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薬剤師が知っておきたい! これからの肺がんチーム医療

薬剤師が知っておきたい! これからの肺がんチーム医療

2017年04月21日 (金) 07時00分配信 投稿日:17/04/21 07:00 icon_view 2771view

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分子標的薬剤、免疫チェックポイント阻害剤など、新たな薬剤の登場により、
肺がんの治療成績の改善は目覚ましく、同時に薬剤師の役割もますます重要になっています。
そこで、肺がんチーム医療のなかで、薬剤師はどのような役割を求められているかについて、
特定非営利活動法人日本肺癌学会・肺がん医療向上委員会 委員長の中西洋一先生に伺いました。

企画協力:特定非営利活動法人日本肺癌学会・肺がん医療向上委員会



肺がんチーム医療における薬剤師の役割について、中西先生に尋ねる白石さん


薬剤師が知っておきたい! これからの肺がんチーム医療


目次
1.他職種の目で患者さんをみるということ
2.期待されるがん領域でのチーム医療
3.他領域や患者さんからも連携は学べる



1.他職種の目で患者さんをみるということ

白石:学校の授業でも、いくつかの抗がん剤について勉強しました。今、肺がん医療はどのように変わってきているのでしょうか?
中西:これまでは、医師と患者さんとの間で医療が完結していました。しかし、やはり、それだけでは不十分であることがわかってきました。
たとえば、患者さんは医師を前にすると本音で質問できなかったり、医師には聞きにくい質問があったりして、医師だけで肺がん治療にあたるのは不十分であることがわかってきました。
また、忙しい診療のなかでは、十分なコミュニケーションの時間をとることもできませんでした。ご家族への対応も同様です。
そのようなことから、薬剤師、看護師、最近では臨床心理士、ソーシャルワーカーなど、それぞれの専門性をもって患者さんの身体的・精神的・社会的状態を知り、チームで肺がん治療にあたることが必要となってきました。
 
白石:肺がん医療において、特にチーム医療が重要になる理由というのはなんでしょうか?
中西:医師だけではなく、異なる職種、複数の職種で患者さんを診ることはとても重要なことです。たとえば、いくら医師であっても全ての薬剤について精通しているわけでなく、また患者さんが医師には告げずに服用している薬など、飲み合わせの問題など、これはやはり薬剤師さんの協力が必要なわけです。
最良の医療を提供する上で最も重要なことは、患者さんが置かれている本当の状態を知り、対応することなんですね。そのような意味で、異なる専門性をもって患者さんに接することが不可欠なのです。

 
最良の医療を提供するために薬剤師の力が欠かせないと語る中西先生


2.期待されるがん領域でのチーム医療


白石:チーム医療という言葉は、私が薬学部を目指した頃からよく聞いていたのですが、いつ頃から、どのような背景で出てきたものなのでしょうか?
中西:厳密にお答えするのは難しい質問ですが、おそらくがん告知をするのが常識になってきた、ここ十数年のことだと思います。医師は患者さんに本当の病名を伝えないし、患者さんも自分の病気について知らない状況でした。そのような状況では、患者さんは医療者に病気のことを聞きにくい環境にありました。
しかし、告知が常識になったことから、患者さんも医療者に聞きたいこと、教えてほしいことが増え、また知らなければならないという意識も芽生えてきました。医療者は、これらの多様な要望に対応しなければならない、そんなことからチーム医療は始まったと思います。
 
白石:チーム医療の背景、重要性がよくわかりました。それでは、これからのチーム医療が課せられている役割とはなんでしょうか?
中西:がんを扱う基幹病院、がん診療連携拠点病院などでは、かなりチーム医療が機能するようになってきました。しかし、日本全体でいうとまだまだ十分に普及しているとはいえない状況があります。
また、チーム医療の完成型は肺がんだけではありません。それぞれの職種がブラッシュアップし、すべてのがん領域でチームが広まることが期待されています。
 
