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学会レポート_はじめての臨床試験の学会に薬学生として参加して

学会レポート_はじめての臨床試験の学会に薬学生として参加して

2018年03月02日 (金) 10時00分配信 投稿日:18/03/02 10:00 icon_view 1853view

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医療の進歩に不可欠な臨床試験。臨床試験を進めるにあたり、薬剤師はどのように貢献できるのでしょうか。
2018年2月23~24日、日本臨床試験学会(理事長 中央大学理工学部 人間総合理工学科 生物統計学研究室 教授 大橋 靖雄先生)の第9回学術集会総会(大会長:東北大学大学院医学系研究科 医学統計学分野 教授 山口 拓洋先生)が仙台にて開催されました。
現役薬学部5年生の白石由莉がレポートします(全3回)。

レポーター・インタビュアー:“薬学ガール”白石由莉
大会長・コメンテーター:東北大学大学院医学系研究科 医学統計学分野 教授 山口 拓洋先生




学術集会総会をレポートする白石由莉さん


臨床試験にかかわる立場が一堂に会する【1日目レポート】



【目次】
1.【開会式】ONE FOR ALL, ALL FOR ONE
2.【セミナー1】研究プロトコルを理解するための統計学のこと
3.【シポジウム4】新しいIT技術にもとづく臨床研究
4.【シンポジウム3】多科多職種に関連する臨床試験

5.学術集会総会1日目に参加して・・・



1.【開会式】ONE FOR ALL, ALL FOR ONE

初日は9時半から開会式でした。
大会長の山口先生から、学術集会の各企画に込めた思いなどがお話されました。
臨床研究には研究者、医療者、CRC、データマネージャー、モニター、製薬企業、臨床試験をサポートする企業の方など、想像以上に多くの立場がかかわっており、学術集会総会は、これらの職種の方々が一堂に会し、討論できる貴重な機会なのだと思いました。 



<大会長 山口 拓洋先生より>
新しい医療技術、医薬品は、1人の患者さんのために、しかし、それはたくさんの人・社会のためでもありますし、多くのサポーター(臨床試験を支援する人たち)の協力にてつくられるものです。そんな意味や、臨床試験にかかわる1人ひとり、多くの人のためといった思いを込め、第9回学術集会総会のメインテーマを”ONE FOR ALL, ALL FOR ONE”としました。
第9回学術集会総会ご挨拶 




さまざまな形で臨床試験にかかわる立場が集まる



2.【セミナー1】研究プロトコルを理解するための統計学のこと

開会式のあと、はじめに参加したのは、【セミナー1】「研究プロトコルを理解するための統計学のこと」でした。
統計学は授業でも習っており、データを解析するために使うのだと思っていましたが、研究の計画段階からも統計学的視点が必要だということを学びました。

例えば、信頼性の高い研究にするためには、対象のランダム化(ランダム割り付け)が必要であること、ランダム化は、研究の目的によって男女や年代などを考慮する必要があること、そのためにはどのくらいのサンプルサイズ(集めるべき症例数)が必要か、についても、統計学的視点で考慮した計画が必要になることを知りました。

統計学を授業で習ったときは、「数学みたいで苦手」と思っていましたが、医学の進歩に貢献する研究のために統計学は不可欠で、また奥が深く、臨床試験においては、患者さん1人1人のデータを扱う学問であることの重みを改めて感じました。
私も、薬学を学ぶ立場として、統計学にもっと真摯に向き合わなければ・・・。


 
<大会長 山口 拓洋先生より>
実は、医学部を始め医療系の大学においても臨床試験を学ぶことは少ないのではないでしょうか?
ましてや、臨床試験がどのように計画、実施されるのかを知る機会はとても少ないのではと思います。
今回のセッションで臨床試験の意義や意味を考える機会になったようで嬉しいです。


 

なぜ統計学を学ぶ必要があるのかが、よくわかりました



3.【シンポジウム4】新しいIT技術にもとづく臨床研究


このシンポジウムでは、製薬企業の開発担当の方や、臨床試験をサポートする企業の方、大学で医療のビッグデータを研究する立場の方などから、IT技術を活用した研究の事例が発表されました。なかでも興味を引かれたのは、名古屋市立大学大学院医学研究科 精神・認知・行動医学分野の明智 龍男先生の発表でした。

明智先生は、がん患者さんやご家族の心のケアを扱う「精神腫瘍科」の専門家で(私は「精神腫瘍科」という専門領域があることを初めて知りました!)、「乳がん患者の再発不安・恐怖に対するスマートフォン問題解決療法および行動活性化療法の有効性-無作為割付比較試験」という臨床試験の準備を進めているとのことでした。

