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がん薬物療法の進歩に期待される薬剤師の役割とは?

がん薬物療法の進歩に期待される薬剤師の役割とは?

2018年05月26日 (土) 09時00分配信 投稿日:18/05/26 09:00 icon_view 1234view

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近年のがん薬物療法の進歩は目覚ましく、薬剤師を始めとするメディカルスタッフに期待される役割も大きくなってきています。
そこで、がん薬物療法の進歩をリードする日本臨床腫瘍学会の第16回学術集会(2018年7月19日〜21日神戸にて開催)を主宰する中西洋一先生に学術集会に込められた思いと薬剤師、メディカルスタッフへの期待について伺いました。

企画協力:日本臨床腫瘍学会第16回学術集会





がん薬物療法の進歩に期待される薬剤師の役割とは?
―第16回日本臨床腫瘍学会学術集会 会長インタビュー―

目次
1.がん治療にとって“境界を越える”意味とは
2.国境も職種も越えたすべての人に開かれた場を用意


1.がん治療にとって“境界を越える”意味とは

川上:中西先生とは、これまでさまざまな学会やイベントで、がん領域にかかわるメディカルスタッフ向けのプログラムにご一緒させて頂いてきました。私自身は看護師ですが、中西先生のメディカルスタッフ向けセミナーでは、看護師のみならず、薬剤師、栄養士、CRCなど、がん医療にかかわる多くの職種の方を対象にプログラムを実施されてきました。今回、中西先生が神戸で主宰される第16回日本臨床腫瘍学会学術集会のテーマは「Beyond Borders」とされています。これは、これまでの中西先生の取り組みの延長線上にあるものなのでしょうか?

中西:そうですね。今回の「Beyond Borders」には、3つの意味を持たせています。
私たちには、さまざまなBorder(境界・垣根)があり、その中で生きています。
まずは「Nation」。医療の領域では、国を越えて世界全体で医療の進歩に向けて邁進しており、境界の外の世界も見ていかねばなりません。
次に「Organs」。特に臨床腫瘍学は、臓器横断的な領域なので、臓器を越えて診療科横断的でなければなりません。
そして最後に「Profession」。がん医療、特に薬物療の進歩により治療成績の改善が果たせるようになった一方で、患者さんの思いや希望をそれぞれの職種が十分に理解し、対応することができているのか、それぞれの垣根の中にいると、患者さんにとって本当に満足のいく治療ができないのではないか、との問いがあり、職種や立場を越えて共に討議できる機会にしたいと思います。

川上:つまりNation(国)、Organ(臓器)、Profession(職種の専門性)を越えて、ともに学び合おう、という意味が込められているのですね。がん医療にとって、境界を越えることは何を意味するのでしょうか、また、なぜ越えることが大切なのでしょうか。

中西:がん医療が支えるべき対象は人・患者さんであり、その人・患者さんの人生でもあります。
まず命を救うために、最新かつ最善の医療を、安全に提供しなくてはなりません。
現在、世界の国々が、国を越えて共同して研究を行い、時には競い合い、エビデンスを創出しています。
そして、ある臓器の腫瘍に有効な薬が、他の臓器の腫瘍にも効果があることがわかるなど、臓器の枠を越えた研究が求められています。
また、最新の研究成果を最適な形で臨床に活かしていくためには、異なる職種の専門性を集結させ、チーム医療という言葉があるように、医療職が共に職種の枠を越えて協働していく必要があります。
治療後も、患者さんは、命が救われたら終わりではなく、がんとともに生きることへの支援、つまり、生活上の新たな課題と向き合うこととなり、そこへの支援も視野に入れると、医療職以外の方々とも連携していかねばならないでしょう。患者さんの人生を支えるがん医療を実現するためには、境界を越えることは必然的なことだと思います。

2.国境も職種も越えたすべての人に開かれた場を用意


川上:今回の学術集会で特に注力されていることは何ですか?

