型糖尿病を発症した頃は、「私からそれを取ったら何が残るの?」というくらい運動することが大好きな子供でした。それでも周りの心配してくれる大人からは「運動部に入るのは諦めて、文化部に入れ」などと言われたりしました。

幸い両親の理解があり、陸上競技を始められましたが、そんな一言で潰れてしまう子供もいます。お子さんの可能性を摘まないためにも、たやすく「できない」「無理だ」と言わないでほしい。子供にとって大人の言葉はそれだけ重く、たくさんの可能性が失われていくのです。

 
 

話し手ご紹介

 
中新井
 

中新井 美波氏
http://1gatadm.wix.com/1gata

 
 

1991年神戸市生まれ。野球に明け暮れていた小学校6年生のとき1型糖尿病を発症するも、中学1年から本格的に陸上競技を始める。強豪校の須磨学園高校に進学後は全国高校駅伝や都道府県対抗女子駅伝などに出場、好成績を収める。大阪学院大学を経て、10年にわたる競技生活から引退。2014年、スポーツブランド「ボディメーカー」で知られるBB-SPORTS(大阪府吹田市)に入社。通信販売事業の営業を担当する傍ら、モデル業、講演活動に精力的に取り組むほか、1型糖尿病患者3人で結成したバンド「1-GATA(イチガタ)」のヴォーカルも務める。

 

■写真:1-GATA
1-GATAのメンバーは、2014年12月に解散したロックバンド「THE BOOM(ザ・ブーム)」のベーシスト山川浩正さん(右)、ヴォーカルの中新井さん、作曲家でキーボード担当の吉田敬さん(左)の3人。「キミ」は通信販売で購入できるほか、iTunesなどで配信中。収益は1型糖尿病の研究に役立てられる。

■BODYMAKER(ボディメーカー)
トレーニング、フィットネス、格闘技用品、アパレル商品を取り扱う。企画から生産・販売までを一貫して手掛けるSPA(Specialty store retailer of Private label Apparel:アパレル製造小売企業)として展開。独自商品の開発、販売状況に応じた生産調整、物流、プロモーション、販売コストを抑えた店舗経営で、「高品質で低価格の商品」を提供している。すべてのアスリートのための日本発スポーツブランド。
【BODYMAKER】http://www.bodymaker.jp/

中新井さんはBB-SPORTSの営業部員としても活躍中。トップアスリートとしての経験や知見を活かした提案力、明るいキャラクターが強み。「東京マラソンEXPO2015」などの大規模なスポーツイベントではブース販売員としてユーザーと交流しながら商品紹介をしている。ボディメーカー社内腕相撲大会暫定1位。

B-BODYMAKER



掲載内容は株式会社ウェルビーの見解を述べるものではございません。
(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)
本コンテンツに関するデータ、掲載内容、出演/監修者等の所属先や肩書、提供先の企業/団体名やリンクなどは掲載当時のものです。

 

この記事を提供元の「Welby Media」で読む


患者さんの自己管理を支援する情報サイト「Welby Media

 logo_welby

Good2

コメントする

コメントする

コメント

回答:0件

記事・レポート(1275件)

show

2016.12.06 new 220.できる、という言葉の反対は… 【薬剤師業界のウラガワ】

2016.11.29 new 219.この状況下で最優秀賞なしという現実 【薬剤師業界のウラガワ】

2016.11.24 35.同業だからこそわかる!?「薬剤師が選ぶ、不安… 【オモテに出ている裏話】

2016.11.22 218.やっぱり好評だったアノ一冊 【薬剤師業界のウラガワ】

2016.11.17 81.薬局の多様化 【世塵・風塵】

もっと見る

業界ニュース(18423件)

show

アンケート

show

2016.04.15 【アンケート結果】 薬剤師の年収、理想と現実 no.2

2016.03.17 【アンケート結果】 点眼薬の服薬指導は奥が深い?no.2

2016.02.18 【アンケート結果】 その残業、必要ですか?no.2

2016.01.21 【アンケート結果】 待ち時間がかかるときの工夫no.2

2015.12.24 【アンケート結果】 きれい?汚い?薬局のお掃除 no.2

もっと見る

セミナー情報(4件)

show

ブログ(5379件)

show

求人情報

show

よく見られている
新着記事・レポートランキング 集計期間:11月29日~12月06日

もっと見る

よく見られている
薬剤師のQ&Aランキング 集計期間:11月29日~12月06日

もっと見る