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『患者さんの権利』1.患者の義務について考える

『患者さんの権利』1.患者の義務について考える

2011年08月15日 (月) 09時00分配信 投稿日:11/08/15 09:00 icon_view 370view

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患者さんの権利という言葉は、私たち医療従事者はどこかで必ず耳にするものであり、一番身近なものです。
定義として有名なものは、1981年ポルトガル・リスボンにおける世界医師会第34回総会で採択されたリスボン宣言(患者の権利に関する世界医師会(WMA)リスボン宣言)でしょう。

参考URL(日本医師会訳):http://www.med.or.jp/wma/lisbon.html 

その内容のうち項目として以下に示すと、
・良質の医療を受ける権利
・選択の自由
・自己決定権
・意識喪失患者の代理人の権利
・法的無能力者の代理人の権利
・情報に関する権利
・秘密保持に関する権利
・健康教育を受ける権利
・尊厳性への権利
・宗教的支援を受ける権利
となります。
抜粋すると、患者は誰でもいつでも、公平かつ最良の医療行為を受けることが出来ます。患者は、法律や医の倫理に反する場合を除き、医師、病院および治療を自由に選択し、その選択のために必要な教育を受けたり、情報を得たりすることが出来、治療行為を承諾または拒否することが出来ます。
患者本人の意識がない場合、未成年の場合、また法的無能力者の場合は、法定代理人にインフォームドコンセントを得なければならないが、その場合でもできる限り本人にも参画させる必要があります。
カルテ情報は患者自身の生命や健康に重大な害を与える恐れがある場合を除き、患者本人に開示されねばなりません。患者自身が望む場合や第三者の生命の危機に関与する場合を除き第三者に開示されません。
患者は尊厳とプライバシーを尊重され、最新の医学によって苦痛から救済される権利があります。また、人道的なターミナルケアを受け、できる限り安寧で尊厳を保った死を迎える支援を受ける権利を有します。
患者は自分が望む宗教的な支援を受ける権利と拒否する権利を有します。
これを読むと、なるほど弱者である患者さんは、強力な法的、倫理的なルールで守られており、自分自身が患者になった場合も(この宣言を採択した国々では)安心して治療を受けられると安心します。

ただ、いくら社会的な弱者であるからといって、「医師の義務」や「患者の権利」だけ主張するのも疑問に思います。特に最近ではインフォームドコンセントに基づく「医師と患者が平等な立場のパートナー」であることを鑑みると、「権利」とは必ず「義務」も対になっているはずです。
ここでは「患者の義務」について考えてみましょう。

最近、大きな病院では院内に「患者の権利」とともに「義務」を併記したところも増えてきています。しかしながら。クリニックや小さな病院でそこまで定義しているところはまだまだ少ないと思います。
「患者の権利」については、ほとんどの病院が「リスボン宣言」の内容に準じたものとなっています。
最近の風潮に基づいて「セカンドオピニオンを受ける権利」を併記したり、大学病院などは「医学生の実習の場」であることを知らしめたりするところもあります。


さて、患者が行うべき「義務」とは何でしょう?

患者の権利と義務に関して開示している病院から拾ってみると、

医療従事者と共同して診療に参加すること。
医療従事者に患者自身の健康に関する情報を正確に提供すること。
医療従事者から受けた説明のうち、良く理解できなったことについては、理解でき、納得するまで質問すること。
合意した検査・治療方針に自ら意欲を持って取り組むこと。
病院の規則を遵守すること。
医療上の安全や医療環境の維持に協力し、他の患者の医療及び病院職員の業務に支障を与えないこと。
社会的なルールを尊重し、他の患者のプライバシーなどの権利に配慮すること。
医療費を適正に支払うこと。
医療従事者の育成に協力すること。