中西:1つには、テーマの通り、国を越えたグローバルな学術集会にしたことです。海外から50名を越えるトップクラスの研究者を招聘しました。海外の若手研究者に対するトラベルグラント(旅費助成)も増額し、現時点で、全応募演題のうち15%となる174題が海外からのものになりました。若手研究者には、ぜひ、世界の研究者らと直接、ディスカッションを交わし、交流を深めてもらいたいと思います。
もう1つは、職種横断的チーム医療ということで、3日間を通じてメディカルスタッフによる企画を組み入れています。企画の中には、全体にオープンにしているものもありますので皆さんが最も関心をもち、最も困っている問題についてディスカッションに参加していただきたいですし、そこに医師も研究者も入って全体として学術集会を盛り上げてもらいたいと思います。
そして、欧米の学会では今やあたりまえになっており、日本でも徐々に広がってきた患者さんやご家族向けのセッションを会期3日間通しで用意し、また、意識の高い方々には学術集会を容易にするためのトラベルグラントを拠出致します。テーマの具体的な言葉として表記してはいませんが、最も越えるべき境界として、医療提供者(学会)と、患者さん・ご家族の境界を越える、これも最も重要な我々が認識すべき境界で、この学術集会では医療者、患者・家族がそれぞれどんな思いでがん医療にかかわっているかを知る機会になると思っています。

川上:これからのがん医療において薬剤師に期待されることは何でしょうか。

中西:これまで、多くの学術集会は医師主導で進められてきました。臨床・研究は重要ではあるのですが、それだけでは足りない部分があることを身に染みて感じています。
例えば患者さんとのコミュニケーションです。患者さんは、医師に対しては、「頑張っている自分」を見せがちで、痛くてもつらくても、なかなか本音を言えず「大丈夫です」、と言ってしまう。そんなときに、薬剤師や看護師などのメディカルスタッフから、患者さんの本当の悩みや要望を聞き出していただけるとありがたいです。それがあって初めて、私たちはきちんとした医療を提供できると思います。
特に、近年では薬物療法も入院から外来にシフトしており医師の目が届きにくくなってきています。さらに新しい作用機序を有する薬剤の登場もあり、やはり薬物療法に関しては、薬剤師さんに、患者さんの服薬コンプライアンスの指導、副作用マネジメントなどを担っていただけると頼もしいです。それぞれの領域の方々が、それぞれの得意分野で貢献することによって、一つの大きながん医療が完結すると思います。
第16回日本臨床腫瘍学会学術集会には、ぜひ多くのメディカルスタッフの方々にお越しいただきたいし、その上で、医師も薬剤師も看護師も、そのほかあらゆる職種の皆さんが一緒になって、どのようながん医療を提供していくべきか、を一緒に考える機会になればと思います。

川上:
学術集会では、参加者1人1人が「Beyond Borders」できたと思える機会になりそうですね。ご盛会を祈念しています。


日本臨床腫瘍学会(JSMO)第16回学術集会のお知らせ

各種がんの最新治療に関する詳細な討議や、臓器横断的なテーマも多数扱います。
メディカルスタッフ向け企画では、専用の部屋を用意し、プログラムを充実させています!


会期:2018年7月19日(木)〜21日(土)
会場:神戸国際展示場・神戸国際会議場・ポートピアホテル
会長:中西 洋一(九州大学胸部疾患研究施設 教授)
テーマ:「Beyond Borders ―Nation, Organ, Profession―」
公式ホームページ http://www.congre.co.jp/jsmo2018/



【プロフィール】

なかにし よういち
中西 洋一 先生
日本臨床腫瘍学会第16回学術集会 会長
九州大学病院 副病院長
九州大学大学院 呼吸器内科学分野 教授

九州大学医学部卒業。米国国立癌研究所(NCI)に留学し、
2003年より九州大学大学院医学研究院胸部疾患研究施設教授、
ARO次世代医療センター長を務める。日本呼吸器学会、
日本肺癌学会(肺がん医療向上委員会委員長)、日本臨床腫瘍学会、
西日本がん研究機構などの理事としても活動中。


【インタビュアー】
 
かわかみ さちこ
川上 祥子 さん
メディカル・モバイル・コミュニケーションズ合同会社 共同代表

2003年、東京医科歯科大学卒業。都内大学病院放射線科病棟、
都内クリニックでのがん看護臨床を経て2007年より10年間、
NPO法人キャンサーネットジャパン理事を務めたのち、2017年10月より現職。
一貫してがんアドボカシー支援に取り組んでいる。


 

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