この臨床試験の計画では、臨床試験の説明をWeb上の動画で行い、Web上で臨床試験への参加同意を得たうえで、スマートフォンを使った心理療法を行い、その効果も、患者さんが自らスマートフォンを使って報告をする、という流れになっています。臨床試験のプロセスのほぼ全てが、IT技術を駆使したもので、新しい枠組みにとても驚きました。

今回の学術集会総会に参加するにあたって、臨床試験の効果の測定は、検査データ、評価のための尺度を用いて第3者が測定するものと、PRO(Patient Reported Outcome)といって、患者さん自身が評価するものがあることを予習していたのですが、IT技術を使ったPROはe-PROというそうです。


 
<大会長 山口 拓洋先生より>
未だ日本ではあまり知られていないかもしれませんが、医療へのITの導入、特に患者さん自身が主体的にかかわることの有用性は、学会でも発表され、論文化に至っているものもあります。
昨年2017年は、「さまざまな転移性のがん患者にタブレット型電子患者日誌を導入し、患者さんは治療などで生じた症状を報告し、一方で医療者はそれをタイムリーに確認し、患者さんをモニタリングし、適切に患者さんに対応をアドバイスすることで生存期間を延長した」とASCO(米国臨床腫瘍学会)で発表され、すぐにJAMA(米国医師会雑誌)にも掲載されるなど多くの医療者の関心を集めました。




会場は満席で、熱気に包まれていました



4.【シンポジウム3】多科多職種に関連する臨床試験

このシンポジウムでは、臨床試験においては、1つの診療科や施設だけでは十分な人数の患者さんが集まらないことがあり、複数の科や施設での共同研究(多施設共同研究)を行う必要があることがあると知りました。

静岡県立静岡がんセンター 婦人科の安部 正和先生からの発表で、多施設共同研究を円滑に進めるために、研究代表者として各施設に出向き、臨床試験にかかわる現場の方々に試験の説明会を実施した、との話が印象に残りました。

多科、多職種、多施設の関係者の協力を得るためには、各施設の担当者が、お互いにメールや書類上だけのつながりだけでなく、顔が見え、熱感が伝わるつながりをもつことも重要なのだと感じました。また、精神腫瘍科の先生からの発表では、被験者との間に「あたたかい感情の信頼関係」を築くことが重要であるとの話がありました。

IT技術やAIの活用によって、患者さんと医療者の生のコミュニケーションが減ってしまうのでは? 専門職が必要なくなるのでは? と少し心配になりましたが、このシンポジウムで、臨床試験も医療も、人に貢献するものだからこそ、人にしかできないこと、人として大切なことを忘れてはならないのだ、ということを感じ、少しホッとしました。


 
<大会長 山口 拓洋先生より>
IT技術の進歩、AIの活用は、医療のみならず、多くの領域、多くの人たちの仕事の形を変えるかもしれません。
臨床試験も例外ではなく、計画、立案、実施といったさまざまな場面で、私たちの仕事の形が変わるかもしれません。
そして、白石さんが感じてくれたことは、まさに私が企画意図したもので嬉しく思います。
人と人とのつながりが大事なことはこれからもずっと変わらないです。





5.学術集会総会1日目に参加して・・・

第9回臨床試験学会学術集会総会は、想像以上に多くの方が参加されていて驚きました。1日目は、1,200名以上が参加されたとのことです。

会場でお会いした方々には、薬剤師資格をもつ方も多く、いろいろなお話を伺うことができ、卒業後の進路についても考えさせられました。

熱意ある発表者の方々や参加者の皆さんと接し、将来、医療の発展に貢献できる臨床試験に、何らかの形でかかわりたいと思うとともに、IT技術やAIがめまぐるしく進歩するこれからの時代に、患者さん、社会に求められる薬剤師になるためには、学び続けるとともに、人としても成長していかねばならない、と身が引き締まる思いでした。


レポーター・インタビュアー:白石由莉







【プロフィール】
白石 由莉(しらいし ゆり)
現役薬学部の5年生。薬学ガールとして、がん情報サイト「オンコロ」の学生スタッフ、日本肺癌学会肺がん医療向上委員会の広報大使を務める。
勉強のこと、日々のこと、薬学ガールとしての活動などをFacebook、Twitterを通じて発信しています。
【薬学ガールFacebook】
【薬学ガールTwitter】



次回は、2日目のレポートをお届けします。
 


 

著者:白石由莉

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