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「禁忌」の検査値、薬ごと表示‐院外処方箋への印字スタート‐千葉大学病院

2014年11月09日(日)10時00分配信 配信日:14/11/09 10:00 icon_view3661view icon_view3661view

千葉大学病院は、10月28日から院外処方箋への検査値表示を開始した。従来のA5の処方箋用紙をそのまま利用し、別紙として16項目の検査値を出力。全ての処方箋に共通の固定検査値に加え、添付文書の「禁忌・警告」欄に記載のある検査値を薬剤ごとに表示する。これにより、薬局でも禁忌を回避したり、重篤な副作用の発現防止に役立てたい考え。さらに、製薬企業の医薬情報担当者(MR)には、遠方の薬局薬剤師と情報共有するための橋渡し役を求め、適切な医薬品情報提供活動を促していく。

千葉大病院は、2011年11月から院内における入院処方箋への検査値表示を先行的に実施してきた。腎機能に応じて投与量調節が必要な薬剤について、入院処方箋に「腎」マークの印字を開始したところ、疑義照会件数が大幅に増加。禁忌・警告の回避、腎機能による用量調節等、これまでチェックできていなかった検査値に関する疑義照会が可能となった。

こうした院内での実績を背景に、禁忌や過量投与の回避、重篤な副作用の発現を防ぐため、薬局に出される院外処方箋への検査値表示を16項目で開始した。処方箋用紙のサイズを変更せず、既存のA5処方箋の別紙に表示する簡便な形式とし、多くの医療機関で活用できるよう汎用性の高さを意識した。

検査値は最新データを用い、100日以内のデータのみを印字。標準値から外れた異常値の場合、高値は「H」、低値は「L」と検査値の横に印字するほか、添付文書上で禁忌となっている検査値を薬剤ごとに印字する。白血球数、血清クレアチニン等の固定検査値に加え、実際に検査値を利用できる形を意識し、薬剤ごとに「禁忌・警告」欄に記載のある検査値を表示しているのが大きな特徴だ。

たとえば、抗癌剤「ティーエスワン」は、重篤な骨髄抑制のある患者が禁忌とされているため、骨髄抑制に関連する検査値(WBC、SEG、ST、HGB、PLT)を表示する。固定検査値の選択基準は、厚生労働省の「重症副作用疾患別対応マニュアル」に準じ、自覚症状で早期発見できない副作用よりも、先に検査値が変動するものを抽出。過量投与を回避するため、添付文書に腎機能に応じた用量調節の記載がある薬剤ごとに、「腎機能」と印字する。

石井伊都子薬剤部長は、「院内で腎マークを付け始め、一気に疑義照会が増えたことを考えると、固定検査値だけではなく、禁忌のように最低限、防がなければならない副作用は薬剤ごとにサポートすることが必要」と意義を話す。この方式を多くの医療機関に広めるため、薬剤ごとの検査値表示は「禁忌・警告」欄に記載のあるものに絞った。「最低限の約束事でも、腎機能の異常が拾えるようになることは大きい」とする。

千葉大病院の外来処方箋発行枚数は、1日約1000枚、院外発行率は99%に上るが、門前薬局の応需率は50%程度とされ、それほど多くない。今後は、検査値付きの院外処方箋が面に広がることになる。事前の説明会には、県内の千葉市を中心に、成田市、柏市等、多くの地域から約350人の参加があり、薬局薬剤師の関心は高い。

石井氏は、「薬の組み合わせという部分の疑義照会は飽和になっていて、薬局薬剤師も新たな取り組みに感性が刺激されたのではないかと感じる。処方箋に表示される検査値を一つの情報として、より患者さんの状態に合った個別化医療としての疑義照会をお願いしたい」と期待感を表明。「処方箋に書かれた内容の疑義ではなく、検査値を利用した患者さんへの介入により、薬が中心ではなく、患者さんへの薬学的管理へと服薬指導も変わってくる」としている。

一方、製薬企業のMRには、院外処方箋への検査値表示に関する情報を共有してもらい、大学病院と薬局薬剤師をつなぐ役割を求めていきたい考え。石井氏は「薬局薬剤師と共通の認識を持ってもらい、訪問している薬局同士の情報をうまく共有できるようにしてほしい」との考えを示す。

特に千葉県は、東京都に隣接する北西部の市川市、北東部の銚子市、南部の館山市まで幅広く、千葉大病院での勉強会に参加できない薬局薬剤師に対し、MRが解説等の情報提供をすることも可能となる。

これまでMRによる情報提供は、処方箋に検査値が表示されていなかったため、病院と薬局で異なっていたとされるが、石井氏は「これからは検査値をもとに情報提供したり、いろいろな薬局と情報を共有してもらい、本来のMRとしての情報提供活動をお願いしたい」と注文する。

今後は、項目の見直しや検査値を通じた患者への介入が実施できているか検証を行う予定。「これから重要になる在宅医療への対応でも検査値は非常に重要。薬学的管理を行えるかは、しっかり検査値と患者さんの状態を理解できるかにかかってくる。それを薬薬連携を通してできるかどうかだ」と新たな課題も見据えている。




(情報提供元: 薬事日報)

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