白石:中西先生からみてチーム医療の構成員として薬剤師に期待することはなんですか?
中西:医師も薬学のことは学んでいますが、私たちに求められていることは、きちんと病気を診断し、外科治療、放射線治療、薬物療法、緩和医療、あるいはそれらを組み合わせた適切な治療を行うことです。
そのようななか、近年の薬物療法の進歩は目覚ましいものの、効果だけでなく予想もできない副作用もあります。それらの薬剤をより安全に、より有効に使用するためには、薬剤師さんのかかわりがあって、はじめて叶うものだと思っています。
また、高齢化に伴い、いろいろな病気や合併症をもつ患者さんが増えてきました。そういった点では、ほかの疾患の治療を目的とした薬剤との相互作用など、医師が気づかない点を助言してもらえることは非常に助かります。



今年のメディカル・スタッフ向けセミナーのテーマを尋ねる白石さん


3.他領域や患者さんからも連携は学べる

白石:ところで、中西先生は、私も学生広報大使を務める日本肺癌学会の「肺がん医療向上委員会」で委員長を務めておられますが、どのような経緯で発足されたのでしょうか?
中西:この委員会が設立されてから数年経ちますが、肺がんという病気とその問題・課題について、医師だけではなくチームで、そして医療者だけではなく肺がん医療にかかわる企業、その進歩を伝えるメディア、そして患者さんを含む患者団体などと一緒にあらゆる視点で考え、よりよい肺がん医療を実現しようと設立し、活動をスタートした委員会です。もちろん医療職を目指す白石さんのような学生さんの参加も歓迎しているものです。
 
白石:昨年は、私も参加させて頂いたメディカル・スタッフ向けのセミナーですが、今年はどんなことを学べるのでしょうか?
中西:薬剤師さんを含むメディカル・スタッフの皆さんを対象としたセミナーの企画・開催は、今年で4年目となります。皆さんもご存じのように、この2年間は、肺がん医療にとても大きな進歩のあった期間で、複数の分子標的薬剤や免疫チェックポイント阻害剤が臨床導入されました。
これらの治療法や薬剤が、患者さんに安全に提供されるために、その薬剤の進歩について、異なる職種であっても知っておくべき情報や知識を学ぶ場を提供するという目的をもって開催していました。一方で、この2年間実施してきて感じたことは、いくら情報や知識があっても、異なる職種が連携した真のチーム医療については、学ぶ機会ではなかったとの反省点もありました。加えて、私たちが医療を提供するのは、ほとんどが医療者ではないわけですから、医療者以外からも学ぶ機会をもつべきだと考えました。
そんな背景もあり、よりよいチーム医療のためのチームビルディング、チーム内での良好なコミュニケーションなどを他領域から学ぶセッションを企画しました。政治、スポーツ、メディアから講師を招いてそれらを学びます。
 
白石:薬学部の学生を含め、看護学生、医学部生の7名の肺がん医療向上委員会学生広報大使も、各地のセミナーで勉強させていただきます。ぜひ多くの方々に参加いただけるといいですね。本日は、ありがとうございました。
 



【プロフィール】
なかにし よういち
中西 洋一 先生
九州大学病院 副病院長
九州大学大学院 呼吸器内科学分野 教授

九州大学医学部卒業。佐賀医科大学助手、九州大学助手、
同講師、同助教授を経て、2003年から九州大学大学院
呼吸器内科学分野教授を務める。
日本肺癌学会理事、肺がん医療向上委員会委員長、
日本呼吸器学会理事、日本臨床腫瘍学会理事としても活動中。




 
【インタビュアー】
しらいし ゆり
白石 由莉 さん
日本肺癌学会肺がん医療向上委員会 広報大使

現役薬学部の4年生。薬学ガールとして、日本肺癌学会肺がん医療向上委員会の広報大使、がん情報サイト「オンコロ」の学生スタッフを務める。勉強のこと、日々のこと、薬学ガールとしての活動などをFacebook、Twitterを通じて発信しています。
【薬学ガールFacebook】
【薬学ガールTwitter】 



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