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抗癌剤廃棄額が年94億円‐全国187施設で実態調査‐日本病院薬剤師会学術小委員会

2015年11月27日(金)10時00分配信 配信日:15/11/27 10:00 icon_view1377view icon_view1377view

病院で調製後に廃棄している抗癌剤の金額は1年間で約94億円分に達することが、全国187施設から回答を得た日本病院薬剤師会学術小委員会の調査で明らかになった。現制度下では基本的に抗癌剤を調製後、バイアルなどに残存した薬剤は廃棄せざるを得ないため、廃棄分にも医療費が発生している。同委員会は、複数の患者に分割して使用するマルチドーズバイアルの導入や、小規格製剤の追加などの対策を実施して廃棄量を減らせば、医療費を削減できる可能性があるとしている。

現制度下では基本的に、バイアルなどから必要な用量を抜き取った後、残存した抗癌剤は廃棄せざるを得ない。医療費の支払いはバイアルなどの単位になるため、使われずに廃棄している抗癌剤に対しても医療費が発生している。これを効率化できる余地が残されている。

抗癌剤廃棄の実態を明らかにするため、日病薬学術委員会旧学術第4小委員会は、全国の癌診療連携拠点病院397施設を対象に調査を実施し、187施設から回答を得た(回収率47.6%)。イリノテカン、シスプラチンなど汎用され売上額も大きい15種類の抗癌剤について2014年10月分の廃棄量、廃棄率、廃棄金額を調べたところ、廃棄金額の合計は約7億8000万円に達した。1年分に換算すると約94億円もの抗癌剤を廃棄している実態が明らかになった。

廃棄率が最も高かったのはボルテゾミブで37.5%。エトポシドが23.8%と続いた。これらの廃棄率が高いのは1規格しか存在しないことが主な要因だ。廃棄金額のうち、ボルテゾミブ、エトポシドなど3剤の合計額が全体の約70%を占めていた。

同委員会は、抗癌剤の廃棄を減らす対策の一つとして、複数の患者に分割して使用するマルチドーズバイアルの導入を提示している。米国では既に一部の抗癌剤で製品化されている。

委員長を務めた渡辺享平氏(福井大学病院医学研究支援センター)は22日に横浜市で開かれた日病薬病院薬局協議会・学術フォーラムで「日本で導入するには、薬剤の安定性などバイアル製剤の条件を検討する必要がある。医療機関側でも、マルチドーズバイアルの無菌調製手技や保管方法、保管条件、保管期限など、調製環境の条件設定が求められる。さらに、診療報酬、薬価関連上の課題としては使用量に基づく請求や、廃棄分の負担をどうするかという課題がある」と語った。

また、もう一つの対策として渡辺氏は、既存の規格に小規格を追加することを提案した。例えばベバシズマブには100mg、400mgの規格が存在するが、50mg規格の追加によって廃棄率は6.9%から3.1%に減少し、25mg規格の追加によって廃棄率は1.5%に減少すると見込まれるという。

渡辺氏は、抗癌剤の廃棄によって「貴重な医療資源を損失している」と述べ、これらの対策を実施して廃棄量を減らせば、医療費を削減できる可能性があるとした。

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写真:渡辺氏


(情報提供元: 薬事日報)

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