自ら治療を望んで受診するのであるから、疾患や病状についてできる限り詳しく医師等に説明しなければ、正しい治療は望めません。

また、医者等が説明する疾患について、また治療方針について患者やその家族等は理解する努力をしなければ、その治療方針を受け入れるのか?拒否するのか?の判断が出来ません。そのためのセカンドオピニオンでもあるのですが、いずれにせよ患者自身も理解の努力をする必要があるということです。
そして、治療方針が合意され、治療が開始されれば、医者等の指示に従わなければなりません。
道徳や一般常識に則って、病院内や薬局でのマナーを遵守するのは当然なのですが、たぶんこれが一番守られないところではないでしょうか?
個々の患者としては病気や怪我で苦しい、痛いという病院内では弱者という立場で、ついわがままになってしまいがちですが、病人は自分だけではないことを理解してもらう必要があります。


医療契約という方向から考えてみると、医師の義務と患者の義務は次のようになります。 医療契約は、患者が診察の申し込みをして、医師が診療を開始したときに成立する「双務契約」であるため、医師と患者が互いに権利を有し、義務を負うことになります。
・ 医師の義務 : 患者のために最善の治療を行うこと。
・ 患者の義務 : 医師の治療行為に対して医療費の支払いを行うこと。

つまり、患者は診療を受けた対価として医療費の支払いを行うことが義務となります。

余談ですが、保健医療を受けることが「権利」と思ってしまいがちですが、単に給付を受けるということだけなので、保険医の指示には従う義務が示されています。

保険医療機関及び保険医療養担当規則
第十条 保険医療機関は、患者が次の各号の一に該当する場合には、遅滞なく、意見を附して、その旨を管轄地方社会保険事務局長又は当該健康保険組合に通知しなければならない。
一 家庭事情等のため退院が困難であると認められたとき。
二 闘争、泥酔又は著しい不行跡によつて事故を起したと認められたとき。
三 正当な理由がなくて、療養に関する指揮に従わないとき。
四 詐欺その他不正な行為により、療養の給付を受け、又は受けようとしたとき。
(昭六三厚令一〇・平一二厚令三〇・一部改正)

つまり、糖尿病の治療を受けているのに、食事療法を遵守しなかったり、服薬遵守しなかったり、COPDで酸素ボンベのお世話になっているのに喫煙するケースは保健医療は認められません。また、兄弟げんかによる怪我も本当は保険診療対象外です。
つまり、医師等の指示に従わない場合は、自費診療となり、それ相応のペナルティにもなります。


良い患者になると言うこと

以前、テレビの特集で、地域の基幹病院において産婦人科や小児科の先生が足りなくなり、診療科自体がなくなってしまうということが増えつつあるというものがありました。
担当医の人数が減ると残った医者の負担が増えます。負担が増えた医者は、このままでは破綻すると考えたり割に合わないと思うと、もっと条件のいい病院へ移ってしまい、更に人数が減ると言った悪いスパイラルに陥ってしまいます。
そこで、ある地域(兵庫県立柏原病院)では子供を抱えるお母さんたちが立ち上がり、「良い患者になって医者に残ってもらおう」という運動を始めました。そのスローガンは、「コンビニ受診を控えよう」、「かかりつけ医を持とう」、「お医者さんに感謝の気持ちを伝えよう」というもので、(無駄な)救急診療などによる医者の負担を下げ、医者に感謝の気持ちを持とうというものでした。これが功を奏して、小児救急の出動は半減し、運動に賛同した近隣の小児科医の援助もあり、小児科撤退は避けられました。

参考URL:http://mamorusyounika.com/index.html 


これは、患者自身が「良い患者」になることにより、医師との関係を良好かつ密にすることによって、自分の家族のみならず地域の医療を保全した例です。

ココヤク読者の方々は、医療従事者サイドなので、良い患者になるという立場ではありませんが、我々もいつ患者になるかもしれません。
また、患者と接触するにあたり、患者の権利のみならず、患者の義務についても知っておけば、より良い対応を行うことが出来るかもしれません。

著者:山内英作

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