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多剤処方解消に専門外来‐チームで対応、5カ月で3剤減‐国立病院機構栃木医療センター

2015年09月14日(月)10時00分配信 配信日:15/09/14 10:00 icon_view1071view icon_view1071view

■高齢者の副作用減目指す

国立病院機構栃木医療センターは、多種類の薬を服用している高齢者の有害事象を減らすため、「ポリファーマシー外来」を開設した。医師、薬剤師、看護師等の多職種チームを結成し、5剤以上の薬を内服している入院患者で同意が得られた人を対象に、外来で薬の組み合わせを確認していく取り組みだ。今年1月から整形外科病棟で介入を開始したところ、5カ月で平均3剤の薬剤中止という成果を得た。チームをまとめる内科医長の矢吹拓氏は、「ポリファーマシーにシステムで対応することにより、病院全体に取り組みを広げ、地域にも啓発して薬を減らしていきたい」と話している。

ポリファーマシーは、明確な定義は未だされていないものの、複数の薬を不適切に併用していることを指し、特に高齢者に対する多剤処方が社会問題となっている。矢吹氏も、内科医として日常診療でポリファーマシーに直面。約3年前から問題意識を持ち、院内で勉強会を重ねてきた。

そんな中、院内でポリファーマシーによる重篤な有害事象が起きたことを契機に、院内の薬剤有害事象を減らし、高齢者に優しい医療を提供するため、病院全体で対応していく必要があると判断。薬剤師、看護師、医師によるチームを結成し、既に内科医が対応していた内科病棟以外について、外来受診で薬への介入を行うポリファーマシー外来を開設することにした。

外来は内科の医師4人で対応している。入院時に薬剤師が持参薬を確認し、65歳以上、1週間以上の入院見込み、5剤以上といった条件を全て満たす患者を抽出。看護師と協働して説明文書を渡し、同意が得られた場合に外来を予約し、受診時に薬の組み合わせを確認する流れとなる。

患者だけでなく、家族にも同席してもらい、その薬を服用するようになった理由や実際の効果などを確認しながら、薬を減らせるかどうか相談する。薬を中止した場合は、患者の症状や経過を確認して中止後のフォローを行い、退院時には処方医療機関に診療情報提供書を送る。

まず、今年1月から整形外科病棟で取り組みを開始し、5カ月で入院患者22人(平均年齢80.1歳)に外来診療を行った結果、介入前後で平均薬剤数は8剤から5.1剤に減少した。矢吹氏は、「介入後に確実に薬は減っており、院内の他科や近隣医療機関でも処方内容が変わるなどの変化が出てきた」と手応えを語る。ただ、危険な薬剤の組み合わせにもかかわらず、介入できなかった事例もあるとし、「もっと近隣医療機関と密に連携していかなければならない」と課題を挙げる。

「本来、薬を内服している理由があるはずだが、本人や家族に聞いても理由なく漫然と服用している患者が非常に多い。また、医師側も一度、処方してしまうと薬を中止しにくいのが現状」と矢吹氏。こうした中、入院や訪問診療の開始時は処方内容が一括して集約されるとし、「入院時や訪問診療の開始時がポリファーマシーに介入する良いタイミングではないか」との考えを示す。

最近は、在宅医療の現場でも残薬が問題とされ、薬剤師の関与も求められているが、矢吹氏は「いくら現場で残薬を減らしても、処方している上流を止めなければ解決にならないのでは」と指摘。「薬剤師として医師にどう処方提案できるか、どのタイミングで処方提案をしたら最も効果的なのか、押さえておくことが必要」とアドバイスする。

来月からは、慢性期で長期入院患者が多い地域包括ケア病棟に、外来の取り組みを広げていく予定だ。矢吹氏は「まだ試行錯誤の段階だが、ポリファーマシー外来を院内で進め、認知度が広がってくれば、処方する時の抑止力になったり、多剤服用への問題意識が出てくるのではないか」と期待感を語る。

社会問題化しているポリファーマシー問題に対しては、「目の前の患者に介入するだけでなく、システムで薬を減らしていくため、行政として抜本的な施策が必要」と訴える。将来的には、服用薬剤の適正化を目指したシステムを構築し、薬のメリットとデメリットを医師、薬剤師、患者が共に考えていくことにつながるのではないかと見通す。

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写真:矢吹医長


(情報提供元: 薬事日報)

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